岩本麻奈 (参政党)

2026年7月23日・第221回国会 参議院 厚生労働委員会 第20号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 125 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 135 発言)

私は、参政党を代表し、本法案に反対の立場から討論を行います。

私たちは、RSウイルス感染症対策そのものに反対しているのではありません。私自身、三人の子供を育てた母親であり、医師でもあります。重症化リスクの高い乳児を守ることの重要性に何ら異論はありません。

しかし、本法案は、一つのRSウイルス抗体製剤を追加するだけの改正ではなく、将来にわたり、次の別の感染症に対する抗体製剤についても法律を改正することなく予防接種法の対象に加えることを可能とする、制度の入口を広げる改正となっております。だからこそ、その判断にはより慎重な科学的根拠が必要だと思われます。

反対する第一の理由は、健康な乳児を含む全ての乳児を対象とする根拠が十分に示されていないことです。

基礎疾患のない正期産児にも重症例があることは承知しております。しかし、RSウイルス感染症による死亡は極めてまれであり、政府から示された数字でも、多い年で二十九人、死亡者が一桁の年も少なくありません。しかも、その死亡例のうち、基礎疾患のない正期産児が何人であったのか、政府は把握しておりません。全ての乳児に一律に投与するのか、それとも重症化リスクの高い乳児を重点的に守るのかを多角的に比較した上で判断するべきだと思います。

第二の理由は、費用対効果です。

厚生労働科学研究でも、健康な全乳児への投与については費用対効果の観点から検討を要するとされています。今回示されたICERはワンQALY当たり六百四十三万八千円ですが、一般に、我が国では、ワンQALY当たり五百万円程度が費用対効果を判断する一つの目安とされております。しかも、この試算は、抗体製剤一人当たり四万五千円という仮定価格に基づいており、実際の公費調達価格がこれを上回れば、費用対効果は更に悪化する可能性もあります。したがって、今回の費用対効果の評価をもって全乳児への投与が合理的であると判断することには疑問があります。

限られた医療財源を使う以上、高額な医療を広く公費で提供することが果たして最も多くの命と健康を守る方法なのか、厳しく検証しなければなりません。

第三の理由は、安全性です。

ベイフォータスは、比較的新しい抗体製剤です。それゆえ、健康な新生児や乳児に広く投与するのであれば、副反応疑い報告を集めるだけでは不十分であり、投与を受けた乳児と受けていない乳児を比較し、安全性を継続的に検証する仕組みづくりが不可欠です。パンデミックをめぐっては、いまだに十分な検証が進んでおりません。この間生じた国民の不安と不信を軽視し、同じ轍を踏むことがあってはならないと考えます。

制度は、一度入口を広げれば、容易に元には戻せません。本改正は、将来の抗体製剤にも道を開く制度改正です。だからこそ、この全乳児を対象とする必要性、費用対効果の妥当性、そして長期的な安全性の検証体制が十分に示されないまま予防接種法の対象を広げることには賛成できません。

以上の理由から、本法案に反対することを申し上げ、私の討論といたします。

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