永井幸子日本労働組合総連合会総合政策推進局長

2026年6月16日・第221回国会 参議院 厚生労働委員会 第13号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 5 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 88 発言)

連合総合政策推進局長の永井と申します。

本日は、意見表明の機会をいただき、ありがとうございます。

政府提出の社会福祉法等の一部を改正する法律案に関する連合の考え方につきまして申し述べます。

地域共生社会を推進していくこと、住み慣れた地域で暮らすことができるよう、医療、介護、生活支援などが一体的に提供される地域包括ケアを全国的に推進するという方向性については、連合は賛同しているところでございます。その上で、連合は、これまでの審議会等の議論の中で、主に労働者、利用者の立場で意見を述べてまいりました。本日は、その中から大きく五点に触れます。資料を配付しておりますので、適時御覧いただければと思います。

一点目は、中山間・人口減少地域における特定地域サービスなどの創設についてです。

高齢者人口が減少し、サービス需要が減少する中山間・人口減少地域においては、生産年齢人口の減少によって介護人材や専門職の確保が困難であることから、本法案では、必要なサービスを維持するための新たな仕組みの導入が示されています。具体的には、地域の実情に応じて柔軟にサービス提供を行うための人員配置基準の弾力化と包括的な評価の仕組みの導入です。

現行の訪問系サービスの報酬体系は回数を単位として評価しており、利用者からの突然のキャンセルや移動に係る負担が大きいことから、連合としましては、包括的評価の仕組みの導入については評価をしているところでございます。

しかしながら、人員配置基準を柔軟化することについて、安易に行うべきではなく、サービスの質や安全性への影響を十分に踏まえて慎重に検討すべきと考えております。特に、専門職員、常勤専従要件や夜勤要件の緩和については、従来基準よりも少ない人数でサービス提供を行うことになることから、現場労働者の負担は確実に増大します。そうした負担増を理由に更なる離職者が生じる懸念もございます。現在、介護業界は深刻な人手不足の状況にありますが、このような中でサービス維持のために現場労働者に負担を強いるということは、人材確保をますます困難にするものと考えております。

二点目は、介護支援専門員の研修受講を要件とした更新の仕組みの廃止についてです。

ケアマネジャーの人材確保難や重い業務負担が課題となる中、経済的、時間的負担が大きい更新研修の見直しを行うことには賛成の立場です。

ただし、ケアマネジャーには法定業務以外のいわゆるシャドーワークと言われる業務も存在していますので、こうした法定外業務による負担をなくし、ケアマネ本来の業務に専念できるようにしていくことが今後は重要だと考えております。

なお、専門職としての新たな知識や技能を習得していくための研修は引き続き受講する形となりますが、業務上必要な研修の場合、その研修、教育訓練の時間は労働時間に該当します。受講費用についても事業者が負担すべきものであり、労働者本人が自分で支払うことのないよう、事業者への徹底をお願いしたいと思います。

三点目は、住宅型有料老人ホームの入居者に対するケアマネジメント費用の有料化についてです。

介護保険サービスにおけるケアプランの作成は、サービス利用の入口であり、誰もが利用できる制度となるように、制度創設時に無料、十割給付とされました。

今回の法案では、新たな登録制の対象となる住宅型ホームの入居者に対してケアプラン作成と地域生活相談を包括的に提供する新たな相談支援類型をつくり、そこに原則一割の利用者負担を求めるとしていますが、連合としましては、利用者の自立支援に資する適切なマネジメントを受ける機会の確保や、有料化によるサービスの利用控えにつながる懸念があることから、利用者負担の増加には反対の立場です。

また、同じくケアを必要とする障害者の分野を見ても、障害者総合支援法における計画相談支援、障害分野におけるケアマネジメントは無料で提供されております。そうしたほかの同様の制度との整合性も踏まえて制度設計を行うべきと考えております。

四点目は、介護福祉士養成施設卒業者に係る経過措置の見直しについてです。

介護福祉士の資格取得方法については、介護人材不足や留学生の合格率が低調であることから繰り返し経過措置の延長が行われてきていますが、連合といたしましては、介護福祉士の専門職としての地位向上と地位確立の観点から、経過措置は延長すべきではないと考えております。

国家資格は介護福祉士の質を担保するものであり、国籍に関係なく、公正にキャリアとして評価される資格にしていくべきです。介護福祉士の専門職としての地位を高めることは、働く人のやりがいや労働条件を高めることにもつながります。国家資格の信頼性を損なう経過措置については、当初の予定どおり、二〇二六年度卒業者までで終了すべきと考えます。

五点目は、頼れる身寄りのいない高齢者等を対象とする第二種社会福祉事業の新設についてです。

今後、単身世帯等の増加が見込まれる中、頼れる身寄りのいない高齢者等や判断能力が不十分な者を対象として、日常生活支援、入院、入所手続、死亡時の事務などを支援する事業を新たに第二種社会福祉事業の中に位置付けることは、地域住民の多様な福祉ニーズに対応し、その抱える多様な地域生活課題の解決に資する支援を受けられる包括的な支援体制を整備する改正と受け止め、連合といたしましてもおおむね評価をしております。

一方で、介護同様に福祉の現場も人手不足の状況です。良い制度があっても、それを担う人材がいなければ意味がありません。現場からは、身寄りのない高齢者等への支援について、十分な財源や人員体制の裏付けがないまま社協に安易に丸投げされる形は違うのではないかという懸念が寄せられています。反対しているのではなく、国と現場が協力して制度をより良くしていくという立場からの御意見でした。

また、行政からの委託事業が増え続ける中で、本来の地域福祉業務や利用者訪問に割ける時間が削られ、慢性的な人員不足の下で時間外勤務が常態化しているといった深刻な状況も連合には寄せられています。避難所運営や地域支え合いセンターの策定など、多岐にわたる業務で現場は多忙を極めています。制度の実効性を高めるためには、適切な人員体制の確保と処遇改善の支援が不可欠であることも申し上げたいと思います。

最後になりますが、二〇四〇年に向けて高齢者人口が増加する中で、介護、福祉の分野は深刻な人手不足の状況にあり、このままでは必要な介護、福祉サービスの維持が困難になることが懸念されます。

介護職員の賃金は全産業平均と比較して八万円程度低い状況にあります。二〇二五年の賃金改定率を見ても、産業計四・四%に対して、医療・福祉分野は二・三%であり、賃金格差はますます広がる状況にあります。

次の二〇二七年度介護報酬改定においては、引き続き、介護に携わる全ての職種を対象とした処遇改善を進め、安心して働き続けられる取組を報酬上適切に評価していただきたいと思います。質の高いサービスを維持し続けるためには人材確保が不可欠です。その実現には、全産業平均に遜色ない賃金水準と働き続けたいと思える職場環境の整備が介護、福祉の分野においては非常に重要であると考えております。

議員の皆様にはこうした趣旨を御理解いただき、賛同賜るとともに、委員会としての意思がしっかり確認される形で整理していただけますよう切に要望いたします。

以上です。ありがとうございました。

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