中西祐介 (自由民主党)

2026年6月24日・第221回国会 参議院 憲法審査会 第6号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 2 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 21 発言)

自由民主党の中西祐介です。

会派を代表して発言をさせていただきます。

いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らし、そして財産を守り抜く、これこそが国の究極の使命であるというふうに考えています。この国家観の下、我が党は、平成三十年にまとめた憲法改正に向けた条文イメージ、たたき台素案というものを、四項目の一つとして緊急事態対応を掲げたところであります。そこでは、我が国がどのような状況に陥っても国家の機能を維持すること、その際、立憲民主主義国家としてできる限り国民主権原理を働かせるべきであることを理念として示したところであります。

我が会派は、これらの理念の下、現行憲法における唯一の緊急事態対応であり、衆議院議員不在時の国会の代替機能として極めて重要な権能である憲法五十四条二項、そして三項の参議院の緊急集会の活用とともに、憲法改正による国会議員の任期延長による二院制国会の維持という多層的なセーフティーネットの必要性を主張してまいったところです。

まず、参議院の緊急集会について申し上げます。

衆議院解散後の緊急事態には、現行憲法に規定される唯一の緊急事態措置である参議院の緊急集会が、総選挙が実施され、衆議院が再構成されるまでの間、暫定的に国会全体の機能を担う必要があると考えます。

そこで、参議院の緊急集会をめぐる三つの論点について、私どもの考えを申し上げます。

一つ目である活動期間ですが、憲法五十四条一項の、衆議院解散から四十日以内に総選挙を行い、選挙の日から三十日以内に国会を召集するという規定を根拠に、緊急集会の活動を七十日以内に制限すべきだとする意見がございます。

これに対して、我が会派は、緊急事態は千差万別の状態であり、画一的に制限すべきではなく、七十日間に厳格に限定されるものではなく、四十日や三十日という日数は、平時の通常の解散を想定した言わば訓示規定であると解釈しています。したがって、緊急事態の際に緊急集会の活動を制限する根拠にはなり得ず、また緊急事態で日数を過ぎたとしても有効であり、事態に応じて柔軟に対応できるようにすべきであると考えています。

二つ目は、緊急集会が代行できる権限の範囲ですが、緊急性の要件を満たす限り、基本的には国会の権能の及ぶ全てに及ぶとの見解を取っています。権限の範囲を厳格に縛ると、参議院の緊急集会以外に国会全体の権能を、機能を担う手段がない場合に、現行憲法では対応が困難となりかねません。

三つ目は、衆議院議員の任期満了時への参議院の緊急集会の適用です。この点について、我が会派は、解散か任期満了かを問わず、衆議院議員が不在となるという点においては相違はなく、適用できると考えています。しかし、例えば、任期満了日に総選挙の投開票日が設定され、その当日に大規模自然災害等が発生して、選挙も任期の延長もできなくなるという究極のレアケースに備え、任期満了時の適用も憲法に規定すべきと主張をしております。

ここまで参議院の緊急集会について申し上げてまいりましたが、国家機能の維持のためには、立憲民主主義国家としてできる限り国民主権原理を働かせるべきであるとの理念に基づいて、国会議員の任期延長により二院制国会を維持することも極めて重要でございます。

そこで、権力濫用を防止するための厳格な要件を設けた上で、選挙を延期し、憲法が定める国会議員の任期を延長して二院制の国会を維持できるようにするための憲法改正が必要であるというふうに強く考えています。

なお、大規模災害等による選挙実施困難時の議員任期延長については、選挙を経ない議員に対して国民代表の民主的正統性に疑念を生じさせるとの意見があり、また、全国一律の選挙ではなく、国会の定足数の充足が見込める状態の選挙であってもやむなしとの考え方もあります。

しかし、その一方、選挙困難事態の中で自分たちの地域から代表を国政に送り出せないことからくる当該選挙区の国民の疎外感というものは極めて大きいことが予想され、これを無視することは、合区選挙区同様に議会制民主主義を毀損しかねないとの危惧があると強く申し上げたいと思っています。

次に、緊急政令と緊急財政処分の創設について申し上げます。

もちろん、我が会派は、立法府の責任として、参議院の緊急集会や議員任期の延長などで国会機能を維持できるよう全力を尽くすべきと考えますが、国会議員の任期延長や参議院の緊急集会の開会によって国会を機能させようとしても、それが不可能な万々が一の事態に備え、まさに緊急事態条項の最後のとりでとして、法律や予算に代わる内閣の緊急政令や緊急財政処分の制度を憲法上に規定すべきと考えます。

仮に非常時の措置を空白状態のまま放置すれば、古代ローマ法に由来する法格言でございますが、必要は法を破るという理由で行政府が権力を濫用するリスクが含まれていることも指摘しなければなりません。

このような事態に陥ることを防ぐには、あらかじめ憲法に要件を規定するとともに、事後チェックとして速やかに国会の承認を求めるということで、民主的統制の下に置き、権力の濫用を抑え、緊急政令の発動のプロセスというものを明文化すべきであるというふうに考えています。

以上、我が会派の意見として述べさせていただきました。

最後に、ここまで、参考人質疑も含めて緊急事態対応をめぐる参議院憲法審査会での議論について、私の受け止めを述べさせていただきたいと思います。

まず、緊急事態対応の必要性についてであります。

我が会派以外からも、いかなる緊急事態にあったとしても、例えば維新の柴田委員からは、国会の機能や二院制の大原則を維持し、国会議員の不在となる事態を回避するための憲法改正が必要である、あるいは国民の山田委員からは、平時だけではなくて緊急事態を想定し、国民の生命と財産を守るために、政治の空白と国会機能の停止を避けるためには憲法を改正すべきという御主張がなされており、これらは大いに共感するところであります。

また、参政党の安達委員からは、選挙を経ずに議員任期が延長され、内閣が緊急政令などで法律や予算を代行できるようになれば、国会議員は地位が保障され、内閣は国会での説明を免れるというモラルハザードを引き起こすなどの否定的な見方の御意見も頂戴したところです。この点については、我が会派も、緊急事態条項については、民主的統制の下に置いて権力の濫用を抑えることは不可欠であるというふうに先ほども申し上げて、考えているところでもございますので、議論をこれから更に深めていくことで、一定の共通項も見出せるものではないかなというふうに受け止めています。

参議院の重要な権能である緊急集会については、維新の片山委員また柴田委員などから、活動期間や制限について、制限的に考えるお立場や、それに対しては限界があると考えるお立場の御発言も参政党の安達委員からあったりいたしました。また、あるいは国民の山田委員からは、憲法改正による国会機能の崩壊を防ぐための衆議院の任期延長の整備とともに、参議院の緊急集会の即応能力を重視して、その機能強化のための国会法の、国会法等の法整備をすべきであるというふうな主張の発言もあった、お立場もございました。

いずれも解釈としては成り立ち得るというふうに考えていますし、参議院の緊急集会と並行して、憲法改正による国会議員の任期延長による二院制国会の維持についての議論を進めていくことは必要性があるということを考えているところでございます。特に、緊急事態対応時に機能できるよう国会法等の整備を検討すべきではないかという主張については、参議院の緊急集会の活用を含む多層的なセーフティーネットの構築に資する極めて示唆に富んだものであるというふうな受け止めをさせていただいています。

以上、我が会派からの意見表明にしたいと思いますが、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らし、そして財産を守り抜く、そしてもう一つは、このために憲法はどうあるべきかという点について引き続き各会派の皆様と議論を深めさせていただいて、参議院の自民党会派としての立場の意思表明とさせていただきたいというふうに思います。

以上です。

前後のやりとり

6の発言を見る