軍あるいはそれに類似する組織に対する民主的な統制が十分機能するかどうかというのは、その国の政府がどれだけしっかりした民主的正統性に支えられているのか、そしてその政府自体にどれほど実効的な統治能力があるのかに依存する問題でございまして、憲法の条文の定めように依存するものではないというふうに私は考えております。
長谷部恭男早稲田大学法学学術院教授
2026年6月10日・第221回国会 参議院 憲法審査会 第5号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 92 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 121 発言)
前後のやりとり
どうもありがとうございます。 九条に関しまして、自衛隊の存在を明記をすると、そういう御提案があることは承知をしておりますが、自衛隊というのは実は言ってみれば日本独自の制度、組織でございまして、自衛隊は、これを置くというふうに憲法の条文に定めただけでは、これは一体どういう組織でどういう権限を持っているものなのか、それは明らかになりません。 そうなりますと、例えば自衛隊の組織と権限についてはこれを法律で定めるという条文を置くことも考えられますが、そういたしますと、法律の定めようによって権限がどんどん拡大をしていくという懸念がないわけではないと。その懸念を…
私からも、簡単ですが、お答えいたします。 従来の九条解釈の意味というのはどこにあったかと。簡単に申しますと、自衛権の行使に憲法解釈で一定の枠がはまっていたと、こういうことなのかなと思っております。ここ、若干修正はあったわけでございますけれども。 自衛隊明記といってもいろんなプランがあるかと思いますが、自衛官あるということ、自衛隊があるということを正面から書くということは、従来憲法解釈で縛られていたものを政治判断に委ねる、こういうことにつながっていくのではないか。 それでよいというお考えあるかもしれませんが、一方でそのデメリットと、こういうものもある…
ありがとうございます。
もう一点お伺いしたいと思いますが、この国会や内閣による自衛隊の民主的統制を強化するために自衛隊を憲法に明記すべきという主張がありますけれど、自衛隊を憲法上の特別の国家機関として規定すると、国民が国家権力の武力の行使あるいはそのための組織である自衛隊を民主的に統制するという力が法的あるいは政治的に弱まってしまうことが生じるのではないでしょうか。端的に、長谷部先生、只野先生にお伺いしたいと思います。
- (上の発言)
軍あるいはそれに類似する組織に対する民主的な統制が十分機能するかどうかというのは、その国の政府がどれだけしっかりした民主的正統性に支えられているのか、そしてその政府自体にどれほど実効的な統治能力があるのかに依存する問題でございまして、憲法の条文の定めように依存するものではないというふうに私は考えております。
先ほど申しましたように、従来憲法解釈で枠がはまっていたものが政治による統制に委ねられると、こういうところでございますから、まさに政治の在り方が強く問われると、こういうことかなと思います。
もう一言申しますと、政治が軍事力統制するというのは、裏を返せば、政治が軍事力を利用すると、こういう側面も持っているわけでございますので、やはりその政治の在り方というのは強く問われることになろうかと思っているところでございます。
終わります。ありがとうございました。
浅田均君。