平口洋 (自由民主党)法務大臣

2026年5月26日・第221回国会 衆議院 本会議 第20号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 56 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 67 発言)

金村龍那議員にお答え申し上げます。

まず、十分な根拠がある場合の意義についてお尋ねがありました。

再審開始決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合とは、不服申立てにより再審開始決定等が取り消される蓋然性が高いことを裏づける合理的な根拠がある場合を意味します。

その上で、いかなる場合がこれに当たるかについては、個別の事案ごとに、具体的な証拠関係を踏まえて判断すべき事柄であり、一概にお答えすることは困難でありますが、例えば、再審開始決定の根拠となった関係者の供述が虚偽であることを示す信用性の高い証拠が存在しており、当該決定に重大な事実誤認があるため、上級審において当該決定が取り消されることとなる蓋然性が高い場合などはこれに当たり得ると考えています。

次に、本法律案が再審開始決定に対する不服申立ての運用に与える影響、効果についてお尋ねがありました。

本法律案においては、再審開始決定があったときは、政府において、不服申立ての理由等を遅滞なく公表することとしています。

これにより、検察官の不服申立てが十分な根拠に基づくものかどうかについて、その都度、国民のチェックを受けることとなります。

また、本法律案においては、施行後五年ごとの検討条項を設けることとしています。

検察官の不服申立てに対しては、基本的に一年以内に裁判所の決定がなされることとなるところ、その結果も踏まえて不服申立てが適正に運用されているかが定期的に評価され、仮に問題があれば、制度の在り方が改めて検討され得ることとなります。

以上のことから、本法律案の規定により、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて、より慎重で抑制的な運用が確保されることとなると考えています。

次に、再審開始決定に対する不服申立てに係る審理期間に関する規定の目的及び効果についてお尋ねがありました。

近時、一部の再審請求事件について審理の長期化が指摘されており、再審請求手続の迅速化が求められているところ、再審開始決定がされた場合には、当該決定の当否を特に早期に確定させる必要があると考えられます。

そこで、本法律案においては、再審開始決定がされた場合に、当該決定に係る不服申立てが係属する裁判所の審理期間が一年以内となるよう、努力義務を定めることとしています。

これにより、裁判所及び手続関与者は、定められた審理期間が遵守されるよう、迅速な審理に努めていくことが十分に期待されるものと考えています。

次に、再審請求者が死亡した場合の対処についてお尋ねがありました。

現行制度の下では、再審請求審の係属中に再審請求者が死亡した場合、再審請求手続は当然に終了することとされています。

もっとも、他の再審請求権者が再審請求の意思を有している場合には、その者に新たに再審請求をさせるよりも、手続を引き継がせて、それまでの成果を利用して手続を続行することを認める方が、再審請求手続の円滑化、迅速化等に資すると考えられます。

そこで、本法律案においては、審判開始決定があった場合において、再審請求者が死亡したときは、再審請求手続は中断することとした上で、他の再審請求権者は、当該死亡の日から一か月以内に申立てをしたときは、その手続を受け継ぐことができることとしています。

次に、証拠の提出、開示の仕組みについてお尋ねがありました。

本法律案においては、再審請求理由に関連する証拠を対象とする証拠の提出命令制度を設けることとしているところ、関連する証拠の範囲は相当の広がりを持つものであり、これにより、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。

加えて、証拠の提出命令制度は、裁判所による証拠の提出、開示の勧告等の従来の実務運用を否定するものではなく、これに加えて、一定の場合に、裁判所に対して、検察官に証拠の提出を命ずる義務を課するものです。

さらに、本法律案においては、再審請求理由に関連すると認める証拠の範囲が不当に狭くならないように留意されなければならない旨の規定を設けることとしています。

したがって、これまで裁判所に提出され、再審開始に極めて重要な役割を果たしたような証拠は、本法律案による改正後も同様に裁判所に提出されるものと考えています。

次に、再審請求審における証拠の一覧表の取扱いについてお尋ねがありました。

再審請求審は、職権主義の下、裁判所が主体的に再審請求理由について審理、判断する手続であるところ、御指摘のような、全ての証拠の一覧表を再審請求者側に開示させる仕組みは、再審請求審の審理の在り方や手続構造との整合性に欠けると考えています。

他方、再審請求者側が裁判所に証拠の提出命令の請求をする際の証拠の特定は、請求に係る証拠を識別できる程度のもので足りるため、証拠の一覧表がなくとも十分に可能であると考えています。

その上で、本法律案においては、裁判所による証拠やその一覧表の提示命令の制度を設けることとしており、これらも活用することで、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されることとなると考えています。

最後に、証拠の目的外使用の禁止に係る罰則についてお尋ねがありました。

現行法上、通常審における検察官開示証拠について、証拠の複製等の目的外使用の禁止に関する規律が設けられているところ、本法律案においては、関係者の名誉、プライバシーの保護等を図るため、再審請求審において謄写された証拠の複製等についても、通常審と同様の規律を設けることとしています。

そして、目的外使用の禁止規定の実効性を担保するため、違反行為について罰則を設けることとしていますが、弁護人等による目的外使用が罰則の対象となるのは、対価として利益を得る目的であった場合に限られます。

また、目的外使用の禁止に違反した場合の措置については、複製等の内容、行為の目的、態様等の個別の事情を考慮することとしています。

したがって、弁護人等が証拠の複製等をマスコミ等に提供したとしても、その全てが処罰の対象となるわけではありません。(拍手)

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