中川宏昌 (中道改革連合)

2026年4月14日・第221回国会 衆議院 本会議 第12号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 17 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 31 発言)

中道改革連合の中川宏昌です。

会派を代表し、ただいま議題となりました防災庁設置法案並びに防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、全て高市総理に質問いたします。(拍手)

今日、四月十四日は、最大震度七を二度観測した熊本地震の発生からちょうど十年という大きな節目を迎えます。

改めて、この震災により犠牲となられた全ての方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

私たちは、未曽有の被害をもたらした東日本大震災、能登半島地震など、これまであまたの災害で失われた貴い命と、今なお仮設住宅等で困難に直面されている方々の思いを決して忘れてはなりません。

我が国は、近年の気候変動の影響により、自然災害は頻発、激甚化し、全国各地で、豪雨、台風や、地震、豪雪、噴火などの災害による深刻な被害に見舞われています。中央防災会議の発表によると、南海トラフ巨大地震では、最大死者約二十九万八千人、経済被害約二百七十兆円に及ぶと予想されています。

国民の命と暮らしを守るとの崇高な使命と責任を託されている私たちは、こうした国難級の災害に真正面から備えるべく、防災、減災が主流となる社会を必ず実現しなければなりません。

私が公明党に所属していたときから、これまで、事前防災から復興までの一貫した司令塔としての防災庁の設置を公約に掲げ、その実現に向けて粘り強く訴えてまいりました。こうした長年の取組が実を結び、防災庁設置に係る法案が国会に提出されたことを高く評価いたします。

しかしながら、新たな組織となる防災庁は、各省庁の屋上屋とならないのか、各省庁の縦割りの弊害を克服できるのか、そして専門職人材を育成、確保できるのか、地域防災力は向上するのかなどなどの諸課題が解決される法案となっているかが重要です。

以下、具体的に質問をさせていただきます。

私は、能登半島地震発災直後から五十八回にわたり現地に足を運び、被災者の声に耳を傾けてまいりました。被災現場には、机上では見えない厳しい現実があります。発災直後から、被災自治体職員は、自らも被災をしながら、避難所設営や物資支給、罹災証明書の発行など、昼夜を問わず尽力してきました。

一方で、避難所環境の厳しさ、在宅避難者への支援不足、要配慮者を抱える家族の疲弊、情報不足への不安など、被災者を取り巻く困難は深刻です。さらに、六十五歳以上が五五%を占める超高齢化や脆弱なインフラが復旧復興を一層困難にしています。こうした課題は、防災庁設置を契機に抜本的に改革すべきです。

法案が、科学的リスク評価に基づく事前防災と被災者の良好な生活環境の確保を掲げた点は評価をします。しかし、その実現には、防災庁の組織、制度、予算、人員配置の具体化と、全ての人の尊厳を守るという理念を根幹に据えることが不可欠です。

防災庁が司令塔機能を発揮するに当たり、法案では中央防災会議が鍵を握ることになっていますが、その機能を十分発揮できる仕組みになっているかということを危惧しております。

そこで、中央防災会議が置かれる防災庁は、有事の際だけ号令をかける指揮組織ではなく、平時から地方自治体や被災者支援の民間団体の意見が反映される仕組みを構築し、事前防災から応急対応、復旧復興までを切れ目なく支える常設の防災司令塔としての役割を果たせるように位置づけるべきではないか。

また、防災庁と各省庁や実動部隊との役割分担を明確にして、防災庁が屋上屋とならない制度設計となっているのか、総理の答弁を求めます。

次に、防災庁が実効性を伴う防災、減災を実行できる司令塔となるためには、縦割りを超える実行力、自治体に寄り添う伴走力、そして、情報を意思決定につなぐ統合力を持つことが不可欠です。

災害時には、物資、医療、福祉、在宅避難者、要配慮者支援などの情報が、別々の機関、別々のシステムで管理されがちです。その結果、情報が集約されず、責任者の意思決定の判断に使えない、実行部隊に届かないという事態が起きています。

必要なことは、防災庁、国の関係省庁、地方自治体、実動部隊の間で共通の状況認識を持ち、それらが的確な避難判断、応急支援、物資輸送、医療、福祉支援の重点化へ直結する仕組みが重要です。

防災庁はこの情報統合基盤の司令塔となるのか。誰が情報を入力し、誰が閲覧をし、誰が意思決定し、誰が実行するのか。単なる見える化ではなく、デジタルで一元化された情報がリアルの意思決定と現場執行にどう連動するのか、総理に答弁を求めます。

次に、現場の実動力と自治体への伴走支援についてお伺いいたします。

災害を乗り越えてきたのは、最前線で動く現場の力です。しかし、小規模自治体では、大規模災害時に支援の受入れ窓口そのものが機能不全に陥ることがあります。そこで不可欠なのが広域的な支援体制の標準化であり、全国共通の標準モデルを整備し、平時から訓練しておく必要があります。

防災庁は、地方の出先機関である防災局を、単なる地方自治体との連絡窓口ではなく、広域支援制度、物資輸送、情報集約、被災者支援の実動拠点としてどう構築するのか。また、災害時に支援を円滑に受け入れ、活用することが困難な自治体に対し、平時からどのような伴走支援を制度として届けるのか、総理に答弁を求めます。

次に、事前防災の推進についてお伺いをいたします。

私どもは、これまでも、日常の備えなくして危機管理なしという考えを重視してまいりました。インフラの点検、補修による強靱化の推進、物資備蓄や地域防災訓練、災害弱者の把握など、地域防災力の向上こそ最大の危機管理です。被災者支援や応急復旧の強化と、災害を未然に防ぎ被害を軽減する事前防災は、まさに車の両輪です。

そのためには、人員、物資、輸送、医療、福祉、通信などのリソースが十分にあるのかを、地域レベルで具体的かつ分野横断的にシミュレーションし、災害リスク評価を実施する必要があり、その評価に基づいて、避難計画、受援体制、備蓄計画、インフラ投資を進めるべきです。

国、都道府県、市町村が連携をして、各地域における災害リスク評価とそれに基づく事前防災をどう推進していくのか、防災庁の取組を総理にお伺いをいたします。

次に、被災者支援と福祉の法定化についてお伺いいたします。

昨年の法改正で、私どもの強い働きかけで、災害対策基本法、災害救助法に福祉サービスの提供が明記されたことは大きな前進です。しかし、理念が法律に書かれただけでは現場は変わりません。

避難所における災害関連死を防ぐためには、初動段階から介護や福祉的ケアを確実に行き渡らせることが不可欠です。特に、TKB、トイレ、食事、寝具の確保は、避難者の命と健康を守るための最低条件と言えます。今後は、国際的なスフィア基準を踏まえ、避難所環境の標準化とその導入を強力に推進していくことが求められます。

能登半島地震では、多くの介護関連施設が深刻な被害を受け、入居者を受け入れることができる介護施設が足りず、やむなく、いしかわ総合スポーツセンターを仮の受入れ施設としたものの、介護士の数が絶対的に不足しました。

防災庁の制度設計において、在宅避難、車中泊、広域避難にも対応できる災害ケースマネジメントの拡充、いざというときに即応体制が取れるよう、DWATの十分な人員確保をどこまで制度として担保できるのか。また、災害救助の概念を、単なる生存から、尊厳ある生活の維持へと実質的に高める決意があるのか、総理に答弁を求めます。

最後に、専門人材の育成と産官学民の総力結集についてお伺いをいたします。

災害のたびに各省庁から人を集め、数年ごとの異動で入れ替わるこれまでの体制では、専門性も支援ノウハウも蓄積されません。防災庁が単なる出向者の寄り合い所帯であっては、真の司令塔としての役割を果たすことが難しくなると危惧されます。

法案にある防災大学校を核として、専門職人材の育成、確保を進めることが最重要のミッションです。例えば、専門職人材育成の場として、アメリカのFEMAの訓練場であるディザスターシティーを模して福島浜通りに設置されているロボットテストフィールドを活用することを提案します。

また、自治体、民間、NPOとの人事交流を進めるとともに、共通指揮体系の整備を恒常的な仕組みとして定着させるべきです。防災DXについても、高齢者、障害のある方、外国人を含め、最後の一人まで情報と支援が届く仕組みでなければなりません。

政府の専門職人材の育成、確保、並びに産官学民の総力結集に向けての具体的な方策をどうするのか、総理に答弁を求めます。

防災庁の設置は、ゴールではなく出発点です。縦割りを排した実効性ある制度運用が示されて初めて国民の信頼が得られます。

平時のインフラ強靱化はもちろん、有事には、専門人材が被災者の小さな声に寄り添い、生活再建までをきめ細やかに支え抜く。現場主義を貫く真の司令塔として機能することを強く求め、私の質問を終わります。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕

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