自動車運転死傷処罰法におきましても、母体に対する有形力の行使によって胎児に傷害結果が生じた場合には母体に被害が生じたものと捉えられておりまして、御指摘のような場合、すなわち、自動車事故によりまして胎児が傷害を負って出生して、出生後に傷害が増悪していない場合において、人に傷害結果が生じたものとして自動車運転死傷処罰法で処罰するために新たな法整備が必要かということでありますが、今後の裁判例や学説の動向なども見極める必要がありまして、現時点で一概に申し上げることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
佐藤淳法務省刑事局長
2026年5月26日・第221回国会 衆議院 法務委員会 第13号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 19 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 143 発言)
前後のやりとり
では、刑法一般ではなくて、特に自動車運転死傷行為処罰法における解釈によって、胎児を犯罪の客体である人に含めることはできないのか、法務当局にお伺いをいたします。
お答えいたします。
自動車運転死傷処罰法も刑事法体系の一部を成すものでございまして、その基本法である刑法の解釈に即して、母体からいまだ露出していない胎児について、犯罪の客体である人に含まれていないと解されているものと承知しているところでございます。
では、自動車事故によって胎児が傷害を負って出生し、出生後に傷害が増悪していない場合であっても、人に対する傷害として自動車運転死傷行為処罰法において処罰するためには新たな法整備を要するのか、法務当局にお伺いをいたします。
- (上の発言)
自動車運転死傷処罰法におきましても、母体に対する有形力の行使によって胎児に傷害結果が生じた場合には母体に被害が生じたものと捉えられておりまして、御指摘のような場合、すなわち、自動車事故によりまして胎児が傷害を負って出生して、出生後に傷害が増悪していない場合において、人に傷害結果が生じたものとして自動車運転死傷処罰法で処罰するために新たな法整備が必要かということでありますが、今後の裁判例や学説の動向なども見極める必要がありまして、現時点で一概に申し上げることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
ここまでを改めて確認させていただきまして、立法府である国会としては、やはり裁判所や検察の司法にその判断の全てを委ねるべきではないと考えております。
そこで、まずは自動車運転死傷行為処罰法に規定する犯罪に限って胎児を犯罪の客体として人に位置づけて、自動車事故によって胎児が死傷した場合においても過失運転致死傷罪等を適用できるように法改正を行うべきではないかと考えておりますが、法務当局の見解をお伺いをいたします。
委員御指摘のように、自動車運転死傷処罰法に限って、あるいは刑法も含めまして、いろいろな考え方はあるかと思うんですけれども、胎児を人そのものとして位置づけるかということにつきましては、人の生命観や倫理観に深く関わる事柄でありまして、胎児をどの段階から人として扱うべきか、あるいは、現行法の下では不可罰となっている過失により胎児を死亡させる行為等が処罰の対象となるのではないかといった課題があるほかに、自動車運転死傷処罰法においてのみ胎児を人そのものと位置づける場合には、刑法その他の刑罰法令との整合性の問題も生じることになりますので、慎重かつ丁寧な検討が必要であ…
そうした慎重な、かつ幅広い意見を鑑みながら今後検討いただかなければいけないわけですけれども。 ここで、本当に仮にということになりますけれども、自動車運転死傷行為処罰法において胎児を犯罪の被害者、客体である人とみなした場合、例えば、考えなければいけないだろうケースとして、妊婦の夫であり胎児の父親である者が運転する自動車による交通事故に起因して、胎児が傷害を負ったとします。このとき、胎児の父親を処罰してほしくないと胎児の母親が求める場合が当然にあるんだろうと考えられますけれども、これは本当に例えばになりますけれども、そのような胎児の母親の意見、要望は検察の…