ありがとうございます。
続いて、損害賠償額の算定規定の見直しについて伺います。
今回、育成者権者の利用能力を超える数量についても許諾料相当額を損害として加算できることとし、また、侵害があったことを前提として許諾交渉した場合に、育成者権者が得られた対価を裁判所が考慮できることとしています。特許法の同様の規定を参考にしたものと理解しておりますが、育成者権者が訴訟を提起した際に実際に即した損害賠償を得られるようにするには、権利行使のインセンティブを高めるという点で重要です。
しかし、そこに至るまでの過程はどうでしょうか。農研機構の種苗管理センターへの侵害相談件数は、令和六年度に国内外合わせて、四十三件と、増加傾向にあります。一方で、農林水産省が令和七年度に育成者権者に行ったアンケートでは、侵害を受けた、あるいは侵害が疑われる事例があったにもかかわらず、約七割が法的措置を取れていません。その理由として最も多いのが、侵害が確かかどうか判断できない、あるいは訴訟を提起するのに必要な証拠が集まらないというものです。つまり、問題の本質は、損害額の算定方法ではなく、そもそも侵害を立証できないという、訴訟の手前の段階にあるのではないでしょうか。
種苗は、一度流出すると容易に増殖できます。どこかの農場で無断増殖されているとしても、それを権利者が現場に乗り込んで確認することは現実的に困難だと思います。オンライン販売の拡大により、誰が登録品種の名称を使って種苗を販売しているかを追跡することも難しくなっていると思います。損害額の算定規定を精緻化しても、侵害の立証ができなければ、裁判の土俵にすら上がれないのではないでしょうか。制度の骨格をつくっても支える体制が整わなければ、絵に描いた餅になりかねません。
今回の法案は、登録品種の名称を使用して譲渡、貸し渡しされた種苗については、当該登録品種の種苗であると推定する規定が創設されています。立証の一部を容易にする措置として評価はできますが、無断増殖の現場確認という最も困難な部分への手当てとしては十分とは言えないように思います。
そこで、二点お伺いしたいと思います。
一点目、政府は、侵害立証の困難という根本課題に対して今回の法改正の中でどのように手当てをしているのでしょうか。第三十五条の三の規定以外に、立証を容易にする仕組みとして何を用意し、それにより、約七割が法的措置を取れていないという現状を変えられるとお考えなのか。
二点目に、侵害相談件数が増加傾向にある中で、農研機構の種苗管理センターの対応体制は現状どのような規模なのでしょうか。今回の法改正により権利行使が活発化した場合、相談件数が更に増加することが想定されますが、その体制強化のための具体的な予算、人員の手当てをしっかりと講じていくべきではないかと考えますが、政府のお考えをお聞かせください。
67杉杉中淳農林水産省輸出・国際局長
お答えいたします。
議員御指摘のように、我が国で育成された新品種の品種登録出願件数は、平成十九年の九百五十五件をピークに減少傾向にありまして、近年は三百から四百件程度となっております。
出願件数の原因でございますけれども、令和二年以降の顕著な差として、参考人質疑で油木日本種苗協会会長から説明がありましたように、気候変動への対応といった新しい育種需要が生まれてきまして、これに対応するために、新品種の開発コスト、これが非常に上がっているということと、また、議員から指摘がありましたように、専門性の高い育種などの研究を行う特に都道府県などの公的機関の研究職員…
この発言のページ
68原原山大亮(維新)
ありがとうございます。
本法案の附則第八条には、施行後五年をめどに施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、検討を加え、必要な措置を講ずるという検討規定が置かれています。令和二年改正にも附帯決議という形で同様の趣旨の確認がなされていたと承知していますが、その検討結果が今回の改正の立法事実として明示的に示されているかというと、必ずしもそうはなっていないようにも思います。
五年後、検討規定が形骸化しないよう、今回の改正の施行後においてどのような指標で効果検証を行うのか、政府の考えをお聞かせください。
この発言のページ
69
根本幸典(自民)農林水産副大臣
お答え申し上げます。
今回の種苗法改正法案につきましては、農水省において、優良品種の管理・活用のあり方等に関する検討会を開催し、令和二年種苗法改正の効果を含めて有識者に議論をいただき、その結果を踏まえたものであります。
今回の種苗法改正法案についても、委員御指摘のとおり、五年後をめどに、法施行後の状況を農水省で把握し、その結果を踏まえて見直しの検討を行うことが必要と考えております。
その際には、例えば、我が国の優良品種の海外流出の状況について調査し、抑止の効果について把握するとともに、食料・農業・農村基本計画において海外ライセンスの推進などの新たな…
この発言のページ
- (上の発言)
70原原山大亮(維新)
ありがとうございます。
続いて、損害賠償額の算定規定の見直しについて伺います。
今回、育成者権者の利用能力を超える数量についても許諾料相当額を損害として加算できることとし、また、侵害があったことを前提として許諾交渉した場合に、育成者権者が得られた対価を裁判所が考慮できることとしています。特許法の同様の規定を参考にしたものと理解しておりますが、育成者権者が訴訟を提起した際に実際に即した損害賠償を得られるようにするには、権利行使のインセンティブを高めるという点で重要です。
しかし、そこに至るまでの過程はどうでしょうか。農研機構の種苗管理センターへの侵害相談件数は、令和六年度に国内外合わせて、四十三件と、増加傾向にあります。一方で、農林水産省が令和七年度に育成者権者に行ったアンケートでは、侵害を受けた、あるいは侵害が疑われる事例があったにもかかわらず、約七割が法的措置を取れていません。その理由として最も多いのが、侵害が確かかどうか判断できない、あるいは訴訟を提起するのに必要な証拠が集まらないというものです。つまり、問題の本質は、損害額の算定方法ではなく、そもそも侵害を立証できないという、訴訟の手前の段階にあるのではないでしょうか。
種苗は、一度流出すると容易に増殖できます。どこかの農場で無断増殖されているとしても、それを権利者が現場に乗り込んで確認することは現実的に困難だと思います。オンライン販売の拡大により、誰が登録品種の名称を使って種苗を販売しているかを追跡することも難しくなっていると思います。損害額の算定規定を精緻化しても、侵害の立証ができなければ、裁判の土俵にすら上がれないのではないでしょうか。制度の骨格をつくっても支える体制が整わなければ、絵に描いた餅になりかねません。
今回の法案は、登録品種の名称を使用して譲渡、貸し渡しされた種苗については、当該登録品種の種苗であると推定する規定が創設されています。立証の一部を容易にする措置として評価はできますが、無断増殖の現場確認という最も困難な部分への手当てとしては十分とは言えないように思います。
そこで、二点お伺いしたいと思います。
一点目、政府は、侵害立証の困難という根本課題に対して今回の法改正の中でどのように手当てをしているのでしょうか。第三十五条の三の規定以外に、立証を容易にする仕組みとして何を用意し、それにより、約七割が法的措置を取れていないという現状を変えられるとお考えなのか。
二点目に、侵害相談件数が増加傾向にある中で、農研機構の種苗管理センターの対応体制は現状どのような規模なのでしょうか。今回の法改正により権利行使が活発化した場合、相談件数が更に増加することが想定されますが、その体制強化のための具体的な予算、人員の手当てをしっかりと講じていくべきではないかと考えますが、政府のお考えをお聞かせください。
71杉杉中淳農林水産省輸出・国際局長
お答えいたします。
委員御指摘のように、育成者権者にとっては、侵害の立証、特に、侵害の疑義のある品種と登録品種の同一品種の証明というのが非常に、そのための証拠集めが難しいという課題がございます。このため、今回の種苗法改正法案では、品種登録名称により品種の同一性を推定する規定を創設をしたところでございます。
品種の同一性の立証でございますけれども、栽培試験などの設備を持たない私人が、栽培により特性が同じであることを立証しなければならない、また、DNAの活用等も考えられるわけですけれども、DNAにつきましては、ごく一部の品種しかゲノム解析が行われていない…
この発言のページ
72原原山大亮(維新)
ありがとうございます。
ここまで、制度の論理的整合性と実効性について確認をしてまいりました。
最後に、この制度が実際の農業現場にどう響くかという観点から伺いたいと思います。
今国会には、本法案と同時に、高温耐性、耐病性等を有する重要品種の育成、普及を図る、重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案も提出されています。また、令和七年十二月に設置された農林水産行政の戦略本部では、種苗や種子の生産が守りの分野として位置づけられたと承知しています。
これらの議論は、ともすれば、輸出促進や知的財産のグローバル展開という文脈で語られがちです。しかし…
この発言のページ
73
鈴木憲和(自民)農林水産大臣
お答え申し上げます。
今回の両法案によりまして、産学官が連携することによりそれぞれの強みを発揮し、優良な品種を迅速に開発普及するとともに、育成者権の存続期間の延長や、登録品種の輸出目的保管の育成者権の対象への追加などにより、育成者権の保護を強化することで、育成者が持つ知的財産を適切に保護します。その上で、経営規模の大小を問わず、多くの農業者が優れた形質を持つ品種の効果を広く享受することが可能になりまして、品種の開発者から利用者まで幅広く制度の恩恵を受けることが可能になると考えております。
また、種子や種苗の生産は、食用の生産と比べて単位面積当たりの収…
この発言のページ