小川洋平株式会社ゼンショーホールディングス代表取締役社長兼CEO

2026年5月20日・第221回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 4 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 91 発言)

ゼンショーホールディングスの小川と申します。よろしくお願いいたします。

私どもゼンショーホールディングスは、外食事業を行っておりまして、お米に関しましても、当然ではございますけれども、主要な食材として使用させていただいております。その立場から、本日は、食糧法改正案に関しまして意見を申し述べさせていただければというふうに思います。

お手元に横長の資料がございますので、御覧いただきながらお聞きいただければと思います。

一ページおめくりいただきまして、本日、食糧法改正案の主要な改正事項でございます、一つ目は在庫報告ですね、二つ目は、先取りして申し上げますと、民間備蓄に関してそれぞれ意見を述べさせていただいた上で、最後に法案の全体像、若しくはお米の農政に関する全体に関して少し意見を述べさせていただければというふうに考えております。

まず、二ページ目の在庫報告に関してでございます。

今回の改正内容といたしましては、いわゆる中食、外食の事業者も含めて在庫の報告義務を求めるという内容と承知をいたしております。

私ども外食事業者としての立場で見解を述べさせていただくと、私どもの使用するお米というのは、基本的に、流通全体の中では非常に限られた分量であろうというふうには考えております。基本的に、私どもは、玄米の保管機能というものは一般に持っておりませんし、精米の機能というものも持っておりませんので、精米後の白米の形で、近日中に使用する分を在庫しているかどうかということで、場合によっては、卸の事業者さんから直接お店に納入していただくような場合も多くございますので、外食事業として在庫している分に関しては非常に限られているという認識でございます。

その上ででございますけれども、仮に在庫報告を求められた場合でございますが、私どものような一定の規模のございます事業者であれば、在庫報告に対応することは十分可能であろうというふうには考えております。他方で、やはりそういった体制の整っておられない中小の事業者さんに関しましては、この在庫報告の負担が大変だというお声は業界団体も通じて聞いているところでございますので、こちらには是非御配慮をいただいた制度の設計としていただきたいなというふうに思っております。

制度論としてというふうに書かせていただきましたけれども、今回のいわゆる令和の米騒動でございますけれども、流通の目詰まりということが初期において非常に言われたわけですけれども、結果においては、これは農水省さんのお出しになっている資料からも、流通の目詰まりというよりは、需給を見誤ったということが最終的には要因として大きかったというふうに理解をしております。

消費、需要の減少トレンドを前提として生産をある程度抑制したところ、思った以上に消費が伸びて、生産に関しては、その前の年のお米がやはり歩留りがよくなかったということもあり、大きなギャップを生じてしまったというふうに理解をしております。加えて、米価の高騰が出てきた後においても、流通の目詰まりという仮説を排除し切れなかったことによって、備蓄米の放出の判断が遅れてしまったということではないかというふうに考えております。

これを踏まえて申し上げますと、赤枠の中ですけれども、外食事業者も含めて在庫報告をさせていただくということの意味合いがあるとすれば、こうしたいわゆる流通のどこにあるのかないのかという議論を明確な数字を基に行うことができますので、これを基にして、備蓄の放出を行う、行わないという判断が速やかに行っていただけるのではないか、そういった効果が見込めるのではないかというふうに考えております。加えて、需給の見通し、引き続きお示しいただくと思いますけれども、こちらの精度の向上という意味でも、在庫の状況を把握していただくということの意味はあるかなというふうに考えております。他方で、先ほど申し上げたように、やはり中小の事業者さんの事業負担、こちらには是非御配慮をいただきたいというところでございます。

一番下の部分でございますけれども、やはり生産者の生産を抑制するという部分が、これは長年の米農政の一つの基本的なマインドとしてあったのではないかというふうに考えております。こちらは、今回の法改正で生産調整という文言を削除していただくということで、これは大きな転換であろうというふうに考えておりますけれども、やはり供給の安定ということは非常に重要であるというふうに考えておりますので、そういった側面からは、生産者さんの生産意欲を抑制しないという制度全体の方向性、あるいは行政としてのメッセージというものが非常に重要ではないかというふうに考えております。

では、続いて三ページ目、おめくりいただきまして、民間備蓄についてでございます。

大きく制度改正の内容としましては、不作時だけではなくて、需要の拡大時においても備蓄米の放出を可能にする、また、国家備蓄のみではなく、民間でも備蓄を求めていくという内容と承知をしております。

一つ目の意見として申し上げたいところは、備蓄の条件を緩和するということ自体は、今回の事態に鑑みると必要であろうというふうに考えておりますけれども、その時々の恣意的な判断で、価格の調整弁のような形で備蓄米が気軽に放出されてしまうということはやはり本来のあるべき姿ではないというふうに考えておりますので、何らかの形で放出の基準に関して定めていただくのが望ましいのではないかというふうに考えております。

加えて、民間備蓄そのものについてでございますけれども、政府の備蓄を補完する形で民間の備蓄を活用していただく、特に、既存の民間の米卸事業者さんの商流を使って速やかに放出をしていこうというのは、これは理解できる制度設計だというふうに考えております。

他方で、民間の米卸事業者さんも、政府の備蓄米と同じように営業倉庫に保管していて、いざというときに出庫する作業というものは余り政府備蓄と変わらないのではないかというところもございますので、速やかに備蓄を放出して消費地に届けるというオペレーションをどう行うかという部分に関しましては、米卸の事業者さんと密接にコミュニケーションをしていただいて、具体的な想定が必要になるのではないかというふうに考えております。

また、在庫の一定割合、一割程度を備蓄として確保するという内容と承知しておりますけれども、この備蓄として扱う部分の在庫管理ですとか、保管に係る費用負担といったものに関しては、当然ではございますが、明確なルールの設計が必要と考えておりますので、この辺りは今後お示しいただく部分かというふうに考えております。

最後、三番として書かせていただきましたが、民間在庫を備蓄として扱うということは、一定の、速やかな備蓄の放出という意味では効果的と思いますけれども、例えば、不作が複数年連続したというような場合におきましては、ふだんの在庫に対して備蓄用の在庫というのを大きく積み増しているという状態ではないということですので、本当に不作時のバッファーとしては、やはり民間在庫そのものでは対応が難しいのかなというふうに想像をいたしております。

そういった意味では、政府の在庫というものが引き続き備蓄としての中心的な機能を担うであろうというふうに考えておりますので、民間備蓄だけに依存しない制度設計としていただきたいというふうに考えております。

次のページ、おめくりいただきまして、残された課題というふうに書かせていただきました、やや僭越ではございますけれども。

一つは、今回の法案の目的規定で、需給の安定というふうに条文で記載されていると拝見をいたしました。需給の安定、言葉としては、意味するところがちょっと不明確なのかなという気もいたしておりまして、私どもとしては、やはり需要に対して供給を安定させる、安定的な供給というところが米農政としては一番の優先ではないかというふうに考えております。

あわせまして、先ほども申しました生産の抑制というところですね。長い歴史がございますので、需要に応じた生産という言葉が、イコール生産抑制あるいはその継続というふうに受け取られないように、需要の拡大ということはある程度やっていただくとして、そこに対してきちっと供給をして、安定的にお米が手に入る状態を実現していくという部分に力点を置いた政策としていただきたいなというふうに思います。

その上で、需要を拡大するとはいえ、それに対しても、作り過ぎてしまってお米の価格が暴落してしまったらどうするんだというところは、やはり生産者さんの観点としてはおありかというふうに思いますので、そういった場合には、例えば、あらかじめ需要を拡大しますというよりは、過剰に作り過ぎてしまったときはこういった形で輸出を支援しようですとか、あるいは加工用米への転用を支援しようですとか、そういった作り過ぎてしまった場合の政府としての御支援というような考え方があると、生産者さんとしては不安なく生産しやすいのではないかなというふうに考えております。

続きまして、価格に関してでございます。

やはり価格というところが非常に大事だと思っておりまして、量が足りていても価格が高騰してしまっては、これは消費者にとっては一大事であるというふうに考えております。やはり主食であるお米、特に、おいしい日本米が手頃な価格で手に入るという状態が消費者にとっては非常に大事で、手頃な価格でお米が手に入らないということは国家の一大事であるというふうに前提として認識を共有していただきたいなというふうに考えております。

その上で、消費者が手頃なお米を入手できるけれども、農家さんにとってもきちんと収支が立って生活をしていけるという、いわば生産者さんと消費者がウィン・ウィンの状況というのをつくっていくべきと思っておりますので、そのためには、やはり生産性を上げていくというところが大前提であろうというふうに考えております。少ない労働力でもきちんとした量のお米を取れて、それを市場に供給できる、そのためには生産性の向上が不可欠だと考えておりますので、やはりここを政策の中心に据えていただきたい。

もう一つ、これは実態といたしまして、やはり概算金が価格形成に与える影響というところは無視できない。特に、令和七年産のお米に関して、ある程度作況がいいという状況が見えたにもかかわらず、価格が著しく高い水準から下がらなかったということは、この概算金の価格形成機能が果たした影響というのが大きいかなというふうに率直に考えております。ここに関しても、何らかの形での見直しが避けられないのではないかというふうに考えております。

最後のページですけれども、これも僭越ではございますが、米農政として、こういった大枠であるべきではないかという姿を書かせていただきました。

先ほど申し上げました生産者と消費者がウィン・ウィンになるべきというところで、そのためには生産を増やす、生産性を上げる、それから消費を上げるということを、三本の矢というふうに書きましたけれども、一体として進めていただくということが農政の大きな枠組みとしては今後のあるべき姿ではないかというふうに考えております。

以上をもちまして、私の意見陳述とさせていただきます。

ありがとうございました。(拍手)

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