長妻昭 (中道改革連合)

2026年6月24日・第221回国会 衆議院 内閣委員会 第22号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 152 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 346 発言)

当然、直ちに変わるわけではありませんけれども、もちろん、この法律ができれば着目をして捜査をされるというふうに事前にはお伺いしました。

これは自民党の中でも異論が上がっていると聞いておりまして、六月十二日号の雑誌で、岩屋毅さんがインタビューに応じておられて、非常に私の気持ちとほぼ同じことをおっしゃっておられて、見識の深さを感じるわけでありますけれども、こういうことをおっしゃっているんですね、今回の国旗損壊法について。そもそも、立法の動機そのものが純粋な法益保護ではなく、一部の政治的主張や特定の支持層へのアピールから始まっていると言わざるを得ない、そこに大いなる憲法上の懸念を抱くと。

そして、もう一つおっしゃっておられるのは、かつてのように国民の思想統制の道具に、この国旗損壊罪がまかり間違えば悪用されるおそれすらあります。法益の曖昧な刑罰の新設は国家権力の肥大化につながり、近代立憲主義の理念に背反すると思います。最大の懸念は、内心の自由や表現の自由への深刻な萎縮効果です。どういう形状なら国旗と認定されるのか、どこからが損壊や汚損に該当するのか。アートや風刺における表現の境界線はどこか。本来なら国民が心配する必要のない細部に至るまで国家の視線を意識せざるを得なくなる。エスカレートしていくと、なぜあそこの家は国旗を掲げないのかという相互監視の同調圧力へと発展しかねません。国旗が自然な敬愛の対象から処罰の対象へと変容すれば、日本が戦後培ってきた自由主義、民主主義の土台が掘り崩されていく端緒になりかねないとおっしゃっておられるわけです。

こういう非常に心配の声が自民党の中からも、この方以外にも上がっていると聞いております。石破首相からも、六月六日の番組で、刑罰をもって臨むことなのか、法理論的に余り正しくない、保護法益が明確でないと。私も同感であります。

ちょっと配付資料をお配りしました。これは戦前の新聞記事の抜粋ですが、一九三八年から、国旗に対して相当神経質に国がなってきた。国家精神総動員ということで国がスローガンを掲げて、二ページ目を御覧いただきますと、これは対米戦争が始まる三年前の新聞であります、「白地に赤き純潔の“日の丸”を守れ! 国旗冒涜者が意外に多いと県が検閲標準を定む」。一ページ目を御覧いただくと、「「日の丸」を濫用するな カフエーやバーの宣伝マツチ 内務省断乎乗出す」「“尊厳を高めよ”」ということで、国旗の印をマッチのところに描いたりしてけしからぬ、尊厳を守れということが出てきました。三ページ目ですけれども、「“日の丸広告”にお灸 県でもキツイお達し」というようなことが出てまいりました。四ページ目は、「日章旗に文字を書き込んではいけません」ということで、こういう話が出てくると、皆さんは限定限定、客観的とおっしゃいますけれども、やはり萎縮効果が上がってくる、大きくなってくるんじゃないかなと私は心配するんですね。

かつての日本は、言うまでもないことですけれども、かなり空気がつくり上げられて、一旦一方的な空気がつくり上げられると、やはりそこに、ぎゅっと極端な方向に行ってしまう、非常に日本は同調圧力の強い国でありますので。そういうことも考えながら、声を上げやすい社会にしていく、異論を排すのではなくて、声を上げやすい社会にしていく、余りにも萎縮効果を高めるようなことは極力防いでいく、必要やむを得ないときは、明確に構成要件を決めて罰則をかけていくということが私は原則で、我が国が道を誤らない最も重要なことだというふうに思っているんです。

アメリカの話も先ほど出ましたけれども、米国も、調べてみますと、国旗損壊罪という、法律があるわけでありますが、これが違憲判決が出てしまったんですね。連邦最高裁が、逮捕についても、国旗損壊行為の処罰は表現の自由を規定する合衆国憲法に違反するとの判決を下して、確定している、国旗損壊行為を処罰する法律は、存在はしているけれども、実際には存在していないことと同じ状況になっているということです。

保守派の裁判官が、最高裁判事がこういうことをおっしゃっているということも紹介がありました。この方は、私は疑いなく愛国主義の保守派であり、国旗を燃やすことを嫌悪している、私が王だったら処罰する、しかし、政府、議会、裁判所、そして国家や国旗さえも侮辱する権利を保障しているのが憲法であるという言葉を残している、愛国主義の自身の立場よりも、米国は王でなく憲法が支配する国だという基本理念を優先させていた、こういうような紹介があるわけであります。

是非、国民の皆さんが萎縮しないように、きちっとした議論、明確な根拠、そして明確な立法事実、これを示していただくということが何よりも重要だというふうに考えております。

どうもありがとうございました。

前後のやりとり

148の発言を見る

156の発言を見る

顔写真の出典(Wikimedia Commons、4件)