林鉄兵日本労働組合総連合会副事務局長

2026年4月21日・第221回国会 衆議院 厚生労働委員会 第5号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 13 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 104 発言)

ありがとうございます。連合副事務局長の林と申します。

本日は、意見表明の機会をいただきまして、ありがとうございます。

健康保険法等改正法案に関する連合の考え方につきまして、大きく六点申し述べたいと思います。それぞれ、ポイントにつきましては資料を配付させていただいておりますので、適宜御覧いただければというふうに思います。

一点目は、出産への支援強化、現物給付化についてです。

連合は、かねてより、希望する人がどの地域であっても安全、安心に子供を産み育てることができる環境整備に向けて、負担軽減措置を講じつつ、正常分娩も含め保険適用すべきと求めてまいりました。

今回、出産への支援強化として、標準的な出産費用を無償化する、保険診療以外の分娩対応に要する費用を全国一律の水準で現物給付化するとし、妊婦の自己負担が生じない仕組みにすることは評価しているところでございます。

今後は、費用の見える化をしながら、具体的な制度設計を着実に進めていただきたいと思いますし、昨今、無痛分娩へのニーズが高まっているところでもありますので、安全や質の確保を前提に、無痛分娩だけではなく、助産師の行う産痛緩和ケアについても保険適用とする方向で検討いただければと考えています。

また、全ての医療機関で保険適用が行われるまでの移行期間において、経過措置として現行制度を一部で適用することについては、やむを得ない点はあるかと思いますけれども、医療機関によって対応が異なれば、妊婦からすれば分かりにくく、不公平と受け取られるのではないかとも考えますので、あくまでも例外ということで取り扱い、期限を区切って対応していただければと思っています。

二点目は、医療機関の業務効率化、勤務環境改善についてです。

安全、安心で質の高い医療提供体制を確保するためには、それを担う人材確保と離職防止の取組が欠かせません。そのためには、医療現場で働く方の勤務環境の改善は不可欠であり、ICTなどを活用して、現場の負担軽減、業務効率化を図ることは重要だと考えています。

ただし、ICTなどを活用したからといって、人員削減が可能になるといった単純なことではないと考えますので、人員確保、離職防止という観点からも、人員配置基準を緩和することなく、真に働く者の負担軽減に資する取組となるようにしていただきたいと考えています。

また、各医療機関における取組を組織的に進めていくためには、まず計画の策定段階から労使でしっかり話し合うことが重要だと考えています。その上で、進捗状況を確認しながら、現場の実態や従業員の声を踏まえて必要な見直しを行うとともに、計画の内容や進捗状況について、従業員に丁寧に周知していくことが求められると思います。

国が取組を支援するに当たっては、こうした点も踏まえ、指針等で考え方を示すとともに、実態の把握や検証を行っていくことが重要だと考えています。

三点目は、一部保険外療養の創設についてです。

今回の対応につきましては、必要な受診を確保するという前提で整理されたものだと受け止めております。ただ、患者の立場から見ると負担増となる面もありますので、対象とする薬剤や要配慮者の範囲など、詳細を詰めていくに当たっては丁寧な検討が必要だと考えています。

その際には、国民や患者の理解と納得が得られるよう、なぜこの薬剤を対象とするのか、なぜ患者負担をお願いするのかといった点について分かりやすい説明を行うことはもちろん、今後の議論の進め方についても透明性の確保が重要だと思っております。

また、本制度による影響を把握し、実態を踏まえながら、必要に応じて見直しもすることを必要だと考えています。

四点目は、高額療養費制度における考慮事項の明確化についてです。

長期療養者への配慮というのは、高額療養費制度の見直しの議論においても指摘がありましたし、連合としても必要と考えておりますので、この考え方を法律上明確化すること自体は評価しています。

その上で、重要なセーフティーネット機能である高額療養費制度の役割の観点から、支給要件などを見直す際は、必要な療養を受けられるよう、家計への影響を配慮することが重要と考えます。

加えて、患者、国民の納得や理解を得られるよう、見直しの趣旨も踏まえて、丁寧に説明し対応することが求められます。見直しによる影響を注視し把握することも必要となりますので、制度を利用する方の負担感がどう変化したのかなど、分析したデータを示すことも求められると考えます。

また、長期療養者への配慮として、今回、年間上限の設定など機能強化された点はありますが、退職し保険者が変わると多数回該当の合算がリセットされてしまうなどの課題は残されていますので、課題解消に向けた検討も必要と考えます。

なお、応能負担の観点から、所得区分が細分化され、引上げ幅が大きい所得区分もあります。連合としては、この制度の役割、社会保険加入への納得性確保という観点から、各所得区分の自己負担上限額において、社会保険料も応能負担している中で重ねて応能負担を強めることは問題であると考えていることは申し添えておきたいと思います。

五点目は、後期高齢者医療制度における金融所得の勘案についてです。

確定申告の有無によって保険料の賦課対象が変わるという点については、支払い能力に応じて公平に負担を求めるという社会保険の原理原則も踏まえ、公平性の観点から課題解消に向けた対応が必要と考えます。

一方で、法定調書のデータベース構築や、市町村、広域連合におけるシステム改修など、実務面では制度移行に伴う様々な課題が生じることも想定されます。そのため、関係者の意見を丁寧に聞きながら、現場に過度な負担が生じないよう、無理のない形で移行を進めていただきたいと考えています。

そもそも、公平な負担の実現に向けては、年齢別で区切られた医療保険制度から、支払い能力に応じた負担の在り方へ見直していくことが重要であり、高齢者医療制度の在り方の検討や、全世代の所得をより正確に把握する方策の確立と併せて、総合的に議論していく必要があると考えています。

最後、六点目は、協会けんぽへの国庫補助に係る特例減額の見直しについてです。

協会けんぽの財政状況は、近年安定していますが、主に中小企業で働く労働者が加入していることから、標準報酬月額の水準は高いわけではなく、構造的な問題は変わっていません。

今回、特例減額の見直しは三年間の時限的な措置ですが、今後については、国庫補助の見直しと併せ、医療保険料率を含めた保険財政運営の在り方を検討するとされています。

国庫補助は、協会けんぽの構造的な課題、財政基盤を支える目的で行われているものです。今回、特例減額だけではなく、保健事業の推進も盛り込まれているところですので、中長期的な安定運営の下で保険者機能を十分に発揮できるよう、国庫補助は少なくとも現行制度を維持すべきと考えています。そのことについて、国会議員の皆様に御理解と御賛同を賜るとともに、その趣旨について、是非、委員会としての意思が確認される形で整理していただきますよう切に要望いたします。

以上です。ありがとうございました。(拍手)

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