宮澤伸日本商工会議所産業政策第一部長

2026年4月24日・第221回国会 衆議院 経済産業委員会 第6号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 10 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 84 発言)

ただいま御紹介いただきました日本商工会議所の宮澤でございます。

平素より、経済産業委員会の皆様におかれましては、中小企業に多大なる御支援を賜っておりますことを、この場をかりて御礼を申し上げたいと思います。また、このような御説明の機会をいただいたことも併せて御礼申し上げたいと思います。

私ども商工会議所は、御案内の方もいらっしゃるかと思いますが、全国五百十六か所に設置されておりまして、地域の小さな企業からまさに地域経済を牽引する中堅・中小企業の皆さんも多く御加盟いただいておりまして、本日はその立場から、本改正法案、大いに期待するという立場で御説明をしたいと思っております。

私は、先ほどの濱口先生と同様に、事業活動の基盤となる産業用地の整備、そして担い手の確保に資する生活基盤の維持についてということでございます。地域、中小企業の視点から御意見を申し上げたいと思います。

お手元に、私どもで実施した調査を基に御説明をさせていただきたいと思いますので、その資料を御用意させていただいておりますので、こちらを御覧いただきながら御説明をさせていただければと思います。

おめくりいただきまして、資料一ページ目を御覧ください。

こちらの資料は、二〇二四年の十一月ですけれども、地域経済を牽引する中堅・中小企業における投資動向調査というものを実施しておりまして、それを踏まえて作成したものでございます。

一ページ目は、地域経済を牽引する中堅・中小企業の投資意欲と課題ということでございますが、本調査結果を見ますと、左側の円グラフでございます、今後五年間、中小・中堅企業の半数近くが工場等の新設あるいは拡張する計画を有されているということでございます。その投資額も、五億円以上が四七・五%を占めているという状況でございます。

こうした投資意欲の背景にあるのは、従来のような老朽化のリプレース投資にとどまらず、新たな需要増への対応、さらには、医療、ヘルスケア、バイオ、AI、半導体など、政府が掲げる戦略分野のような新しい分野への進出、事業拡大を目指す企業も多く含まれているということでございます。

また、この拠点投資に際しまして、立地する地域の選定について中小・中堅企業が重視するポイントも併せて聞いておりまして、その上位は、本社、自社拠点との近接性、交通アクセス、従業員の居住、生活環境が上位を占めているということでございます。これは、先生の皆様御案内のとおり、人材不足に悩む中堅・中小企業は大企業のような大規模な人材獲得というものはなかなか難しい状況でございますので、今在籍している従業員の皆様が通える範囲で拠点設置が前提ということでございます。さらに、従業員の採用あるいは定着を促す観点から、立地する地域に従業員そしてその家族の皆様が快適に生活できる住環境を求めているということがうかがえます。

また、中小企業は、事業拡大に際しては、現在稼働している製造ライン、これを止めることは難しいという実態もございますので、新たな製造ラインを増設するというケースが非常に多くなっております。そのラインを設置する拠点の拡張をしたいということでございますけれども、資料右側の棒グラフにあるように、各地の商工会議所からは、工場立地に必要な産業用地不足を訴える声が多く寄せられているという実態でございます。

本調査で示された中堅・中小企業の投資動向を踏まえますと、我が国の喫緊の課題である国内投資の促進という観点からは、やはり、産業用地の確保を始め投資基盤の整備、さらに、人材定着、確保に不可欠な地域のエッセンシャルサービスの持続可能性を高める取組、これを両輪で進めることが極めて重要であると考えております。

続いて、資料二ページ目を御覧ください。

先ほど御説明をさせていただきましたアンケート調査に合わせて、個別の企業にもヒアリングをさせていただいております。このページは、その投資事例ということでございます。

左側の二つの事例は、新たな事業分野への進出、事業拡大に際して拠点投資を行った事例でございます。

例えば、左上の山形市のメッキの表面処理を得意とする製造業の事例ですけれども、元請だった大手半導体工場の撤退を契機に、下請型から研究開発型企業への転換を図るため、およそ二十五億円ほどの先行投資を行った、今後も新規工場の建設の予定をされているということでございます。

現在、次世代自動車の電動化あるいは低燃費化に向けた商品の表面処理、メッキ技術を基盤とした医療、ヘルスケアなど、成長分野の研究開発にも積極的に取り組まれていて、継続な投資を通じて更なる成長をしたいという意欲を示されております。

また、左下、仙台市、お茶、お菓子の製造を行っている企業の投資事例でございます。

この会社では、観光需要をターゲットにして、工場と集客施設を併設した拠点を設立されたということでございます。その効果は、地元の農産品、特産品の直売所、あるいは、地元食材を楽しめるフードコートですとか、自社製品の工場見学、公園、広場等を有する集客施設を目的に、大変地元の方からの来客あるいは観光客でにぎわっているということでございますが、この企業の発展のみならず、こうした人流を生み出すことで、近隣地域でも飲食店の開業が相次ぐなど、地域のにぎわい創出にも大いに貢献されているということでございます。

また、右側の二つの事例、こちらは、拠点投資に合わせて、従業員が働きやすい労働環境の整備に取り組んだ事例でございます。

先ほど濱口先生からもございましたとおり、地方から大都市への若者、女性の流出というのが非常に大きな課題になっておりますけれども、やはり、地元人材を中心に採用している中堅・中小企業において、いかにこの企業で働きたいと思ってもらえるかが極めて重要という中で、賃上げはもちろんではございますが、事業拡大に向けた投資を促すことで、働きがいのある職場づくりにも取り組むという相乗効果も生まれておりまして、こうした効果も期待をされているということでございます。

ここで御紹介した事例を踏まえますと、国内投資を促進するためには、企業が考える投資スピードに合わせて、投資の受皿となる産業用地の整備、あるいは事業インフラをタイムリーに整備をできるかが問われていると思います。

我が国は、いわゆる失われた三十年と言われるように、長く国内投資が低迷しておりましたが、これまで自治体に蓄積されてきた用地整備に関するノウハウが失われているというふうに伺っております。

そこで、産業用地のノウハウを有する中小機構が自治体を伴走支援し、そのノウハウを自治体に承継していく、こうした取組が、地方への投資呼び込み、中小・中堅企業への投資拡大を促すという観点からも重要であると考えております。

続いて、三ページを御覧ください。

実際に中小企業の工場拡張に際して用地確保に御苦労をされた事例というのを併せて紹介をさせていただきたいと思います。

この企業は、もちろん事業拡大に意欲的ではあったんですが、先ほど紹介したように、まずは隣接の土地を購入しようというふうに考えていましたが、なかなか交渉等がうまくいかず、やむなく道路を挟んだ向かいの土地を確保して工場を設置をされたということでございますが、やはり、道路を挟むとなると、資材搬入のためのフォークリフトの公道走行許可ですとか、あるいは、大型トラックが入っていくための、土地の形が余りよくなくて、搬入スペースが十分に取れないといった、生産性の観点からも様々な課題に直面されていると伺っております。

また、この工場が立地する地域、写真にもあるように、周りに緑がある市街化調整区域に立地されております。実は、ただ、緑はあるんですけれども、工場立地法に基づく緑地規制も併せて受けておりまして、従業員向けに食堂や社員寮あるいは休憩室などの福利厚生施設を増設したいと考えていても、限られた敷地の中で新たな施設の増設が難しいという状況でございますので、やはり、中小企業の機動的な設備投資を後押しする観点からも、今ある敷地を最大限に活用できるような緑地規制の緩和、これは是非進めていただければというふうに考えております。

続いて、四ページを御覧ください。

地方都市におけるエッセンシャルサービスの維持に関する声、事例を御紹介をさせていただきます。

人口減少が進む地方都市では、地域住民の生活に欠かせないスーパー、ガソリンスタンドの撤退が相次いでおります。また、バス、タクシーといった地域交通の弱体化も歯止めがかからないと、非常に深刻な状況の声が各地の商工会議所からも寄せられている状況でございます。

冒頭御紹介しましたアンケート調査においても、中小企業の人材確保、定着は、個社の取組だけでは限界がございます。従業員の良好な生活環境整備が重要であるという声をいただいております。

各地では、地域企業の出資により設立された町づくり会社が地域住民のコミュニティー形成に資するような拠点を運営し、地域商業の再生などに取り組む事例が実はこれまでにも見られておりますが、こうしたエッセンシャルサービスを運営するだけではなかなか収益上厳しいということで、例えば、ほかの高い収益を上げるような事業を運営しつつ、内部補助によって何とかエッセンシャルサービスを維持しているというところが実態でございます。

人口減少が我が国は加速するというのが厳しい実態でございますが、多くの地域で、こういう人口減少が加速する地域では、民間だけでこうしたエッセンシャルサービスを担うというのは非常にリスクがあり、限界がございます。今般、国がエッセンシャルサービスの維持に係る認定制度を創設されるということでございますが、自治体、住民を巻き込み、地域ぐるみで取り組むという観点、機運醸成の観点から非常に心強いというふうに感じているところでございます。

資料で御紹介をしているように、各地商工会議所でもエッセンシャルサービスの持続性を高めるための取組が始まっております。商工会議所では、日頃から自治体、金融機関等と連携しながら経営支援を行っておりますので、こうした支援機関が担う生活基盤維持に向けた役割は今後もますます重要になってくると考えております。政府の各種施策との連動、活用などを通じて、是非こういう地域の取組を後押しをお願いしたいと思います。

以上で私の説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。(拍手)

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