川嶋四郎同志社大学法学部法律学科教授

2025年6月3日・第217回国会 参議院 内閣委員会 第19号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 36 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 109 発言)

どうも御質問ありがとうございます。

私は民事訴訟法の研究者でございますけれども、その法学的な観点から若干お話をさせていただければと思います。

この東京地裁判決というのは、国会が国権の最高機関であり、全国民の代表機関であるということから考えましても、至極妥当な判決であると私は考えております。任命拒否事件は、これ自体、学問の自由に関わる重大な問題をはらんでおります。しかも、それだけではなくて、内心の自由であるとか表現の自由とか、教育なんかの問題にも関係すると私は考えております。

国会が制定した法律の解釈、運用が実際にどのように行われているか、これが把握できない、理解できない、事前に分からないというのならば、法の支配、法治国家などとは私はとても言えないのではないかと思います。法律自体も確かに大事ですけれども、文言が抽象的な場合には、具体的にいかなる場合がそれに当たるのか、どのような基準とか考慮要素というのが大事になってくるのか、こういうことを絶えず国会は理解しておく必要があると私は思います。それらが隠し通せる国家というのが、私が大好きな自由で民主的な文化国家、平和国家、この日本とはやはり程遠いのではないかと。言わば、よく分からない形で突然不意打ちをされる、不意打ちの権力国家、そういうものになってしまうんじゃないかなと思っております。

しかも、その法執行の過程で濫用があったとしても、トレースできない、なぜそういうことが起こったのかということの検証もできない、プロセスが全部隠蔽されてしまうことになる、これは非常に大きな問題ではないかなと思います。国権の最高機関であるこの国会が法を改正しようにも、もう立法事実の収集さえもできなくなってしまいます。

さきに述べましたように、即時の開示、その黒塗りの部分の開示を行うべきであって、それまでは私は本法案の国会審議は止めるべきであるというふうに考えております。控訴があったということでございますけれども、このような裁判の係属の現況を考えてみましても、本法案の審議につきましては、この良識の府の参議院の皆さんの御見識に強く期待をしたいと考えております。

以上でございます。

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