森本宏法務省刑事局長

2025年4月16日・第217回国会 衆議院 法務委員会 第10号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 153 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 256 発言)

まず、電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させる方法としては、電磁的記録を記録媒体に記録させて当該記録媒体を提出させる方法等がありますところ、ここに言うところの「記録させ」には、暗号化された電磁的記録を復号させた上で、これを他の記録媒体に記録させるというようなことも含まれます。

そのため、捜査機関としては、パスコードがかけられている電磁的記録について、電磁的記録提供命令により、パスコードを解除して内容を知ることができる状態で提出するということを命ずることはできることとなります。そのようにして提供を命じたにもかかわらず、パスコードを解除せずに当該電磁的記録を提供し、提供を受けた者において内容を知ることができない場合には、必要な電磁的記録を提供したことにはならないということには考えられます。

もっとも、そのような場合に電磁的記録提供命令違反の罪というのが例えば成立するか否かということにつきましては、個別具体的な事案ごとに判断されるべきものでありますけれども、一般的には、命令の履行が物理的、客観的に不可能である場合には正当な理由に該当し、同罪の成立が否定され得るものと考えます。ですから、分からないものを出せといってもそれは出せませんので、その場合には命令違反の罪は成立しないというふうにも考えられます。

いずれにいたしましても、捜査機関におきましては、先ほど申しましたとおり、電磁的記録提供命令を発するに当たりまして、少なくとも協力的な、一般的な事業者との間では、必要に応じて、事前の調整を行って、どこまでのものが出せて、どこまでのものは出せないのか、パスコードを把握していないにもかかわらず、それを解除した状態で提供を命ずるといったような事態は、一般的には生じないというふうに考えております。

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