私は憲法学者ですから、原理主義的なお話をさせていただきます。
まず、政治の定義から入らせていただきます。
政治というのは、目標は国民全体の利益の向上、最大多数の最大幸福でありますが、ただ、世の中が与えられる利益には限りがありまして、奪い合いの側面があります。と同時に、主権者たる国民全て、個性的で、自己中心的で、無限の欲望を持っております。ですから、この争いをうまく調整するのが権力を使った政治の業で、今ではそれが更に外国との調整まで加わる大変な仕事であります。
その中で、我々は歴史の結果として民主主義政治を採用して、それが正しい、代わるものをいまだ見つけていないわけでありますけれども、分析的に言えば、一つは平等な参政権、法の下の平等と参政権、もう一つは情報流通の自由、表現の自由、この二つを駆使して我々は調整をし、先へ進んでいるわけであります。
そのような政治の場において、企業、団体、まあ、労働組合に代表されますが、献金の性質はどういうことかというと、企業というのはそもそも営利法人であります。つまり、私の会社の利益さえあればいいという目的性を持っています。誤解しておられる方がおられると思いますけれども、労働組合も、我が労働組合の、我が労働者たちの待遇改善という、実はこれは部分利益を求めております。それに対して、政治というのは全体利益を求めるべきものであります。
だから、そういう関係の中で企業・団体献金を考えますと、企業において、企業の利益につながらない金を出したら、役員は背任になるんですよね、企業に損をさせたことになる。企業の利益に返ってくる献金をしたら、これは権力との取引で贈収賄になってしまうんですね。これははっきりしていますよね。だから、これは方向性としてはやはり禁止すべきとしか言いようがないと私は思います。
それに対して、団体といっても、政治結社、政党などはまた全く違いまして、分かりやすいのが、共産党と自民党というのは全く真逆の政党に見えますよね。だけれども、実は、真逆であって真逆じゃないんですね。つまり、どちらも目的はある、全体の利益の向上なんです。ただ、どこが違うかというと、自民党は自民党的やり方でいくことが全体の利益の向上につながると信じている人の集団であって、共産党は共産党的なやり方でやることが全体利益の向上につながる。
だけれども、いずれにしても、政治結社というのは全体利益の向上を目指す存在でありますから、これはさっきの民主主義の論理からいったら、規制する理由がないんですね。
そこに個人献金で集まってくるものはどういうことかというと、憲法二十九条で保障された財産権、自分が努力や運で手に入れた財産をどう使おうが、犯罪手段にならない限りは勝手でしょうというのが財産権の本質でありますから、そういう意味で、その集まった金を政治結社がどこへどう使おうが、これ自体は民主主義と反するものではないということであります。
この分野で昭和四十五年の最高裁判例が時々引用されるんですけれども、私は憲法学者としてそれを正直言って笑わせていただくんですけれども、我が国は、御存じの話だと思いますけれども、判例法国じゃありませんよね。イギリス、アメリカという歴史的背景のある国じゃなくて、あくまでも立法府は国会だけなんですね。
判例法国というのは、法廷で法律が作られるんです。国会でも法律が作られるんです。そして、新しい方が有効というシーソーゲームをやっているわけです。ですから、判例というのは、厳格に言えばその事実関係にしか適用されないし、時代背景がとても問題になる。だって、判例が生まれたとかということは、なかったことが生まれたわけでしょう。判例が変更されたということは、変更されるわけでしょう、夫婦別姓の問題なんかと同じで。
ですから、それほど拘束力のあるものではないけれども、ただ、度々引用されますのでちょっと言わせていただきますけれども、会社の社会的役割を果たす、社会的役割というのは、会社は、ちゃんと働いて商品やサービスを世の中へ出して、それで社会に貢献しているじゃないですか。得た対価で社員を養って税金を納めている。終わっているじゃないですか。それ以外何をするんですか。買収をするんですかという話ですよね。
それからもう一つ、公共の福祉に反しない限り認めると最高裁は当時言ったらしいですけれども、公共の福祉というのは、社会全体の共存共栄の利益の土台を壊しちゃいけませんよという意味ですよね。そういう意味では、まさに企業献金というのは本質において買収であるから、もろ、露骨に公共の福祉に反することで、これは禁止されるべきである。
以上でございます。(拍手)
3
渡辺周(立憲)
ありがとうございました。
次に、成田参考人にお願いいたします。
この発言のページ
4成成田憲彦駿河台大学名誉教授
駿河台大学名誉教授の成田でございます。
令和の政治改革も、開始以来、一年以上が経過いたしました。是非、今国会におきまして実り多い改革が実現いたしますよう祈念いたしております。
冒頭では、平成の政治改革につきまして、特に、石破総理が昨年十二月五日の衆議院予算委員会で、「一九九四年の政党助成法成立時に、政党助成金を導入する代わりに企業・団体献金は廃止の方向となったというようなことは、そういう事実は実際にございません。」と発言された点に関わる事実関係を中心にお話しさせていただきます。
私は、政治改革の当初は国会図書館調査局の政治議会課長として、与野党の先…
この発言のページ
5
渡辺周(立憲)
ありがとうございました。
次に、小林参考人にお願いいたします。
この発言のページ
- (上の発言)
6小小林節慶應義塾大学名誉教授/弁護士
私は憲法学者ですから、原理主義的なお話をさせていただきます。
まず、政治の定義から入らせていただきます。
政治というのは、目標は国民全体の利益の向上、最大多数の最大幸福でありますが、ただ、世の中が与えられる利益には限りがありまして、奪い合いの側面があります。と同時に、主権者たる国民全て、個性的で、自己中心的で、無限の欲望を持っております。ですから、この争いをうまく調整するのが権力を使った政治の業で、今ではそれが更に外国との調整まで加わる大変な仕事であります。
その中で、我々は歴史の結果として民主主義政治を採用して、それが正しい、代わるものをいまだ見つけていないわけでありますけれども、分析的に言えば、一つは平等な参政権、法の下の平等と参政権、もう一つは情報流通の自由、表現の自由、この二つを駆使して我々は調整をし、先へ進んでいるわけであります。
そのような政治の場において、企業、団体、まあ、労働組合に代表されますが、献金の性質はどういうことかというと、企業というのはそもそも営利法人であります。つまり、私の会社の利益さえあればいいという目的性を持っています。誤解しておられる方がおられると思いますけれども、労働組合も、我が労働組合の、我が労働者たちの待遇改善という、実はこれは部分利益を求めております。それに対して、政治というのは全体利益を求めるべきものであります。
だから、そういう関係の中で企業・団体献金を考えますと、企業において、企業の利益につながらない金を出したら、役員は背任になるんですよね、企業に損をさせたことになる。企業の利益に返ってくる献金をしたら、これは権力との取引で贈収賄になってしまうんですね。これははっきりしていますよね。だから、これは方向性としてはやはり禁止すべきとしか言いようがないと私は思います。
それに対して、団体といっても、政治結社、政党などはまた全く違いまして、分かりやすいのが、共産党と自民党というのは全く真逆の政党に見えますよね。だけれども、実は、真逆であって真逆じゃないんですね。つまり、どちらも目的はある、全体の利益の向上なんです。ただ、どこが違うかというと、自民党は自民党的やり方でいくことが全体の利益の向上につながると信じている人の集団であって、共産党は共産党的なやり方でやることが全体利益の向上につながる。
だけれども、いずれにしても、政治結社というのは全体利益の向上を目指す存在でありますから、これはさっきの民主主義の論理からいったら、規制する理由がないんですね。
そこに個人献金で集まってくるものはどういうことかというと、憲法二十九条で保障された財産権、自分が努力や運で手に入れた財産をどう使おうが、犯罪手段にならない限りは勝手でしょうというのが財産権の本質でありますから、そういう意味で、その集まった金を政治結社がどこへどう使おうが、これ自体は民主主義と反するものではないということであります。
この分野で昭和四十五年の最高裁判例が時々引用されるんですけれども、私は憲法学者としてそれを正直言って笑わせていただくんですけれども、我が国は、御存じの話だと思いますけれども、判例法国じゃありませんよね。イギリス、アメリカという歴史的背景のある国じゃなくて、あくまでも立法府は国会だけなんですね。
判例法国というのは、法廷で法律が作られるんです。国会でも法律が作られるんです。そして、新しい方が有効というシーソーゲームをやっているわけです。ですから、判例というのは、厳格に言えばその事実関係にしか適用されないし、時代背景がとても問題になる。だって、判例が生まれたとかということは、なかったことが生まれたわけでしょう。判例が変更されたということは、変更されるわけでしょう、夫婦別姓の問題なんかと同じで。
ですから、それほど拘束力のあるものではないけれども、ただ、度々引用されますのでちょっと言わせていただきますけれども、会社の社会的役割を果たす、社会的役割というのは、会社は、ちゃんと働いて商品やサービスを世の中へ出して、それで社会に貢献しているじゃないですか。得た対価で社員を養って税金を納めている。終わっているじゃないですか。それ以外何をするんですか。買収をするんですかという話ですよね。
それからもう一つ、公共の福祉に反しない限り認めると最高裁は当時言ったらしいですけれども、公共の福祉というのは、社会全体の共存共栄の利益の土台を壊しちゃいけませんよという意味ですよね。そういう意味では、まさに企業献金というのは本質において買収であるから、もろ、露骨に公共の福祉に反することで、これは禁止されるべきである。
以上でございます。(拍手)
7
渡辺周(立憲)
ありがとうございました。
次に、谷口参考人にお願いいたします。
この発言のページ
8谷谷口将紀東京大学教授
本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
企業・団体献金の在り方について、所見を申し述べます。
結論から申し上げますと、企業・団体献金の禁止について、この度、与野党間に幅広い合意が成立するのであれば、私も反対するものではございません。ただ、ここまでの国会審議の状況を拝見する限り、そのようなコンセンサスが形成される見込みは必ずしも高くはないように思われます。与野党それぞれの法案が相打ちになり、何も変わらずに国民の政治不信を深める事態だけは避けていただきたい。そのための与野党の現時点での合意可能領域は、企業・団体献金規制の強化、抑制とい…
この発言のページ
9
渡辺周(立憲)
ありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
この発言のページ