大西勝也高知県黒潮町長

2026年6月19日・第221回国会 参議院 災害対策及び東日本大震災復興特別委員会 第7号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 81 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 102 発言)

主体性が発揮されたケースで自分が認識しているものを少し御紹介させていただきます。

これ、多分に人材育成と少し重複するところがあろうかと思いますが、例えば、黒潮町には六十二の地区がございまして、浸水区域は三十九地区です。その三十九地区それぞれが津波避難訓練をやっているんですけれども、当然、日々の防災活動には濃淡がございます。黒潮町の中にもやっぱり特筆すべき防災のリーダーさんとかが何人もおられるわけですけれども、少しその方たちを自分なりに分析をしようとしたことがございます。

少し、大変失礼な話かも分かりませんけれども、本日この席に自分も含めてお集まりいただいている先生方というのは、今の防災議論を始め、ある意味、一部サラリーをいただきながらなりわいとして防災をやっています。これは私も含めてです。しかしながら、地区の防災リーダーさんというのはこれサラリーは全く発生しないわけで、しかも、長年にわたり、例えば十年も十五年もずっと防災リーダーを熱心に続けてこられている人材がございます。

そういった方たちを少しつぶさに見てみますと、どう考えてもこうとしか考えられないということが幾つかございます。そのうち一つは、自分の命のためにやっているのではないということです。これ、大人の、大人とカテゴライズされるところの主体性でありますとか、そういった教育をどう施していくのかという、非常に困難ですという答弁を、お答えをさせていただきました。

内閣府で今勉強会を重ねているんですけれども、どう考えても、自分の命のために防災ってできるんだろうか、自分の命にそこまでリアリティーが持てるのだろうか、あるいは継続性はそれで担保できるんだろうかと考えますと、ちょっと自分は無理なんじゃないかと思います。

私の町で一生懸命活動いただいている防災リーダーさんというのは、他者の命のために一生懸命頑張っておられます。これ、東京大学の片田先生のお言葉をお借りしますと、二人称防災というそうです。自分の命にはリアリティーを持てないけれども、自分の大切にしている方、例えば自分の子供であるとか自分のお父さん、お母さん、もう何十年もかわいがってきていただいた隣のおじいちゃん、おばあちゃん、こういった自分の大切な範囲の中におられる方の命についてはリアリティーが持てる。恐らく、自分の町で活動されている防災リーダーさんというのは、そういった他者の命にリアリティーを感じながら他者のために活動されている。なので、誰かのためにというのは一つ防災を進める上で大きなキーワードです。

これ、ややもすると、自分の命にしっかりとリアリティーを持って自分の命と向き合ってという作業は、防災を進めていく以上、どうしても必要なんですけれども、それが全てではないという認識も併せて自分たちは持つ必要があろうかと思っていますし、これは社会、黒潮町という小さい社会ですけれども、そこで顕在化してきた一つのケースでございます。

それからもう一つ、こちらは人材といいますか行動変容、お配りいたしました資料のうち、八ページを御覧いただければと思います。

これ大変失礼な資料で、県内三十四自治体の比較表でございます。高知県には三十四自治体がございます。これ何を示しているかといいますと、下段、右に向かっていくのは耐震化の補助金の額です。それから、縦軸は実施件数でございまして、これ黒潮町の人口を一とした場合に、例えば高知市さんはもう三十倍以上いるんですけれども、それを平場で比較できるように人口調整をして、黒潮町と同様の平場の比較ができるようにしています。

これ黒潮町のところを見ていただくとお分かりいただけるかと思いますが、補助金額というのは決して高い方にはございません。しかしながら、実施件数、実施率というのは非常に高位に位置していて、ポジション的にはこれイレギュラーでございます。

これ、なぜこういうことが起きるのか。耐震だけを一生懸命進めてきたわけではございません。むしろ、うちの町では、耐震を進めるに当たっては非常に慎重に配慮をしています。隣、私の家は耐震をしました、二軒隣も耐震をしました、でも私の家はどうしても事情があって耐震をすることができない、そういったケースもあります、どうしても。そういった方々が過度に耐震をしていないことに対して悲観的になったり責任感を感じたりすることのないように、どちらかというと進めている、進めながらも、一生懸命そういうところでは慎重さを持ちながら進めてきたんですけれども、ポジション的にはイレギュラーということになっています。

これ、なぜこういうことになるかと自分なりに解析しますと、やはり防災全体に対する理解だと思います。耐震だけを進めていこうとすると、耐震そのもののその利益といいますか、コスパだけを考えて、ああじゃないか、こうじゃないかという話になるんですけれども、この耐震、黒潮町で年間百件以上進んでいる耐震は、恐らく自分の命を守るために自分の家の耐震化を進めていく、これはもう恐らく七割、八割の方だと思いますが、それ以外にも、例えばその隣、家の隣に走っている避難道を、自分の家が壊れて閉塞すると、ここの避難行動に難を持っているおじいちゃん、おばあちゃん、避難歩行速度の遅いおじいちゃん、おばあちゃんが避難道まで、避難所までたどり着けないんじゃないかみたいなマインドも併せて持ち合わせているからこそ、こういう結果が出ると思っています。

こういったように、先生に御指摘いただきましたように、黒潮町、ちっちゃい町ですけれども、それを社会として捉えた場合、行動変容が起こったいろんな実績といいますか、見える、顕在化してきている部分というのがございまして、時間の都合上、全てを御紹介する時間はございませんけれども、そういった実際に行動変容の姿が見える、顕在化している事例というのは多々ございます。

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