川名晋史大東文化大学法学部政治学科教授

2026年7月3日・第221回国会 参議院 沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会 第6号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 79 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 83 発言)

極めてアカデミックなというか、高度な議論で、どこまでお答えできるか甚だ心もとないところもありますけれども、先生の胸を借りるつもりでお答えしてみたいと思いますが。

おっしゃったとおりで、日本側からすると、これは、朝鮮議事録ですね、これはアメリカ側は恐らく失効したとは見ていないと私も思っています。

朝鮮議事録というのは、主語がアメリカではなくて、国連の統一司令部の下に入ったアメリカというふうになっていますので、ですから、国連軍に変身した米軍、これに関してはいわゆる事前協議しなくていいんだということを一九六〇年の安保改定のときに取り決めています。

日本側としては、佐藤政権、一九六九年の段階でこれに代わる声明を発しているので、これはもうリプレースされたという立場を取っているようですけれども、そこから十年後、一九七九年の段階で、アメリカ側の資料によると、朝鮮議事録、つまり、事前協議をバイパスするこの仕組みとして国連軍は重要だというふうにアメリカ側は考えているので、私としてはこれはやはり有効なんだろうというふうに思っております。

他方で、韓国側は、当然だけれどもこの問題に非常に詳しくて、私もこの国連軍の問題に遅ればせながら気付いたきっかけは、韓国の軍人から指摘されたからです。慌てて勉強をして今に至るわけですけれども、韓国においては国連軍の再活性化という言葉を使いますけれども、まさにこの戦時統制権の問題と絡めて、韓国においては、一方で安全保障上の担保になるという考え方と、一方で韓国にとっての重大な主権侵害に当たるんだという考え方が二つございます。

私としては、やはり、この問題は日韓で何らかの形で議論すべきところだろうと思います。しかし、韓国というのは国連軍じゃないんですね。ですから、日本と国連軍地位協定も結んでいないので、実は当事者じゃないので非常にこれ制度的にはややこしい問題ではあるんですけれども、アメリカは少なくとも、この東アジアの安全保障を面で捉えているという意味でいうと、いわゆるこの国境線というのは国際法上の境界線であって安全保障上の境界線ではないわけです。我々は国際法上の境界線に従って物事を考えがちですが、アメリカにとって日韓というのは、同じ面に属している一つのシアターです。

ですから、この安全保障環境が非常にドラスチックに変わりつつあるのであるとするならば、やはり我々も頭の中を少し考え方を変えて、国際法上の国境線は確かに重要だけれども、安全保障上の境界線というのは別のものだというふうに考えた上で、日韓で建設的な、特にこの国連軍を結節点にした関係性というものが戦後一貫して存在しているわけなので、この問題について議論するまずは土台というかテーブルを設ける必要があるだろうと思っています。

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