水野孝一 (国民民主党)

2026年5月29日・第221回国会 参議院 本会議 第17号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 8 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 69 発言)

国民民主党・新緑風会の水野孝一です。

ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案について、会派を代表し、質問いたします。

我が国は、人口減少、少子高齢化、生成AIの急速な進展という社会構造の変化の中にあります。資源に乏しい日本にとって、最後まで残る競争力は人と技術です。だからこそ、人づくりは国づくりであり、教育、科学技術、人材育成への投資こそが停滞する日本の成長スイッチそのものであると国民民主党は考えています。

今回のデジタル教科書導入は、単に紙を画面に置き換える話ではありません。AI時代に向けて、公教育をどう再設計するのかという国家戦略の根幹を問うものです。デジタル教科書の導入を進めることは時代の要請に応えるものであり、学びの可能性を広げる一歩として評価いたします。しかし、目指す先の姿が十分に制度設計されているかについては、現場の視点、技術の特性を踏まえたとき、重要な課題を指摘せざるを得ません。

冒頭、プロ野球前監督をめぐる一連の報道に関連して伺います。

報道では、家族が生成AIに相談したことを契機に、児童相談所への相談、さらに警察対応に至ったとされています。生成AIが子供や若者の最初の相談先となる今、AIの回答を妄信し、思考がアルゴリズムに巻き取られてしまう危機感にどう向き合うのか。AIと現実社会のはざまにあって、デジタルとリアルのハイブリッドを教育政策とAI戦略の両面からどう考えるのか。文部科学大臣とAI戦略担当大臣の見解を伺います。

次に、AI時代における公教育の在り方について、小野田大臣に伺います。

AIが瞬時に答えを提示する現代、人間に求められるのは、あふれる情報を吟味し、問いを立て、他者と協働し、新たな価値をつくり出す力です。そうであるならば、今回の法改正を、明治以来、今なお残る一斉、画一、暗記型の教育から、個別最適、協働、対話型へと転換する最大の契機にすべきだと考えます。

紙の教科書には、長年にわたり公教育を支えてきた確かな強みがあります。一方で、これからの時代に求められる公教育へと進化させるためには、デジタルやAIの強みを掛け合わせることが不可欠です。

世界では、教育を国家戦略として位置付け、AI時代を担う人材の育成を国家競争力の源泉とする動きが加速しています。AIを使うだけの国にとどまるのか、それとも世界で最もAIを開発し、活用する国へ転換できるのか。今回の学校教育法等の改正を契機として、AIの国家戦略と教育改革を今後どのように連動させていくべきと考えているのか。AI立国の司令塔である大臣の見解と戦略を伺います。

次に、文部科学大臣に伺います。

デジタル教科書の議論は、紙かデジタルかという手段の議論に終始しがちですが、本来問われるべきは、これからの公教育でどのような力を育て、そのために紙とデジタルをどう使い分け、どう最適に組み合わせるのかという教育設計です。

しかし今、紙とデジタルを掛け合わせたハイブリッドという言葉だけが先行し、その定義や目的が十分共有されているとは言えません。教育モデルとしての設計思想が示されないまま、紙と端末の二重運用が先行し、教職員の試行錯誤に委ねられてしまうと、教職員の負担増にとどまらず、自治体、学校間格差の拡大につながりかねません。

政府として、ハイブリッドという考え方を、単なる併用ではなく、教育効果を高めるための設計思想としてどう具体化していくのか、新技術立国を支える人材育成の観点も踏まえ、大臣の見解を伺います。

また、最適な組合せを自治体の実践に委ねる以上、国として、紙とデジタルの役割や教育効果をどう検証し、その知見をどう蓄積、共有していくのか伺います。

次に、認知特性に応じた学びの多様性について、文部科学大臣に伺います。

現在の学校教育は、なお文字情報を読み、書き、記憶し、再現する力が評価されやすい構造にあります。そのため、文字による理解を得意とする子供たちが適応しやすく評価もされやすい一方で、それ以外の異なる認知特性を持つ子供たちの可能性は十分に引き出されてこなかったのではないでしょうか。

こうした中、デジタル教科書は、音声や動画、図解など多角的な情報提示を可能にします。これは、一人一人の異なる認知特性を最大限に生かし、学びの質を飛躍的に高める可能性を秘めています。

しかし、学びの入口を広げるだけでは不十分です。個々の特性を強みとして生かすためには、従来の評価指標にとらわれず、多様なアウトプットを認める評価の在り方そのものも刷新すべきだと考えますが、大臣の見解を伺います。

次に、教育DXの基盤について、デジタル大臣に伺います。

自治体や事業者がばらばらにシステム構築を進めれば、転校や進学時に学びの履歴が断絶します。

ここで直視すべきは、医療DXの教訓です。電子カルテは、標準化や相互運用性が不十分なまま普及した結果、互換性が失われ、今なおデータ連携に多大なコストと困難を抱えています。システムは後からつなぐのではなく、最初に共通の設計図が必要です。独自仕様が乱立すれば、教育DXのミッション実現は難しくなります。

シングルサインオンを前提とした共通認証基盤、あるいは相互運用性を担保する標準仕様を国として整備すべきではないでしょうか。少なくとも、ID体系やデータ形式等の標準化を国主導で進めるべきです。

国家全体のDXを所管する立場として、医療DXの反省を踏まえ、現場の負担やベンダーロックインを回避しながら、教育DXをどのような戦略と工程で進めていくのか、大臣の方針を伺います。

次に、健康面への影響、いわゆるデジタルウエルビーイングについて、文部科学大臣に伺います。

視力低下や睡眠不足、依存への懸念に対し、政府はガイドライン等での周知を進めていますが、適切に使いましょうという注意喚起だけで実効性が担保されるのでしょうか。

また、教職員や保護者からは、学校の端末で不適切なコンテンツにアクセスできてしまうことを不安視する声も聞かれます。こうした管理への不安が保護者をデジタル教育に対して消極的にさせる一因となっています。

世界では今、自由利用から適切な制御へと議論が移っています。例えば、夜間利用、連続使用時間や授業中の利用の制御、保護者端末からの管理機能など、デジタルだからこそ可能な健康を守る設計を組み込むべきではないでしょうか。仕組みとして導入するお考えがあるのか、大臣の基本理念を伺います。また、導入するとすれば、現時点でどのような機能や仕組みを想定、検討しているのか、併せて伺います。

最後に、学びの保障について伺います。

教育DXは、不登校や病気療養、障害、地域格差など、既存の枠組みでは十分に支え切れなかった子供たちの学びを保障する可能性を持っています。学校が変わっても、教室に足を運べないときであっても、学習履歴を活用し、学びが継続できる、これこそが教育DXの価値です。

そこで、デジタル大臣に伺います。

教育DXロードマップで学習環境の整備や教育データ利活用までの道筋を掲げています。デジタルアーキテクチャーの観点から、大臣が描く学びを保障するための設計思想を御説明ください。

次に、文部科学大臣に伺います。

デジタルがどれほどつながっても、教育制度が硬直化したままでは子供たちの学びは救えません。高市総理が掲げる四十七都道府県どこに住んでいても質の高い教育を受けられる環境をどう実現するのか。少子化が進み、不登校児童生徒が三十五万人を超える今、誰一人取り残さず、学びを止めないために、どのような教育モデル、制度改革を進めるのか、戦略を伺います。

結びに、今問われているのは国家としての覚悟で、国家であると申し上げ、私の質問を終わります。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

〔国務大臣松本洋平君登壇、拍手〕

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