武本俊彦新潟食料農業大学名誉教授

2026年6月23日・第221回国会 参議院 農林水産委員会 第12号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 60 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 88 発言)

質問ありがとうございました。

先ほどのどなたかの質問に対してもお答えしましたけど、農業と工業との違いということを踏まえた方がいいと思うんですよ。

農業の場合は、どこまで行っても供給は弾力的に変動することができないものですから、そのときの需要の水準に規定されちゃうという関係があります。それは、値決めの仕方も、交渉で決めるのではなくて競りとか入札のやり方になっちゃう、典型的なやつはですね、という決め方になります。したがって、生産サイドからすると、コストが全然償われない状態が起こってしまうというのが常態化しています。

それに対して、製造業の場合はどういうことが起こるかというと、供給サイドが必要なコストを積み上げて、そのコストで売れるように供給量を絞るというやり方ができます。そのことによって、どうしてもその商品を買いたいということになれば、供給サイドの提示した価格で買わざるを得ないという、そういう構造ができ上がってくるという意味で、工業と農業とのその値決めの仕方が全然違うということをまず押さえておく必要があるだろうと。

ですから、需要と供給によって自動的に決まりますよというのは、典型的にやっぱり農産物、それも需要の方向性で決まるという形になってくる。だから、それだけやっちゃうと農家は常に赤字でやっていかなきゃならないということになりますから、それをどうやって再生産ができるようにしていくのかという工夫をしなきゃいけない。

それが、例えば市場取引だけではなくて、数年間の先渡し契約みたいなものをどうやって、つまり価格と量を春先にもう決めちゃって、それで農家の経営を安定させるといった形を取るのか、あるいは、大規模農家なんかは今でもやっていると思いますけれども、先物取引でリスクを自らヘッジしていくというやり方もあり得るわけじゃないですか。

それらでもどうしようもない部分というのはきっと残るんだろうと思うんです。そこのところを再生産を確保するために、直接支払というのか、それとも保険方式というのか、名前はどうでもいいんですけど、そういうものを、つまり財政負担によって再生産を維持するというところを入れるべきかどうかというのは、すぐれて政策判断になってきますと思っています。

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