伊勢崎賢治 (れいわ新選組)

2026年5月28日・第221回国会 参議院 内閣委員会 第11号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 128 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 132 発言)

処方箋は提案させていただきましたので、もう一回読み直してください、議事録を。お願いします、本当にね。

続けます。

本法案の議論の中では、与野党の垣根なく、よく出てきますね、このフレーズ、安全保障環境の急速な変化みたいなね。こういうナラティブがまるで自明の前提であるかのように使われております。安全保障家として結構いらっとするんですけれども、これ聞くたびにですね。申し訳ないですね。

確かに、現在の中東危機に伴う原油価格の高騰は国民生活を直撃しており、国際情勢の緊迫感は誰もが身にしみて実感していることだと思います。しかし、この生活の危機に対して本来尽くすべきは、徹底した資源外交やエネルギー源の多角化といった経済外交アプローチであるはずです。それを防衛産業の市場拡大や軍備増強の口実にすり替える論理は極めて粗雑なナラティブです。

外交やエネルギー政策で解決すべき課題まで安易に厳しい安全保障環境という言葉でくくり、軍事的な需要創出の燃料にしてしまう、これこそが私が指摘している脅威の誇張、スレットインフレーション、それに便乗する構造的リスクそのものであります。

実際、歴史を振り返れば、一九五〇年代のアメリカで起きた、いわゆるミサイルギャップ、ミサイルギャップ論争がその典型であります。ソ連のミサイル配備数がアメリカをはるかに凌駕しているという最悪のシナリオが、軍や防衛産業によって大々的に喧伝されました。その防衛産業は、名前が挙がっています、ロッキード、ボーイング社、これらですね。なぜこれが分かっているかというと、機密解除文書でこれが明らかになっている、アメリカの。すごいですね、やっぱりね。この点を僕は指摘したわけです、国家情報局の法案において。ここは欠けていますよ、この法案で。もう遅いですけど。申し訳ない、本当に。まあいいです。

しかし、こういうことが、後の偵察データが明らかにしたのは、それが全て実体のない幻影にすぎなかったという事実です。こういうことを明確にするというのはアメリカのすごいところであります。是非、見習ってください。

この売手が、つまり防衛産業ですね、提示するシナリオベースの不安、このシナリオベースという言葉も何かちょっと聞くといらっとするんですけれどもね、申し訳ない、本当に。本当に必要な備えの基準がゆがめられて、結果として防衛産業には巨額の富が転がり込み、不要な軍拡競争だけが残されました。これがアメリカの教訓です。アメリカの教訓であります。

通常の産業では奨励される需要の創出が、防衛産業においては脅威の創出に直結しかねない。この経済の論理が、本来、安全保障の論理のみで動くべき自衛隊という組織に持ち込まれることの危険性について、次に伺います、続いて。

ここからが質問です。

その危険性を示すのが、国家安全保障戦略がうたう安全保障と経済成長との好循環という言葉です。

私、伊勢崎は、これまで様々な多国籍軍と海外で仕事をする中で、その中でも自衛隊の練度と士気の高さが群を抜いているということを僕は実感しております。その強さの源泉とは、経済的利害ではなく、ただ国民を守るという崇高な任務に専念できるこの組織文化の純粋さにあると私は見ております。自衛隊は本当に特別です。しかし、この誇るべき純粋さに、今、政府の方針が邪念、邪念を入り込ませようとしているのではないか、それを僕は危惧をしております。

先ほど、ミサイルギャップというアメリカの歴史的事例を挙げましたが、このように不安をあおることで軍備と予算を自己増殖させていく構造に対し、かつて、第二次世界大戦の英雄であり、アメリカ大統領を務めたアイゼンハワーは、その退任演説において、これ有名ですよ、軍事部門と巨大な防衛産業が結び付く軍産複合体、ミリタリー・インダストリアル・コンプレックスでありますね、この台頭を強く強く警告したんです、大統領として。軍事のトップを務めた彼だからこそ、防衛産業が成長を追い求めるとき、自らの利益のために脅威を創出し、国家の意思決定をゆがめ始めると、この構造の恐ろしさを彼は見抜いていた。今、政府が進めようとしている防衛産業の成長産業化は、まさにこの軍産複合体の日本版を制度としてつくり出すことのように思えてなりません。

日本を守りたい、隊員の命を守りたいという現場の純粋な願いが、気付けば特定の脅威を前提としたシナリオベースの増幅装置にされてしまう。私が統合幕僚学校で十八年間教えてきた幕僚監部候補生たちのあの高い職業倫理と使命感を、このようなゆがんだ構造でゆがめてはなりません。防衛省の見解をお願いします。

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