大門実紀史 (日本共産党)

2026年5月26日・第221回国会 参議院 内閣委員会 第10号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 225 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 257 発言)

私もそう簡単には言い切れないといいますか、実は逆じゃないかなと思うところがあるんですけれども。

北朝鮮の拉致問題は長い歴史がございまして、政府が最初にこの問題に北朝鮮が関与しているというのを国会で認めたのは、一九八八年ですね、我が党の橋本敦当時の参議院議員が質問した中で、初めて北朝鮮の関与ということを国会で政府が認められたということなんですね。

この問題は、捜査は当時、公安警察外事課、いわゆる外事警察ですよね、大変頑張っておりまして、捜査コードネームがムカゴと言ったらしいですね。ムカゴというのは山芋の一種ですかね。つまり、何か地中の小さな茎がだんだんだんだん育っていって大きな実になると。つまり、地道な捜査の積み重ねが拉致問題を解決するであろうという信念に基づいて外事警察の皆さんが大変頑張っていたと、地道な証拠集めをしていたんですよね。

八〇年代半ばぐらいからかなり情報が集まってきて、一九九〇年代に入って、とうとう北朝鮮のある関係機関又は個人に強制捜査を掛けられるというところまで行ったわけでございますが、その強制捜査の前日に与党からストップが掛かったと。これはもう明らかになっておりますが、なぜかというと、当時、自民党の金丸副総理が、副総裁ですかね、日朝国交正常化に向けて動きを始めておられて、そういうときに北朝鮮の機嫌を、機嫌損ねるなといいますか、余計なことをやるなということで、外事警察、公安外事に捜査やめろという圧力が掛かって、実際、その一九九〇年の九月に金丸訪朝団が実現したわけです。当時は社会党の田辺副委員長も一緒に行かれたんですよね。これが拉致問題の解決のきっかけを失わせたというふうに言われていることですね。しばらく捜査が頓挫をいたしました。この辺りのことは、NHKのドキュメンタリーでも、当時の外事警察の捜査官御本人が、顔を隠した形ではありましたけど証言されていて、もう事実として今や明らかになっていることなんですね。

つまり、対外情報庁などなくても、当時の公安外事警察はそれと同等の、あるいはそれを超えるような仕事をして頑張っていたわけでございます。私が公安をカバーするのも変なんですけど、公安は頑張っていたわけですね。それをむしろ邪魔したのは与党、政権だったということなんですよね。

実は、何が言いたいかといいますと、先日参考人で来られた小谷賢さんはいろんなところで述べて、本にも書かれていますが、情報の政治化、化は化ける方ですけどね、情報の政治化というのは気を付けなきゃいけないと、古今東西、一番多い失敗だと。なぜかというと、情報機関が政権に忖度をして、政権の望むような情報をわざわざ提供すると。忖度して提供する。これは、この委員会でも言われてきた、イラク戦争のときに大量破壊兵器があるという情報をブッシュ政権が望んだからわざわざそういうものを出すと。忖度して出すと。不確かだったにもかかわらず出したわけですね。実はこのとき、アメリカだけじゃなくて、イギリスのブレア政権にもMI6はそういう情報を出した、同じような忖度をしていたんですよね。

ただ、私は、この小谷賢さんの御意見にもう一つ加えるべきじゃないかと思うんですね。情報の政治化、政治に忖度だけではなくて、この北朝鮮の拉致問題の経過を見ますと、政権に忖度するだけじゃなくて、逆に政権からの圧力が掛かると。政権が情報機関の情報とか捜査を潰すというような面も実際あったんだなということをこの北朝鮮の拉致問題では思うわけでございます。

つまり、今回、国家情報局に格上げされて、より情報活動は、官邸といいますか時の総理、政権に直結するわけですよね。集中されるわけですね。そうすると、政権に都合の悪い情報、調査はストップが掛かることもあるんではないかと。

金丸さんのときは、外事警察と当時の政権、自民党金丸総裁とのタイムラグがあったんですね。後から、何でそんな捜査をしているんだということで、せっかくずっとやってきたことを後からストップ掛けたわけですね。ところが、今回こういうふうに情報局が政権と直結すると、最初から、もっと言えば最初からですね、そういうことは調べなくていいとか、そういう捜査をやらなくていいということがより起きてしまうんじゃないかと。

そういう意味での情報の政治化、忖度じゃなくて、圧力が掛かるというかコントロールするというような危険性が一つあると思うんですが、いかが思われますか。

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