水島治郎千葉大学大学院社会科学研究院教授

2026年5月27日・第221回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第4号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 32 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 69 発言)

ありがとうございました。

やはり、ヨーロッパを実際に見てこられて、実際にヨーロッパの政治の変化を感じておられる伊藤先生ならではの御質問だと思います。

今御指摘になりましたように、まさに今ヨーロッパの各国において多党化がいや応なしに進んでおります。かつては二大勢力で八割、九割の議席を取っていた国が、今や二大勢力を合わせても五割、六割あるいはもうそれより下に下がっていて、多様な、右派ポピュリスト、左派ポピュリスト、さらには改革中道、それ以外の政党も出てきているわけですね。

そのような多党化が進むことをどう評価するかなんですけれども、最もその中で多党化が進んでいるのは実はオランダでございまして、オランダは、比例代表制で百五十議席を一議席まで配分する。つまり、得票率が〇・六七%の政党が一議席を取れるという形ですので、世界の中でも最も議会に入るためのハードルが低い国ですね。

そういった国でどういうことが起きているかというと、極めて多様な政党が出現するわけです。例えば、イスラム系の移民系の政党、これ二世、三世などを主体とする政党であったり、あるいは高齢者の利益を主に発言する政党であったり、またさらには、一見変わり種に思いますが、動物党という政党がありまして、これは動物の権利を憲法に書き込むということを主張する、その他様々な動物権利を擁護する政党なんですが、出てきております。こういった様々な政党があぶくのように出てきては、消えるものもあれば意外に残っていくものもあります。

そして、例えば動物党などは意外にしぶとく今は残っていて、最初は動物党などというのは非常に変な政党である、まさに泡沫政党ではないかという見方もあったんですが、しかし、実はその後、御承知のとおり、アニマルウエルフェアという考え方がヨーロッパ、世界的に定着し、動物実験にせよ、あるいは肉食を余りやらないことにせよ、むしろその考え方がヨーロッパでは主流化していき、外から入ってきた、比例代表を使って新しく入ってきたアウトサイダーの考え方が主流化していく、ある意味ではルートとして比例代表制が使われているということもあるなというのがこの二十年見てきたところなんですね。

それが良いか悪いかは別にしても、少なくとも社会の人々の考え方が多様化する中で、その多様な意見を踏まえて政治的に表出できるような枠組みがあるとすれば、それはそれで悪いことではないだろうと。もちろん、イギリスのように、小選挙区制、ばっさりですね、もう選挙区で一位になれなければどうしようもないという仕組みをつくることもそれはそれで意味はあるかとは思うんですが、ただしかし、そうすると、多様な意見を酌み取ることが難しくて、それが結果として、イギリスの場合、一種の二大政党に包摂されない不満がブレグジットという形で国民投票で噴出してしまったと。逆に比例代表でふだんからいろんな意見を取り入れていると、余りそういうひっくり返すような形での変化というのは起きにくいところがあって、どちらかといえば、漸進的な変化になっていくだろうということもありますので、私個人は、どちらかといえば多様な意見を酌み取る方が今の二十一世紀にはよろしいんではないかなと思っているところでございます。

取りあえず以上です。

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