下斗米伸夫神奈川大学特別招聘教授/法政大学名誉教授

2026年5月27日・第221回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第4号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 28 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 69 発言)

庭田議員、どうもありがとうございました。

私の理解では、今、欧州で起きておりますのは、これまでNATOという枠組みでアメリカにかなり依存してきたメカニズムが、突然アメリカの変針、方針が変わったことによってトランプ政権が手を引き始めていますので、自立を迫られているということだろうと理解します。同時に、それまでのロシアとの、旧ソ連との向き合い方についての理解というものが崩れてきた。

これまではやはり、ある意味でドイツのような国が、特に東ドイツがあったこともあって、メルケルさんのような人も含めて、東側のことも研究して知っていたわけですね。したがって、デタントが始まるときにはエネルギーのロシアとの、ソ連との相互依存ということでございました。

したがって、ロシアは今、この間の戦勝記念日のプーチン発言に見られますように、シュレーダーさんという社民党の、ガスプロムの重役でもございますが、そういう枠組みを使って対話を再開したいということでございますが、これについては、むしろエネルギー、先ほど庭田議員もおっしゃられた、ヨーロッパがもうちょっと自立すべきだという意味で、ロシアとのエネルギー依存を減らしたいという方針。

それから、何よりも軍事のハード、特に海と空ということはアメリカが強い優位性を持っていたわけでございますが、陸上兵力での長期戦などということはもうしばらく考えてもこなかったことでございますので、これに慌てているんだろうと思います。徴兵制という議論はそういうことを前提としている概念だと思います。ただ、これは果たして、それこそ持続可能性なのか。

今、ドイツの第一党は御案内のとおりAfDという、今、水島先生がおっしゃられたようなポピュリストの政権が急速に力を付けているわけですね。あるいは、その社民党から分かれた緑の党の方がむしろタカ派で、左右に親ロ派が出てきているという、表面上はそういうふうに見えますが、いずれにせよ、しばらく論争が続くんだろうと思います。

同時に、今まではドイツ経済、ヨーロッパ経済がやはり安いロシアのエネルギーを前提として自動車産業とか成っていたわけですが、これが自立できるかどうかということで、そこの悩みというものが今のヨーロッパではないかと思います。

したがって、しばらくは混沌が続くんだろうと思いますが、多かれ少なかれ、アメリカから自立するという要素、これは逆に言うとロシアとの和解をすべきだというベクトルも働いて、これが今、メルケルさんを代表にしたらいいのか、ドラギさんをヨーロッパ代表にしてプーチンと話すべきかという議論になっているんだろうと思います。

全てのオプション、私は開かれていると思いますが、その意味では注意深く、今までの既成概念にとらわれないヨーロッパの自立を見る必要があると思います。

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