小林大吉郎Meiji Seika ファルマ株式会社代表取締役会長

2026年4月16日・第221回国会 参議院 厚生労働委員会 第4号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 11 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 124 発言)

本日は、誠に貴重な機会をいただき、ありがとうございます。Meiji Seika ファルマ株式会社代表取締役会長の小林でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

当社は、ワクチン、抗菌薬、免疫グロブリンなどの感染症領域の製品を事業の中心に展開をしております。平素、経済安全保障推進法の下、これらの医薬品のサプライチェーンの強靱化に向けて、当委員会の先生方、また関係御当局に多大な御支援をいただいていること、まずもって御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

さて、本日は、中東紛争が医薬品の安定供給に及ぼすであろう影響と当社としての現状での対策、また、当委員会を通じて政府にお願いしたいことなどをMeiji Seika ファルマの経営者の立場でお話をさせていただきたいと、このように存じます。

それでは、お手元のこの資料に基づいて説明をさせていただきたいと思います。

まず、当社の紹介をさせていただきます。

Meiji Seika ファルマは、明治ホールディングスの医薬品セグメントとして、御覧のように、傘下のワクチン会社、KMバイオロジクスとともに感染症治療薬やワクチン、血漿分画製剤の医薬品事業をグローバルに展開している会社でございます。

現在、全身性の抗菌薬では二一・五%、インフルエンザワクチンでは約年間一千万バイアルを供給させていただいております。それから、新型インフルエンザワクチン、それからコロナワクチン等の新興・再興感染症にも準備を、備えをさせていただいておりまして、新型インフルエンザに関して、もし起こった場合、KMバイオロジクスで五千七百万人分を供給できる生産体制を現在維持をさせていただいております。

三ページ目でございますけれども、これはグループの歴史でございまして、お菓子やヨーグルトは有名なんですけれども、医薬品の方も実は、一九四六年、我が国でペニシリンを開発したこと、そのメーカーの一つでございまして、それが医薬品事業の明治としての開始になっております。以来、ここに示しておりますように、ワクチン、血漿分画製剤、抗菌薬等を開発、生産を続けさせていただいておりまして、今年でペニシリン創製八十周年ということであります。

四ページ目でございます。

ここでは、特定重要物資、ペニシリンの内製化の話をちょっと触れさせていただきたいと思います。

ペニシリンは、御承知のように、医療現場の感染制御の基盤となる、命のサプライチェーンと言うんですかね、そういうふうに私ども呼んでいますけど、大変重要な医薬品でございますが、御承知のように原料のほとんどは特定国に頼っているという現状でございまして、二〇一九年ですか、セファゾリンの供給が切れたという大きな問題がございましたが、それを契機に、抗菌薬、ワクチンの戦略的な必須性と申しますか、自律的な国内での生産が必要だということで、抗菌薬の内製化が行われているところでございます。特定重要物資に指定されてですね。

それで、ようやく、私ども、足掛け五年を掛けまして、二〇二五年十二月二十六日に当社の岐阜工場でまずファーストロットを生産することができました。ありがとうございます。今後は、複数の国内企業とコンソーシアムを組んで、二〇二八年までに、必須特定物資、特定重要物資たるアンピシリン・スルバクタム、タゾバクタム・ピペラシリンと、これを安定生産をしてまいりたいというふうに思います。

その間、この抗菌剤については、ここに掲げました様々なバリューチェーンの強靱化に向けて手を打っていただいております。ありがとうございます。特に、今回のナフサ不安においては、この一番下の抗菌薬等医薬品備蓄体制整備事業、これは、今お話しした特定重要物資の原薬、それから製剤を積み増せと、それに対して支援をいただく政策でございますけれども、このナフサ問題で供給リスク、これからお話ししますけれども、高まる中、この備蓄体制を先行してお認めいただいたということがセーフティーネットに今なっております。

さて、五ページ目でございますけれども、中東情勢と医薬品の安定供給、これはナフサの問題でございますけれども、石油製品から精製されるナフサは医薬品の製造全工程に影響いたします。

ナフサを原料とする石油製品は大きく二つ分けてございまして、この向かって右の、製造に必要な製品の素材、これは意外と顕在化しているところでございます。すなわち、点滴バッグですとかプラスチックボトルですとか、それからマスク、手袋、これも無菌化が必要な工場の従業員には必須のものでございますけれども、それに加えて、製造用の材料、これは無菌フィルター、これもナフサから作られているものでございます。これはどちらかといえば顕在化している方です。

見えないリスクというのは、実は原薬の原料のこちらの方でございます。

この医薬品の有効成分である原薬の製造につきましては、これは多くの低分子薬そうなんですけれども、有機合成で作られておりまして、合成の出発物質の中間体の多くは原油、ナフサを起点とする石油化学製品でございます。具体的には、メタノール、エタノール、アセトン、トルエンなどでございます。これらが供給が途絶したり値段が上がったりすると、医薬品の安定生産に大きな影響があるということでございます。

六ページ目でございます。

このナフサの供給の影響を、当社の事例を踏まえてここで整理をしております。

まず、足下では、ナフサの実需に対してはまだ影響は少ないということでございますけれども、ただ、供給不安が先行してもう刻々と状況が変わっております、まあ悪化しておると言ってもいいと思いますが。既に関連製品の供給遅延、それから価格高騰が顕在化してございます。現在の足下の製造、輸送コストの急激な上昇とも相まちまして、仮にこのような事態が長期化しますと、医療用医薬品の安定供給を毀損するリスクが高まるということでございます。

当社として真っ先に守らなきゃならないこの特定重要物資でございますけれども、現在、お話ししたように、製品、原材料の在庫、これを積み増しておりますので、現状の製品供給は行えております。ただ、これ数か月やはり、ナフサの供給が、続きますと、これ数か月先には供給のリスクが出てくるということでございます。

医薬品の安定供給に係る三つのボトルネックとしてここで整理をさせていただいていますが、もしナフサの供給が困難になった場合どういうボトルネックが起こるかということを整理しております。

まず、申し上げたように、医薬品の骨格を作る原料でございますので、ナフサの停止によるとそもそも原薬が作れないということになります。

それから二つ目、これ製剤化のところでございますけれども、溶媒、試薬、これもナフサ関連で、ヘキサン、トルエン、こういうものを使います。それから、精製用の溶剤、反応試薬、これも製造工程で使いますが、仮に原薬があっても、ナフサが滞ると製造工程が停止するということになります。

それから、一番顕在化して分かりやすいのは包装資材でございますけれども、ここまで製造、製品ができたとしても、これは、点滴バッグ、PTPシート、シリンジ、こういうものがもし滞れば出荷ができなくなるということでございまして、実際の供給状況よりも、足下での価格高騰、これがやはり医薬品企業としては大きな問題だと捉えておりまして、御承知のように保険薬価の中で私ども事業を展開しておりますので、保険薬価が上限で機能している中で、これ、一般の用役費も今上がっていますけど、加えて、想定外のナフサ関連の価格高騰があるとすると、これは、中小のメーカーさんですと死活問題になる可能性があるということでございます。

それから、七ページ目でございますけれども、これ、特定重要物資のタゾバクタム・ピペラシリンの製造状況について、これフローとともに若干お話ししたいんです。

これは発酵由来ですから、合成、完全合成の製品よりも幾らか影響は少ないんですけれども、やっぱり試験用のヘリウム、これ、現在、割当て出荷というふうに言われております。

それから、原材料の酢酸ブチル、ブタノール、これ、在庫も今私どもは数か月持っておりますが、新たに購入を申込みしたところ、納期は不透明、価格は三〇%足下で上昇ということを申し出られております。

今のところ、備蓄を六か月に向けて積み増し中でございますので、数か月は安定供給には支障ないものの、この状況が早く解決することを願ってやまないということでございます。

それから、八ページ目でございますけれども、これは、一般の医薬品のサプライチェーンについての問題を再度ここでまとめてございます。原材料から最終製品までのフローチャートをお示ししております。

弊社では、原薬の調達先の複線化ですとか各工程による在庫を積み増すというようなことを手を打っておりますけれども、今お話ししたように、やっぱり不安情報が先行して、納期が不明確になったり、今までは値段はある程度落ち着いていたんですけれども、二、三〇%足下ではアップするということが起こっております。

ただ、医薬品会社はいろんな規模の会社がございますので、必ずしも企業が十分な在庫を各工程で持っているとは限らないということでございます。この余剰在庫を抱えるということは、やはり一般的にはコスト増でございますので、中には在庫や部素材の確保が少ないものがあると思いますので、こういったものについては、やはり足下で影響が出るんではないかということを危惧しております。

それから、医薬品の部素材の代替性ですけれども、例えば包装資材なんかは、手に入らなければ手に入るものを代用が一般の生活物資ではできるんですけれども、医薬品は、御承知のように、GMPという省令の中で厳格な製造が求められておりますので、例えば包装資材を切り替える場合でも、その違った包装資材で溶け出さないかですとか、影響試験というのを一定程度しなきゃなりません。

ですから、もしこういったことが起きます、もし供給が途絶したような状態に備えて、迅速な薬事手続が行えるように配慮いただければ有り難いというふうに思います。

それから、この感染防止の防護服なんかは、今までの参考人の方が言ったとおりでございます。これも私どもは十分在庫を確保しておりますけれども、やはり状況は一緒でございまして、数か月というタイムラインでございます。

我々製薬会社として一番問題なのは、実は最近問題になっているのは、この輸送コストでございます。既に空路では、ほとんど医薬品が原薬は空路で今調達しておりますけれども、このコスト増はまあ三〇%足下で、それから海路で行きますと一か月の遅延が今起こっております。これ、有事の際は空路、海路共に途絶する可能性があるので、輸送ルートの複線化というものも、今、国際事業本部を中心に手を打っているところでございます。

最後の九ページ目、取りまとめでございます。

中東情勢を踏まえた医薬品の安定供給に向けた政策提言と、ちょっと大上段に構えましたけれども、今までお話ししたように、ナフサは、エチレン、プロピレン、ベンゼンなど、基礎化学の出発原料であるため、医薬品の全工程に影響があるということでございます。

基本認識としましては三点。

そのナフサの安定供給は戦略物資である医薬品の製造、供給に必須であるということでございます。この冒頭の、医薬品に関わるナフサの使用割合は限定的だと書いてありますけれども、限定的の意味は、二千五百トン、ナフサ、産業用に使われていると聞いていますけれども、医療用に特化しますと量自体はそんなに多くないと。

ただ、お話ししたように、これが滞りますと命に影響がするということでございますので、やはり、目詰まりを解くにしても、トリアージ、何を優先すべきかということは是非考えていただきたいと。大きなやっぱり産業用として取り回しをされますと、規模が小さいからといって重要性が落ちるものではないと我々は思っていますので、是非御配慮いただきたいというふうに思います。

市場のゆがみが増幅される懸念があり、安定供給については早期かつ戦略的な関与が必要であるということで、四点要望が取りまとめております。

最も要望をしたいのは、やはり、コストアップに備えて、薬価改定ですね、毎年、二〇一八年から行っていますけれども、是非来年はこの御配慮いただきたいというふうに思います。

以上、御説明申し上げました。ありがとうございます。

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