本多恵美参議院憲法審査会事務局長

2026年4月15日・第221回国会 参議院 憲法審査会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 21 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 86 発言)

令和四年通常選挙定数較差訴訟の最高裁判決について御説明いたします。

お手元の判決九ページを御覧ください。

同判決は、まず、憲法は、投票価値の平等を要求していると解されるとした上で、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準となるものではないとし、十ページから十一ページにかけ、憲法が、二院制の下で、参議院議員について任期を六年とし、解散もなく、半数改選を行うと定めている趣旨は、多角的かつ長期的な視点からの民意の反映、衆議院との権限の抑制、均衡等を図る趣旨であると解されるとして、いかなる選挙制度によって、その趣旨の実現と投票価値の平等の要請とを調和させていくかは、二院制の下における参議院の性格や機能及び衆議院との異同をどのように位置付け、これをそれぞれの選挙制度にいかに反映させていくかという点を含め、国会の合理的な裁量に委ねられているとしております。

また、政治的に一つのまとまりを有する単位である都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮すること自体が、直ちに国会の合理的な裁量を超えるものとは解されないとする一方、参議院議員選挙について直ちに投票価値の平等の要請の後退を認める理由は見出し難いともしております。

その上で、十二ページで、参議院議員選挙における選挙区間の最大較差は最大三倍程度で推移しており、有意な拡大傾向にあるとも言えず、また、合区対象県における投票率の低下や無効投票率の上昇等を勘案すると、有権者において、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するとの考え方がなお強く、これが選挙に対する関心や投票行動に影響を与えていることがうかがわれ、このような状況は、選挙制度の見直しに当たり、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させる観点から慎重に検討すべき課題があることを示唆し、立法府が較差是正に向けた取組を進めていくには、種々の方策の実効性や課題等の慎重な見極めと国民の理解が必要であり、合理的な成案に達するにはなお一定の時間を要することが見込まれるとしております。

そして、十三ページで、立法府が、較差の更なる是正とその持続のための具体的方策を講じなかったことを考慮しても、本件選挙時の選挙区間の最大較差が示す投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとは言えないと結論付けております。

なお、以上の多数意見とは見解を異にする四つの少数意見が付されております。

十四ページ以降の三浦裁判官の意見は、三倍を超える投票価値の不均衡は看過できず、本件選挙時において較差の是正を指向する姿勢を国会がなお維持していると評価することは困難であり、違憲状態と結論付けるものです。

次に、二十五ページ以降の草野裁判官の意見は、結論は合憲判決に同調するものですが、多数意見で論じられている投票価値とは異なる新たな投票価値として、選挙区選挙と比例代表選挙を合わせた総合的投票価値を用いるべきという平成二十一年の那須裁判官個別意見等に類似する見解が示されています。

引き続き、三十一ページ以降の尾島裁判官の意見は、三倍程度という最大較差の不均衡が依然として深刻な状況であることと、国会における是正への取組状況を総合すると、やむを得ない事情があるとは認め難く、違憲状態と結論付けるものです。

引き続き、三十八ページ以降の宇賀裁判官の意見は、一票の価値の不均衡は明らかに憲法上許容される範囲を超えており、この点について国会の説明責任が果たされていないため違憲無効と結論付けるもので、選挙を無効とする個別意見には平成三十年の山本裁判官等の例があります。

令和四年通常選挙に対する判決については以上でございますが、その後の令和七年通常選挙につきましては、昨年十一月に全十六件となる高裁判決が出そろい、その結果の内訳は、違憲状態が十一件、合憲が五件となっております。

以上でございます。

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