山添拓 (日本共産党)

2026年4月15日・第221回国会 参議院 憲法審査会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 16 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 86 発言)

日本共産党を代表し、憲法に対する考え方について意見を述べます。

高市総理は、施政方針演説以来、どのような国をつくり上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法と繰り返しています。最も重い憲法尊重擁護義務を負う総理のこの言い分は、憲法は権力を縛るものという立憲主義をわきまえない暴論です。発議のめどが立った状態で来年の党大会を迎えたいとも述べますが、権力の座にある総理が期限を切って改憲発議を迫るなど論外です。

自民党の新ビジョンは、改憲が今後三十年の安全保障を考える上でもこれまでになく死活的に求められているとし、衆議院の憲法審査会では、国防の規定を憲法に明確に位置付ける必要があるなどと述べました。狙いが九条にあることは明らかです。

維新の会は衆議院で、ホルムズ海峡への自衛隊派遣について、九条のおかげで自衛隊派遣を断れるはざれごとと述べました。

今般のイラン戦争は、米国とイスラエルによる国際法違反の先制攻撃が発端です。今やトランプ大統領は、停戦合意を破って、逆封鎖と主張しています。この下で、九条に反して自衛隊を派遣すれば事態を打開できるとでも言うのでしょうか。世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけなどという恥ずべき米国従属外交をやめ、イランとの伝統的な友好関係も生かした戦争終結のための外交交渉こそ必要です。

政府は、厳しい安全保障環境、抑止力、対処力の強化をあたかも合い言葉に大軍拡を進めています。その実態は、無法な戦争を繰り返すトランプ政権の米国との軍事一体化の強化にほかなりません。抑止力と言い、長射程ミサイルの配備を始め、軍拡を加速させれば、安全保障のジレンマに陥り、周辺国との緊張を強め、リスクを高めますが、住民の不安と懸念に応える姿勢はありません。

また、抑止のためと言いながら、抑止は破られることを前提にシェルターを造らせようとし、継戦能力と言い、長く戦えるように備えよとあおっています。食料自給率三八%、エネルギー自給率一三%の日本で戦争を長く続けようとするなど余りにも非現実的です。

今年度の軍事費は九兆円に上り、戦後初めての軍拡のための増税まで強行しました。まさに暮らしも平和も押し潰しています。

中国の脅威に対抗するには軍拡が必要でしょうか。日中関係が極度に悪化しているのは、総理の台湾有事発言が原因です。日中間には、互いに脅威とならないとした日中共同声明を始め、友好関係の礎となる幾つかの合意があります。言うべきことは率直に言いつつ、外交によって両国関係を前に動かす、そのために知恵と力を尽くすことこそ政治の役割です。

憲法九条が戦争の放棄と戦力不保持という世界に例を見ない徹底した平和主義を掲げたのは、国内外におびただしい犠牲をもたらした侵略戦争と植民地支配への反省からです。この下で、歴代政権は、軍事費はGDP比一%以内、専守防衛、集団的自衛権は行使しない、敵基地攻撃能力は保有しない、非核三原則を堅持し、国際紛争を助長する武器輸出は慎むなど、平和国家の原則を掲げてきました。国民が九条を我が物とし、権力を縛ってきた表れです。

集団的自衛権の行使を認めた二〇一五年の安保法制を始め、九条を骨抜きにする政治が加速しています。それでも、今日、米国の無法な戦争への加担を抑えているのは、九条が生きているからにほかなりません。

今月八日、国会前には三万人に上る市民が集まり、戦争反対、九条を守れと声を上げました。全国でこれに呼応した集会は百六十を超え、そのうねりはなお広がり続けています。高市政権の危険を前にいても立ってもいられないという多くの若い世代が、初めて参加する人々が、ペンライトの光を掲げて行動しています。

九条を変えようと躍起になる皆さんの目に、この姿はどう映っているのか。主権者の声など聞こえないかのように戦争国家づくりに血道を上げるのは、日本国憲法の下で立法府の任を預かる者として、その自覚も資格も問われます。

どの世論調査でも、国民は改憲を政治の優先課題として求めていません。憲法審査会を動かすべきでなく、改憲案を具体化するための条文起草委員会など必要ありません。

今、死活的に重要なことは、イラン戦争を終わらせ、直面する物価高騰や資材不足による苦境から国民生活を守ることであり、暮らし、平和、人権、憲法を徹底的に生かす政治への転換であることを強調し、意見とします。

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