おはようございます。森田でございます。
本日は、このような機会をいただきまして、大変感謝しております。
本日は、データ利活用制度・システム検討会の座長を務めまして、同研究会において本法案の基となりましたデータ利活用制度の在り方についての審議に参加してきた立場から、お手元に資料があると思いますけれども、一ページに示しましたように、第一に、我が国におけるデータ利活用の現状と課題、第二に、本法案の意義と本法案に対する期待、そして第三に、更なるデータ利活用の推進に向けた展望、この三点について意見を述べさせていただきます。
まず一点目、本法案の背景となっております、我が国におけるデータ利活用の現状と課題についてです。
近年は、AI開発を始めといたしまして、デジタル技術が急速に進む中で、データ利活用に対するニーズが社会の各方面で高まってきております。現代社会において、国民や社会に関する様々なデータは、政府における政策形成はもちろんのこと、国民生活の質を向上させるために、また、利便性を高めるための様々な事業であるとか活動の貴重な資源と考えられます。
特に、今日、AIは社会の様々な場面で利用が進んでおり、人材の不足が懸念される現代社会において、ますますその活用、普及が期待されるところだと思います。
このAIは、質の高いデータを大量に学習させることによってその性能が向上することから、基盤となる信頼のできるデータの集積、利活用、特に、組織を超えて広く共有できる仕組みや官民連携によるデータの利活用を推進することが必要です。他方、このようなデータは個人情報を含むことから、その適切な取扱いも確保していくことが重要と考えられます。
しかし、これまでの我が国では、データ連携、利活用の重要性は認識され、基本理念の策定や一部の分野における取組は進められてきたものの、必ずしもデータ連携、利活用の取組を社会全体で推進するための横断的かつ具体的な仕組みの整備は進んでいるとは言えないと思います。
この点、諸外国、例えばEUにおきましては、個人情報等のデータ保護とデータ利活用を両立させながら、公共サービスの高度化や経済成長、国民の利便性向上につなげるためのデータ利活用の制度の整備が進められております。
資料の二、三ページに示しましたように、EUでは、多くの分野でデータの利活用を推進するため、各分野のデータに共通した、例えば個人情報保護を目的とした一般データ保護規則、GDPRと言われておりますが、そのGDPRを始め、データ法、データガバナンス法などの共通ルールを定めた分野横断的法制度と、また、データスペースと呼ばれておりますが、分野ごとのデータの特性に応じた個別分野の法制度をマトリックス状、格子状に構成することで、体系的にデータ保護を図りつつ、かつ、利活用を推進する制度の構築を図っております。
二ページ目は、EUの資料からコピーしたデータスペースの構成です。そのようなデータスペースが領域ごとに作られる、そのように言っております。また、三ページ目は、先ほど申し上げましたマトリックス構造のイメージを示したものでございます。
他方、我が国におきましては、データの保護について個人情報保護法等が、またデータ利活用について官民データ活用推進基本法や医療分野における次世代医療基盤法が整備されてはいるものの、分野横断的なデータ利活用に関する作用法としての法制度はまだ未整備と言えます。
我が国においても、AI開発を始めデータの利活用による社会の利便性の向上を図るためには、分野横断的なデータ連携、利活用を促進するための具体的な制度整備が必要と考えます。そして、更に各分野の特性に応じて個別分野の法制度の整備を進め、四ページの図に示しましたように、EUと同様に、分かりやすく体系的なマトリックス状の制度の形成を目指すべきではないかと考えます。
本法案は、こうした問題意識の中で、令和六年十二月、データ利活用制度・システム検討会を計十六回開催いたしまして、その過程において、事業者等のヒアリングを含む議論を経て策定されたデータ利活用制度の在り方に関する基本方針の内容を踏まえて検討が進められてきたものです。
なお、五ページ、六ページは、データ利活用制度・システム検討会で示されました我が国の現状とこれから目指す状態のイメージ図でございます。
そこで、次に、二点目といたしまして、本法案の意義と本法案に対する期待について述べさせていただきます。
本法案は、行政機関等が保有するデータを利活用し、国民の利便性の向上を図ることを目的として、必要な事項を定めたものです。
データの利活用は国民社会に大きな恩恵をもたらすものではありますが、その前提といたしまして、個人情報の保護やデータの適切な取扱い、安全管理など、データ利活用に当たってのガバナンスや透明性の確保が不可欠です。
そこで、第一に、本法案では、国が指針を示した上で、データ利用を行おうとする者の事業計画の認定を行うこととしており、国民にとっては大きな信頼、安心感を得ることができると考えられます。
第二に、これまでは、データの利活用を推進する事業者にとって、特に個人情報を扱う新たな事業については、既存法令との関係を懸念してなかなか一歩を踏み出せないといったケースが見受けられたところでございますが、デジタル庁と個人情報保護委員会とで協議しながら認定を行う仕組みとしていることから、データの利活用について、それを推進する立場と監督する立場とが共同して制度の運用を進めていくものであり、保護と利活用のバランスの取れた制度となっていると考えます。
第三に、先ほど述べました指針は、基本的には認定を行う際の基準として機能することとなり、我が国におけるデータ利活用に関して一定の法的根拠を持って策定される文書といたしまして、これが各主体間のデータ連携のデファクトスタンダードとして機能することも想定されます。
したがいまして、この指針を今後どのように作成していくかが大変重要だと考えます。具体的には、データガバナンスであるとかデータセキュリティー、データの標準化などについて示されていくものと考えられ、多様なステークホルダーとの協議を経て策定されることを期待しているところでございます。
このような内容のこの法案については、これまで分野横断的なデータ利活用に関する法制度が未整備であった我が国において、その基本的な方向性を指針において国が示しつつ、認定に当たっても保護と利活用の両立が図られるような仕組みが盛り込まれており、今後のAI開発を始めとする、安全、安心なデータ利活用が広がっていくための最初の重要な一歩になると期待しております。
最後に、三点目、更なるデータ利活用の推進に向けた展望について述べさせていただきます。
この法案は、多様な分野に共通したデータ利活用のための分野横断的な制度について定めるものですが、データの特性、利活用の在り方は分野ごとに異なっております。安心してデータの保護と利活用の両方を推進していくためには、そうした個別分野の特性に応じて、その分野固有の事情等を考慮した適切な規律を設けることが必要です。そうした個別分野ごとの制度を設けることで、我が国全体でのデータ利活用の推進が一層図られることが期待されます。
例えば、金融、交通、医療等の個別分野におけるデータ利活用の制度を整備することで、より体系的かつそれぞれの分野に適した利活用が実現することになると期待されます。
先ほど述べましたEUでは、近年、シェーピング・ヨーロプス・デジタル・フューチャー等の戦略に基づき、GDPRを筆頭に、デジタルサービス法、デジタル市場法、データ法、AI法などの分野横断的な法を制定するとともに、昨二五年には、医療分野の包括的かつ体系的データ利活用を定めたEHDS、ヨーロピアン・ヘルス・データ・スペース法を制定しております。
このような体系的で明確な法体系ですが、分野横断的な立法が多くなり、かつ個別分野法も作られるとなりますと、例えばデータ利用のための許可申請等の行政手続が大変複雑になると考えられます。そこで、最近では、手続を簡略化し、共通手続を定めるデータオムニバス法を制定する動きが見られます。複雑で進歩が速いデジタルの世界で、確実にデータ保護を図りつつ、最大限データ利用を推進するためには、体系的で分かりやすい法制度が追求されていると考えられます。
このようなEUの動きを見る限り、我が国も、それに遅れることなく制度化を推進していくことが必要と考えます。
今回の法案によりまして、データ利活用の推進とリスクへの対応をバランスよく両立させながら、AI開発やデジタル技術の活用が進むことで、急激な人口減少社会においても、人手不足や生産性の低迷といった諸課題を克服し、持続可能で豊かな社会を実現するとともに、一人一人の生活の質を向上させ、個人の幸福、自由が達成する社会になることを期待しております。
私からの意見は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
0会会議録情報政府参考人など
令和八年五月十四日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 丹羽 秀樹君
理事 安藤たかお君 理事 上川 陽子君
理事 斉木 武志君 理事 田畑 裕明君
理事 橋本 岳君 理事 早稲田ゆき君
理事 阿部 司君 理事 日野紗里亜君
青山 周平君 畦元 将吾君
石井 拓君 井原 巧君
岡本 康宏君 尾花 瑛仁君
加藤 貴弘君 川崎ひでと君
繁本 護君 鈴木 拓海君
高橋 祐介君 田宮 寿人君
辻 秀樹君 西野 太亮君
古井 康介君 穂坂 泰君
丸田康一郎君 …
この発言のページ
1
丹羽秀樹(自民)
これより会議を開きます。
内閣提出、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、東京大学名誉教授、一般社団法人次世代基盤政策研究所代表理事森田朗君、弁護士法人英知法律事務所弁護士森亮二君、独立行政法人情報処理推進機構AIセーフティ・インスティテュート所長村上明子君及び日本労働組合総連合会総合政策推進局長小原成朗君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位…
この発言のページ
- (上の発言)
2森森田朗東京大学名誉教授/一般社団法人次世代基盤政策研究所代表理事
おはようございます。森田でございます。
本日は、このような機会をいただきまして、大変感謝しております。
本日は、データ利活用制度・システム検討会の座長を務めまして、同研究会において本法案の基となりましたデータ利活用制度の在り方についての審議に参加してきた立場から、お手元に資料があると思いますけれども、一ページに示しましたように、第一に、我が国におけるデータ利活用の現状と課題、第二に、本法案の意義と本法案に対する期待、そして第三に、更なるデータ利活用の推進に向けた展望、この三点について意見を述べさせていただきます。
まず一点目、本法案の背景となっております、我が国におけるデータ利活用の現状と課題についてです。
近年は、AI開発を始めといたしまして、デジタル技術が急速に進む中で、データ利活用に対するニーズが社会の各方面で高まってきております。現代社会において、国民や社会に関する様々なデータは、政府における政策形成はもちろんのこと、国民生活の質を向上させるために、また、利便性を高めるための様々な事業であるとか活動の貴重な資源と考えられます。
特に、今日、AIは社会の様々な場面で利用が進んでおり、人材の不足が懸念される現代社会において、ますますその活用、普及が期待されるところだと思います。
このAIは、質の高いデータを大量に学習させることによってその性能が向上することから、基盤となる信頼のできるデータの集積、利活用、特に、組織を超えて広く共有できる仕組みや官民連携によるデータの利活用を推進することが必要です。他方、このようなデータは個人情報を含むことから、その適切な取扱いも確保していくことが重要と考えられます。
しかし、これまでの我が国では、データ連携、利活用の重要性は認識され、基本理念の策定や一部の分野における取組は進められてきたものの、必ずしもデータ連携、利活用の取組を社会全体で推進するための横断的かつ具体的な仕組みの整備は進んでいるとは言えないと思います。
この点、諸外国、例えばEUにおきましては、個人情報等のデータ保護とデータ利活用を両立させながら、公共サービスの高度化や経済成長、国民の利便性向上につなげるためのデータ利活用の制度の整備が進められております。
資料の二、三ページに示しましたように、EUでは、多くの分野でデータの利活用を推進するため、各分野のデータに共通した、例えば個人情報保護を目的とした一般データ保護規則、GDPRと言われておりますが、そのGDPRを始め、データ法、データガバナンス法などの共通ルールを定めた分野横断的法制度と、また、データスペースと呼ばれておりますが、分野ごとのデータの特性に応じた個別分野の法制度をマトリックス状、格子状に構成することで、体系的にデータ保護を図りつつ、かつ、利活用を推進する制度の構築を図っております。
二ページ目は、EUの資料からコピーしたデータスペースの構成です。そのようなデータスペースが領域ごとに作られる、そのように言っております。また、三ページ目は、先ほど申し上げましたマトリックス構造のイメージを示したものでございます。
他方、我が国におきましては、データの保護について個人情報保護法等が、またデータ利活用について官民データ活用推進基本法や医療分野における次世代医療基盤法が整備されてはいるものの、分野横断的なデータ利活用に関する作用法としての法制度はまだ未整備と言えます。
我が国においても、AI開発を始めデータの利活用による社会の利便性の向上を図るためには、分野横断的なデータ連携、利活用を促進するための具体的な制度整備が必要と考えます。そして、更に各分野の特性に応じて個別分野の法制度の整備を進め、四ページの図に示しましたように、EUと同様に、分かりやすく体系的なマトリックス状の制度の形成を目指すべきではないかと考えます。
本法案は、こうした問題意識の中で、令和六年十二月、データ利活用制度・システム検討会を計十六回開催いたしまして、その過程において、事業者等のヒアリングを含む議論を経て策定されたデータ利活用制度の在り方に関する基本方針の内容を踏まえて検討が進められてきたものです。
なお、五ページ、六ページは、データ利活用制度・システム検討会で示されました我が国の現状とこれから目指す状態のイメージ図でございます。
そこで、次に、二点目といたしまして、本法案の意義と本法案に対する期待について述べさせていただきます。
本法案は、行政機関等が保有するデータを利活用し、国民の利便性の向上を図ることを目的として、必要な事項を定めたものです。
データの利活用は国民社会に大きな恩恵をもたらすものではありますが、その前提といたしまして、個人情報の保護やデータの適切な取扱い、安全管理など、データ利活用に当たってのガバナンスや透明性の確保が不可欠です。
そこで、第一に、本法案では、国が指針を示した上で、データ利用を行おうとする者の事業計画の認定を行うこととしており、国民にとっては大きな信頼、安心感を得ることができると考えられます。
第二に、これまでは、データの利活用を推進する事業者にとって、特に個人情報を扱う新たな事業については、既存法令との関係を懸念してなかなか一歩を踏み出せないといったケースが見受けられたところでございますが、デジタル庁と個人情報保護委員会とで協議しながら認定を行う仕組みとしていることから、データの利活用について、それを推進する立場と監督する立場とが共同して制度の運用を進めていくものであり、保護と利活用のバランスの取れた制度となっていると考えます。
第三に、先ほど述べました指針は、基本的には認定を行う際の基準として機能することとなり、我が国におけるデータ利活用に関して一定の法的根拠を持って策定される文書といたしまして、これが各主体間のデータ連携のデファクトスタンダードとして機能することも想定されます。
したがいまして、この指針を今後どのように作成していくかが大変重要だと考えます。具体的には、データガバナンスであるとかデータセキュリティー、データの標準化などについて示されていくものと考えられ、多様なステークホルダーとの協議を経て策定されることを期待しているところでございます。
このような内容のこの法案については、これまで分野横断的なデータ利活用に関する法制度が未整備であった我が国において、その基本的な方向性を指針において国が示しつつ、認定に当たっても保護と利活用の両立が図られるような仕組みが盛り込まれており、今後のAI開発を始めとする、安全、安心なデータ利活用が広がっていくための最初の重要な一歩になると期待しております。
最後に、三点目、更なるデータ利活用の推進に向けた展望について述べさせていただきます。
この法案は、多様な分野に共通したデータ利活用のための分野横断的な制度について定めるものですが、データの特性、利活用の在り方は分野ごとに異なっております。安心してデータの保護と利活用の両方を推進していくためには、そうした個別分野の特性に応じて、その分野固有の事情等を考慮した適切な規律を設けることが必要です。そうした個別分野ごとの制度を設けることで、我が国全体でのデータ利活用の推進が一層図られることが期待されます。
例えば、金融、交通、医療等の個別分野におけるデータ利活用の制度を整備することで、より体系的かつそれぞれの分野に適した利活用が実現することになると期待されます。
先ほど述べましたEUでは、近年、シェーピング・ヨーロプス・デジタル・フューチャー等の戦略に基づき、GDPRを筆頭に、デジタルサービス法、デジタル市場法、データ法、AI法などの分野横断的な法を制定するとともに、昨二五年には、医療分野の包括的かつ体系的データ利活用を定めたEHDS、ヨーロピアン・ヘルス・データ・スペース法を制定しております。
このような体系的で明確な法体系ですが、分野横断的な立法が多くなり、かつ個別分野法も作られるとなりますと、例えばデータ利用のための許可申請等の行政手続が大変複雑になると考えられます。そこで、最近では、手続を簡略化し、共通手続を定めるデータオムニバス法を制定する動きが見られます。複雑で進歩が速いデジタルの世界で、確実にデータ保護を図りつつ、最大限データ利用を推進するためには、体系的で分かりやすい法制度が追求されていると考えられます。
このようなEUの動きを見る限り、我が国も、それに遅れることなく制度化を推進していくことが必要と考えます。
今回の法案によりまして、データ利活用の推進とリスクへの対応をバランスよく両立させながら、AI開発やデジタル技術の活用が進むことで、急激な人口減少社会においても、人手不足や生産性の低迷といった諸課題を克服し、持続可能で豊かな社会を実現するとともに、一人一人の生活の質を向上させ、個人の幸福、自由が達成する社会になることを期待しております。
私からの意見は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
3
丹羽秀樹(自民)
ありがとうございました。
次に、森参考人、お願いいたします。
この発言のページ
4森森亮二弁護士法人英知法律事務所弁護士
弁護士の森でございます。
本日は、お招きいただきましてありがとうございました。
私は、個人情報保護法の改正法案の方について御説明をさせていただきます。
課題と留意点というタイトルになっておりますが、まず、改正法案全体の評価ということでございますけれども、本改正は、保護と利活用双方にわたる多くの新しい制度を導入する大改正でございます。これまで懸案となっていた課徴金、それから生体情報の保護等を盛り込んだ点で、高く評価できると考えます。
もっとも、本改正には課題や留意点も多く存在いたしまして、これらについては、下位法令やガイドラインによって手当てをし、…
この発言のページ
5
丹羽秀樹(自民)
ありがとうございました。
次に、村上参考人、お願いいたします。
この発言のページ