国民民主党・無所属クラブの森ようすけです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました経済安全保障推進法改正案及びJBIC法改正案について質問いたします。(拍手)
安全保障の概念は、従来の防衛、外交分野にとどまらず、食料、エネルギー、半導体、医薬品、医療機器等を含む経済分野へと大きく広がりを見せています。特定の国、地域への過度な依存を回避し、強靱なサプライチェーンを構築すること、国際経済社会において不可欠性の高い優れた技術を保有することなど、総合的な経済安全保障体制の強化は、現在の国際情勢を踏まえて不可欠な課題です。
自分の国は自分で守る、我が党が掲げる主要政策の柱の一つです。その実現のためにも、経済安全保障の推進は極めて重要であり、更なる政策の強化と不断の見直しが必要であると考えていることを冒頭申し上げて、質問に入ります。
まず、イラン情勢に伴う重要物資の安定確保について伺います。
今回の情勢を受け、我が国の資源調達の脆弱性や経済安全保障上の課題が改めて浮き彫りとなりました。過去二度のオイルショックの教訓を踏まえ石油備蓄体制が整備されてきたことは、先人たちの尽力のたまものです。
しかしながら、燃料や石油関連製品が社会の隅々まで十分に行き渡っているのか、また、先行きがいまだ不透明な中、重要物資の供給を滞りなく継続できるのか、依然として懸念が残ります。先が見通せない中、不安を感じている国民や供給不足に直面している事業者の声も多く寄せられています。
日々刻々と変化し、先行きが不透明な情勢の中にあって、重要物資の安定確保の現況について、重要物資安定確保担当大臣にお伺いいたします。
次に、医療物資の供給状況について伺います。
医療現場においては、ニトリルグローブやメディカルエプロン、それに加え、シリンジや点滴キット等の供給制約が生じており、状況は一層深刻化しているとの声が現場から寄せられています。大規模病院と小さな診療所との間における供給の優先順位の差や、流通段階における売り控え、さらには、政府における対応の偏り、供給量全体としては不足していないと政府は説明していますが、様々な要因により現場に届いていない実態が存在していることは看過できません。
政府として、医療物資の供給状況が一層深刻化している認識があるのか、また、情報提供窓口を通じた対応について、医療機関の規模や機能によって差が生じることなく、迅速かつ適切に対応できているのか、そして今後の改善の見通しについてどのように考えているのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
建築資材の供給不足も深刻です。住宅設備や建材全般にわたり供給の不安定化が指摘されている中、塗装業や防水業で使用される資材についても入手が困難になっているとの声が強まっています。
具体的には、必要な資材が確保できず、仕事はあるにもかかわらず受注を断らざるを得ず、結果として収入が途絶えてしまうといった切実な実態を聞いています。こうした状況は、仕事があるにもかかわらず受けることができないという機会損失を生じさせており、小規模事業者や個人事業主の事業に深刻な影響を及ぼしている問題です。
現在の建築資材の供給状況について、政府としてどのように認識しているのか、また、資材供給の安定化に向けてどのような対応策を講じているのか、さらに、資材不足により収入減に直面している小規模事業者や個人事業主の実態をどのように把握し、どのような対策を考えているか、国土交通大臣にお伺いいたします。
本改正案は、今般のイラン情勢が改めて顕在化させた我が国の経済安全保障の課題を、必ずしも十分に踏まえた内容とは言えないのではないかと考えます。
今回のイラン情勢を受けて、我が国の経済安全保障政策の在り方そのものを見直す必要があると認識しているのか、また、経済安全保障推進法の施策の枠内で対応可能と考えているのか、それとも、本法案とは別の政策的な枠組みや追加的な措置によって対応すべきだと考えているのでしょうか。
あわせて、特定重要物資の指定についても伺います。今回の事態を踏まえ、石油関連製品や医療物資、建築資材などについて、追加指定の検討の是非についてどのように考えていますでしょうか、経済安全保障担当大臣にお伺いいたします。
次に、急速に進化するAIがもたらす経済安全保障上の脅威について伺います。
アメリカでは、ベッセント財務長官が、FRBパウエル議長、大手金融機関CEOとの緊急会合を開催し、AIによる高度なサイバー攻撃が金融システム全体に深刻な脅威となり得るとの強い警戒感が示されています。
アンソロピック社のクロード・ミュトスは、システム上の欠陥を特定し、極めて多数の脆弱性を既に発見しています。こうした技術の潜在的な危険性を踏まえ、一般公開を見送り、一部大手企業に公開を限定するなど、高度化するAIのリスク認識が国際的に急速に高まっています。
また、先週金曜日には、片山金融担当大臣の呼びかけにより、AI脅威に対する金融分野のサイバーセキュリティー対策強化に関する官民連絡会議が開催され、日本銀行の植田総裁や国内大手金融機関の幹部らが出席しました。
金融システムは相互接続性が非常に高く、リアルタイムで処理されるため、サイバー攻撃によって直ちに市場への影響や信用不安にまで波及し得る特性があること、また、金融機関が重要インフラ機能を担っている上で、脆弱性の情報把握からパッチの適用までの迅速化、インシデントが発生した際の備えがこれまで以上に重要になると、会議後に大臣から言及もされております。
本法律では、金融、電力、港湾等の十五の基幹インフラ分野を対象として、設備導入や維持管理の委託に際し、届出、審査を行う制度が整備されており、今般の改正案では医療分野の追加が規定されています。
しかしながら、AIによるサイバー攻撃の高度化が急速に進展する中で、こうした現行の制度的枠組みが目前に迫りつつあるリスクに十分に対応し得るのかについては、大きな懸念があります。仮に、制度上の審査を経た設備やシステムであっても、高度化されたAIによって脆弱性がつかれ、侵害が生じた場合、従来の対応では限界があるのではないでしょうか。
さらに、今後、諸外国においても同等の高性能AIが開発、展開されることも想定され、サイバー空間における経済安全保障への脅威は一層高度化、複雑化していくことが見込まれます。
高度化するAIがもたらす経済安全保障上のリスクを政府としてどのように認識しているのか。また、現行の経済安全保障推進法の枠組みが、こうした新たな脅威に対して十分に機能し得ると考えているのか、それとも、制度の見直しや新たな対応が必要であると認識しているのか。さらに、AIの進展を踏まえ、経済安全保障への考え方そのものを見直す必要があるのではないでしょうか。
アメリカでは、一部企業において、自社のソフトウェア開発工程にクロード・ミュトスを組み込む動きがあります。基幹インフラ分野における届出、審査制度にとどまらず、基幹インフラシステムの構築時から、サイバーセキュリティー強化のためにAIを活用することを国が主導して行う必要性があるのではないでしょうか。
また、超高度なAIによる攻撃を想定した脆弱性チェックやストレステストを、各省庁がそれぞれの基幹インフラ分野において、責任を持って実施していく体制を構築する必要があるのではないでしょうか。
広義の経済安全保障を捉える上で、民主主義の根幹である選挙への外国からの影響力行使を防止することも極めて重要です。選挙結果が外国勢力からの介入によって操作されることは、それが経済活動、経済方針にも大きな影響が出てくることになります。実際に、他国の選挙において外国勢力による選挙介入が確認されています。
我が国の選挙は、紙の投票用紙で行われるものの、期日前投票や投票所受付、投票結果集計等のシステム導入がされているため、こうしたシステムが攻撃されて適正な選挙執行がゆがめられる可能性もあります。選挙システムの堅牢性を確保するためにも、現行の十五の基幹インフラ分野に選挙インフラを指定することを今後検討するべきではないでしょうか。
次に、本法律施行後の成果と評価について伺います。
本法律は、施行後三年を目途とした見直し規定が設けられており、現行制度の運用を通じて明らかとなった課題や国際情勢の変化等を踏まえ、今回の改正案が提出されたものと認識しています。
これまで、経済安全保障に係る基本方針の策定、重要物資の安定的な供給の確保に関する制度、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度、先端的な重要技術の開発支援に関する制度、特許出願の非公開に関する制度等が講じられてきました。
法律に基づき講じた施策によって、現時点までにどのような具体的な成果が得られたと認識しているのか、とりわけ、指定した特定重要物資について安定供給確保の取組がどの程度進展したと評価しているのか、お伺いいたします。
現在、特定重要物資として十六物資が指定されていますが、そのうち、医療関係物資は抗菌性物質製剤と人工呼吸器に限られています。それ以外の麻酔薬や昇圧薬、輸液、電解質製剤などについても、安定供給のリスクが指摘されています。こうしたその他の医療物資を特定重要物資に指定する必要性について、どのように考えていますでしょうか。
本改正案では、供給確保計画の認定を受けた事業者において、原材料供給者等の事業廃止や事業譲渡、海外移転等により安定供給確保に支障が生じる場合には、主務大臣が関係者に対して必要な協力を求めることができるとされています。
これまでに、他の事業者の事業廃止等によって、認定を受けた供給確保計画の実施が困難となるおそれがある事例は、具体的にどのように存在していたのでしょうか。また、任意の協力要請によって事態の改善にどの程度の効果が見込めるのか、どの程度の実効性が確保されると考えているのか、お伺いいたします。
現在、十五分野の基幹インフラが指定され、改正案では医療分野の追加が規定されています。医療分野の追加に関しては、これまでも国会審議や有識者会議でも指摘がなされていたものの、対象に入れる必要はないと政府では判断していました。
今回の見直しにおいて、個々の医療機関を基幹インフラ制度の対象とすることとした背景、理由は何でしょうか。また、下水道やダム等のその他の分野も重要な基幹インフラに含まれ得るところ、経済安全保障、国家安全保障の観点から、具体的にどのような基準に基づき選定しているのでしょうか。
最後に、JBICによる海外事業支援についてお伺いいたします。
本改正案では、経済安全保障上重要な海外事業を支援する新たな制度を創設することとされています。採算性に不確実性があり、既存の支援ツールだけでは民間企業から十分な投資が行われない一方で、経済安全保障上の効果が見込める海外事業を支援する方向性は理解します。
一方で、国が損失リスクを引き受ける以上、対象事業の選定に当たっては具体的な基準を設けることが必要だと考えます。国が損失リスクを負ってでも進めるほど経済安全保障上の大きな効果がある事業に限って認めるべきであり、可能な限り定量的な評価に基づく選定が求められます。
対象事業が必要以上に拡大しないように、また、損失リスクに見合わない事業が選定されないように、透明性の高い評価を行うことや、認定後にも適切なモニタリングを行う体制が必要であると考えますが、御見解をお伺いいたします。
経済安全保障推進法が成立した令和四年から、三年が経過しました。この間、経済安全保障をめぐる状況は大きく変化し、とりわけ急激に高度化するAIがもたらす新たな脅威は、重大な課題として顕在化しています。
今後の国会における審議においては、現行法の延長線上にとどまるのではなく、こうした環境変化を正面から捉え、真に強固な経済安全保障体制の構築に資する制度の在り方について議論を深めていく必要があります。
そうした観点も含めた充実した審議が行われることを強く求め、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小野田紀美君登壇〕
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小野田紀美(自民)内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略・知的財産戦略・科学技術政策・宇宙政策・人工知能戦略・経済安全保障)
西田薫議員の質問にお答えする前に、先ほどの長妻議員の特定社会基盤事業の状況の質問への答弁を補足させていただきます。
特定社会基盤事業に関してのお答えです。
経済安全保障推進法における基幹インフラ制度は、今般追加を予定している医療分野等を対象として、重要な設備が我が国外部からの妨害行為の手段として用いられることを防止する制度です。そのため、本制度において、ホルムズ海峡の事案を踏まえた特段の対応は想定しておりませんが、それぞれの特定社会基盤事業を規律する各業法の規定等に基づき、各省庁において役務の安定的な提供の確保に向けた適切な取組がなされているものと承…
この発言のページ
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赤澤亮正(自民)経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)
西田薫議員から、国産クラウドについてお尋ねがありました。
AI等のデジタルサービスが社会活動の基盤としての役割を増す中、DXやAIトランスフォーメーションの基盤たるクラウドの国内基盤の強化と海外展開を一体的に進めることは、我が国の経済成長や経済安全保障の観点から重要です。
このため、これまでも、クラウドサービスを提供する国内事業者による技術開発や高度なコンピューターの導入に対して千三百六十六億円の予算を措置し、支援するとともに、クラウドサービスの海外展開を後押しするための現地での実証を支援してきました。
今後は、現場にAIをいち早く実装し、世界に先…
この発言のページ
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石井啓一副議長
森ようすけ君。
〔森ようすけ君登壇〕
この発言のページ
- (上の発言)
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森ようすけ(国民)
国民民主党・無所属クラブの森ようすけです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました経済安全保障推進法改正案及びJBIC法改正案について質問いたします。(拍手)
安全保障の概念は、従来の防衛、外交分野にとどまらず、食料、エネルギー、半導体、医薬品、医療機器等を含む経済分野へと大きく広がりを見せています。特定の国、地域への過度な依存を回避し、強靱なサプライチェーンを構築すること、国際経済社会において不可欠性の高い優れた技術を保有することなど、総合的な経済安全保障体制の強化は、現在の国際情勢を踏まえて不可欠な課題です。
自分の国は自分で守る、我が党が掲げる主要政策の柱の一つです。その実現のためにも、経済安全保障の推進は極めて重要であり、更なる政策の強化と不断の見直しが必要であると考えていることを冒頭申し上げて、質問に入ります。
まず、イラン情勢に伴う重要物資の安定確保について伺います。
今回の情勢を受け、我が国の資源調達の脆弱性や経済安全保障上の課題が改めて浮き彫りとなりました。過去二度のオイルショックの教訓を踏まえ石油備蓄体制が整備されてきたことは、先人たちの尽力のたまものです。
しかしながら、燃料や石油関連製品が社会の隅々まで十分に行き渡っているのか、また、先行きがいまだ不透明な中、重要物資の供給を滞りなく継続できるのか、依然として懸念が残ります。先が見通せない中、不安を感じている国民や供給不足に直面している事業者の声も多く寄せられています。
日々刻々と変化し、先行きが不透明な情勢の中にあって、重要物資の安定確保の現況について、重要物資安定確保担当大臣にお伺いいたします。
次に、医療物資の供給状況について伺います。
医療現場においては、ニトリルグローブやメディカルエプロン、それに加え、シリンジや点滴キット等の供給制約が生じており、状況は一層深刻化しているとの声が現場から寄せられています。大規模病院と小さな診療所との間における供給の優先順位の差や、流通段階における売り控え、さらには、政府における対応の偏り、供給量全体としては不足していないと政府は説明していますが、様々な要因により現場に届いていない実態が存在していることは看過できません。
政府として、医療物資の供給状況が一層深刻化している認識があるのか、また、情報提供窓口を通じた対応について、医療機関の規模や機能によって差が生じることなく、迅速かつ適切に対応できているのか、そして今後の改善の見通しについてどのように考えているのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
建築資材の供給不足も深刻です。住宅設備や建材全般にわたり供給の不安定化が指摘されている中、塗装業や防水業で使用される資材についても入手が困難になっているとの声が強まっています。
具体的には、必要な資材が確保できず、仕事はあるにもかかわらず受注を断らざるを得ず、結果として収入が途絶えてしまうといった切実な実態を聞いています。こうした状況は、仕事があるにもかかわらず受けることができないという機会損失を生じさせており、小規模事業者や個人事業主の事業に深刻な影響を及ぼしている問題です。
現在の建築資材の供給状況について、政府としてどのように認識しているのか、また、資材供給の安定化に向けてどのような対応策を講じているのか、さらに、資材不足により収入減に直面している小規模事業者や個人事業主の実態をどのように把握し、どのような対策を考えているか、国土交通大臣にお伺いいたします。
本改正案は、今般のイラン情勢が改めて顕在化させた我が国の経済安全保障の課題を、必ずしも十分に踏まえた内容とは言えないのではないかと考えます。
今回のイラン情勢を受けて、我が国の経済安全保障政策の在り方そのものを見直す必要があると認識しているのか、また、経済安全保障推進法の施策の枠内で対応可能と考えているのか、それとも、本法案とは別の政策的な枠組みや追加的な措置によって対応すべきだと考えているのでしょうか。
あわせて、特定重要物資の指定についても伺います。今回の事態を踏まえ、石油関連製品や医療物資、建築資材などについて、追加指定の検討の是非についてどのように考えていますでしょうか、経済安全保障担当大臣にお伺いいたします。
次に、急速に進化するAIがもたらす経済安全保障上の脅威について伺います。
アメリカでは、ベッセント財務長官が、FRBパウエル議長、大手金融機関CEOとの緊急会合を開催し、AIによる高度なサイバー攻撃が金融システム全体に深刻な脅威となり得るとの強い警戒感が示されています。
アンソロピック社のクロード・ミュトスは、システム上の欠陥を特定し、極めて多数の脆弱性を既に発見しています。こうした技術の潜在的な危険性を踏まえ、一般公開を見送り、一部大手企業に公開を限定するなど、高度化するAIのリスク認識が国際的に急速に高まっています。
また、先週金曜日には、片山金融担当大臣の呼びかけにより、AI脅威に対する金融分野のサイバーセキュリティー対策強化に関する官民連絡会議が開催され、日本銀行の植田総裁や国内大手金融機関の幹部らが出席しました。
金融システムは相互接続性が非常に高く、リアルタイムで処理されるため、サイバー攻撃によって直ちに市場への影響や信用不安にまで波及し得る特性があること、また、金融機関が重要インフラ機能を担っている上で、脆弱性の情報把握からパッチの適用までの迅速化、インシデントが発生した際の備えがこれまで以上に重要になると、会議後に大臣から言及もされております。
本法律では、金融、電力、港湾等の十五の基幹インフラ分野を対象として、設備導入や維持管理の委託に際し、届出、審査を行う制度が整備されており、今般の改正案では医療分野の追加が規定されています。
しかしながら、AIによるサイバー攻撃の高度化が急速に進展する中で、こうした現行の制度的枠組みが目前に迫りつつあるリスクに十分に対応し得るのかについては、大きな懸念があります。仮に、制度上の審査を経た設備やシステムであっても、高度化されたAIによって脆弱性がつかれ、侵害が生じた場合、従来の対応では限界があるのではないでしょうか。
さらに、今後、諸外国においても同等の高性能AIが開発、展開されることも想定され、サイバー空間における経済安全保障への脅威は一層高度化、複雑化していくことが見込まれます。
高度化するAIがもたらす経済安全保障上のリスクを政府としてどのように認識しているのか。また、現行の経済安全保障推進法の枠組みが、こうした新たな脅威に対して十分に機能し得ると考えているのか、それとも、制度の見直しや新たな対応が必要であると認識しているのか。さらに、AIの進展を踏まえ、経済安全保障への考え方そのものを見直す必要があるのではないでしょうか。
アメリカでは、一部企業において、自社のソフトウェア開発工程にクロード・ミュトスを組み込む動きがあります。基幹インフラ分野における届出、審査制度にとどまらず、基幹インフラシステムの構築時から、サイバーセキュリティー強化のためにAIを活用することを国が主導して行う必要性があるのではないでしょうか。
また、超高度なAIによる攻撃を想定した脆弱性チェックやストレステストを、各省庁がそれぞれの基幹インフラ分野において、責任を持って実施していく体制を構築する必要があるのではないでしょうか。
広義の経済安全保障を捉える上で、民主主義の根幹である選挙への外国からの影響力行使を防止することも極めて重要です。選挙結果が外国勢力からの介入によって操作されることは、それが経済活動、経済方針にも大きな影響が出てくることになります。実際に、他国の選挙において外国勢力による選挙介入が確認されています。
我が国の選挙は、紙の投票用紙で行われるものの、期日前投票や投票所受付、投票結果集計等のシステム導入がされているため、こうしたシステムが攻撃されて適正な選挙執行がゆがめられる可能性もあります。選挙システムの堅牢性を確保するためにも、現行の十五の基幹インフラ分野に選挙インフラを指定することを今後検討するべきではないでしょうか。
次に、本法律施行後の成果と評価について伺います。
本法律は、施行後三年を目途とした見直し規定が設けられており、現行制度の運用を通じて明らかとなった課題や国際情勢の変化等を踏まえ、今回の改正案が提出されたものと認識しています。
これまで、経済安全保障に係る基本方針の策定、重要物資の安定的な供給の確保に関する制度、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度、先端的な重要技術の開発支援に関する制度、特許出願の非公開に関する制度等が講じられてきました。
法律に基づき講じた施策によって、現時点までにどのような具体的な成果が得られたと認識しているのか、とりわけ、指定した特定重要物資について安定供給確保の取組がどの程度進展したと評価しているのか、お伺いいたします。
現在、特定重要物資として十六物資が指定されていますが、そのうち、医療関係物資は抗菌性物質製剤と人工呼吸器に限られています。それ以外の麻酔薬や昇圧薬、輸液、電解質製剤などについても、安定供給のリスクが指摘されています。こうしたその他の医療物資を特定重要物資に指定する必要性について、どのように考えていますでしょうか。
本改正案では、供給確保計画の認定を受けた事業者において、原材料供給者等の事業廃止や事業譲渡、海外移転等により安定供給確保に支障が生じる場合には、主務大臣が関係者に対して必要な協力を求めることができるとされています。
これまでに、他の事業者の事業廃止等によって、認定を受けた供給確保計画の実施が困難となるおそれがある事例は、具体的にどのように存在していたのでしょうか。また、任意の協力要請によって事態の改善にどの程度の効果が見込めるのか、どの程度の実効性が確保されると考えているのか、お伺いいたします。
現在、十五分野の基幹インフラが指定され、改正案では医療分野の追加が規定されています。医療分野の追加に関しては、これまでも国会審議や有識者会議でも指摘がなされていたものの、対象に入れる必要はないと政府では判断していました。
今回の見直しにおいて、個々の医療機関を基幹インフラ制度の対象とすることとした背景、理由は何でしょうか。また、下水道やダム等のその他の分野も重要な基幹インフラに含まれ得るところ、経済安全保障、国家安全保障の観点から、具体的にどのような基準に基づき選定しているのでしょうか。
最後に、JBICによる海外事業支援についてお伺いいたします。
本改正案では、経済安全保障上重要な海外事業を支援する新たな制度を創設することとされています。採算性に不確実性があり、既存の支援ツールだけでは民間企業から十分な投資が行われない一方で、経済安全保障上の効果が見込める海外事業を支援する方向性は理解します。
一方で、国が損失リスクを引き受ける以上、対象事業の選定に当たっては具体的な基準を設けることが必要だと考えます。国が損失リスクを負ってでも進めるほど経済安全保障上の大きな効果がある事業に限って認めるべきであり、可能な限り定量的な評価に基づく選定が求められます。
対象事業が必要以上に拡大しないように、また、損失リスクに見合わない事業が選定されないように、透明性の高い評価を行うことや、認定後にも適切なモニタリングを行う体制が必要であると考えますが、御見解をお伺いいたします。
経済安全保障推進法が成立した令和四年から、三年が経過しました。この間、経済安全保障をめぐる状況は大きく変化し、とりわけ急激に高度化するAIがもたらす新たな脅威は、重大な課題として顕在化しています。
今後の国会における審議においては、現行法の延長線上にとどまるのではなく、こうした環境変化を正面から捉え、真に強固な経済安全保障体制の構築に資する制度の在り方について議論を深めていく必要があります。
そうした観点も含めた充実した審議が行われることを強く求め、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小野田紀美君登壇〕
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小野田紀美(自民)内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略・知的財産戦略・科学技術政策・宇宙政策・人工知能戦略・経済安全保障)
森ようすけ議員からは、まず、今回のイラン情勢を受けた我が国の経済安全保障施策の見直しの必要性、経済安全保障推進法の施策の枠内での対応可能性、石油関連製品等の特定重要物資への追加指定についてお尋ねがありました。
イラン情勢の影響を受けた石油製品等の緊急的な対応については、中東情勢に伴う重要物資安定確保担当大臣である赤澤大臣を中心に、政府一丸となって対応を進めております。
その上で、赤澤大臣や関係閣僚の下で把握された重要物資のサプライチェーンの状況も踏まえて、ある程度先を見越した対応が必要となる物資については、関係省庁と連携して、スピード感を持ってリスク…
この発言のページ
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上野賢一郎(自民)厚生労働大臣
森ようすけ議員の御質問にお答えをいたします。
医療物資の供給状況についてお尋ねがありました。
厚生労働省では、全医療機関等からの情報提供窓口の設置や、製造販売業者等へのヒアリングに加え、EMISを用いた報告システムなど、様々なルートを通じて情報収集を徹底しており、医療物資等について、現時点において直ちに供給が滞る状況ではないと承知をしております。
また、全医療機関等から集めた情報により得られた個別の流通の目詰まり等については、経済産業省と連携し、順次、解消を行っているほか、必要な物資を適切に医療機関に届けられるよう、医療機関や供給業者団体の双方に対…
この発言のページ
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金子恭之(自民)国土交通大臣
森ようすけ議員から、中東情勢による建築資材や建設業者に対する影響や対応についてお尋ねがございました。
建設業において、中東情勢の影響により建設資材の供給の偏りや流通の目詰まり等が生じ、その解消に向けた取組が着実に進められているものの、依然として、工事の代金や工期、中小建設業者の経営などへの影響について、建設業界などから懸念の声が寄せられていると認識をしております。
このため、国土交通省としても、関係団体へのヒアリング等により、建設資材の需給動向などを中小建設業者の状況も含めて把握するとともに、相談窓口を開設し、目詰まり情報の提供を呼びかけるなど、経済…
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