難民支援協会の生田志織と申します。
本日は、このような機会をいただき、誠にありがとうございます。
私たちは、日本で暮らす難民申請中の方を支援しているNPO法人です。一九九九年の団体設立以来、日本に逃れた難民の方たちを支援してきました。今日は、日々の難民支援の経験から、今回の入管法改正案のうち、手数料の引上げについて、慎重な議論を求める立場から意見を述べたいと思います。
まず強調したいのは、今回の手数料引上げの直接の当事者は、この議場の中に、少なくとも法案を採決する立場にある方の中に一人もいないということです。出入国や在留管理に関する議論は、こうした当事者不在の中で行われる構図にあります。だからこそ、お願いしたいのは、当事者の立場に立って、想像力を働かせることです。新たに定められる法律や行われようとしている法改正の内容が当事者にどのような影響を与えるのか、その当事者が基盤を置く日本社会にどのような影響を与えるのか。
私がお伝えできるのは、難民申請中の方という、日本で暮らす外国人の中でも本当に限られたグループの方たちに関することです。しかし、日本社会はそもそも既に多様です。皆さんの身近にいる外国にルーツを持つ方の状況を想像しながら、私の話を聞いていただければ幸いです。
まずは、私たちの団体の活動と、日本における難民保護の状況についてお話ししたいと思います。
資料が前後して恐縮ですが、資料の三ページ以降に私たちの団体の報告書を載せております。右上に通し番号がありまして、そちらの六ページを御覧いただければと思います。
私たちの団体では、昨年度、八十五か国出身の一千人以上の方に支援を提供いたしました。相談者の出身国のうち、半数以上をアフリカ地域の出身の方が占めています。
よく、難民の方はどうして日本に来るのでしょうかという疑問をいただくことがあります。難民の方が来日する理由は様々ですが、日本をあえて選ぶというよりは、逃げる先をすぐに探さなければならない、そういった状況の中で、最初に日本のビザが取得できたという方が多くいらっしゃいます。
世界を見渡すと、難民として他国に逃れている方は三千百万人を超えます。一方で、日本で難民申請をする方は年間一万人ほどです。実は、難民の六七%は周辺国で暮らしており、いわゆる先進国まで逃れてくる方というのはごく僅かです。その中のほんの一部の方が、たまたま結果として日本にいらっしゃっているというイメージを持っていただければと思います。
さらに、難民は飛行機に乗れるのでしょうかという疑問もよくいただきます。確かに、難民と聞いたときに、多くの方が難民キャンプを思い浮かべるかもしれません。しかし、逃れる手段や経済力の有無は、難民かどうかとは関係がありません。渡航費に困らない人もいれば、何とか資金をかき集めて、やっとの思いでやってきたという方もいらっしゃいます。難民とは、経済的に困窮している人ではなく、定義上、迫害のおそれがある方たちです。
資料の中では、私たちの団体で提供している支援のうち、法的支援、生活支援、就労支援の件数をお示ししています。
法的支援とは、難民認定手続に関する支援です。私たちの団体にいらっしゃった時点で日本に来てから数日しかたっておらず、難民申請をこれから行うという方もいらっしゃいます。難民申請自体は地方の入管局で行いますが、私たちの方で手続について情報提供を行い、申請書の作成をサポートするなどしています。難民申請後は、証拠の提出に関するアドバイスや、入管庁の難民調査官とのインタビューに向けたアドバイス、また、弁護士の紹介などを行っています。
食料や住居、医療に関する生活支援も行っています。難民審査には平均約三年を要し、五年以上待たされるということも決して珍しくありません。しかし、難民申請中の方がアクセスできる公的支援は非常に限られており、私たちのような民間の団体の支援で何とか暮らしているという方もいらっしゃいます。
難民の方の中には、出身国で受けた経験などから心身に大きな傷を負っている方もいます。しかし、一方で、私たちの想像を絶するような経験を乗り越えて日本にまで逃れてくる、そんなバイタリティーをお持ちの方もいらっしゃいます。多くの方が支援に頼らず自立して暮らしていきたいと考えている中で、私たちの団体でも、難民申請中で就労許可がある方には就労支援も行っています。
こうした私たちの支援の大半は、一般の方や企業などからの寄附金で支えられています。
資料の通し番号八ページに進みます。
日本での難民認定の少なさから、日本に真の難民はいない、日本での難民申請は濫用や誤用が多いのではと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本の難民認定制度は非常に厳しく、難民として認定されるべき人が認定されない状況にある、その結果として難民認定の数が少なくなっているというのが私たちの認識です。
私たちが把握する中でも、紛争や暴力が蔓延する地域の出身の方や、軍によって拘束や暴行を受けた経験を持つ方、監禁され、性暴力を受けた経験を持つ方など、明らかに難民に該当すると思われる方が、難民不認定の結果を受け取っています。本来慎重に行われるべき難民不認定の判断が拙速に行われているとの懸念が拭えません。逃れた先で難民として認定されることは、迫害の待つ出身国に送り返されるかもしれないという恐怖からの解放を意味します。しかし、この国に逃れた多くの方が、難民認定の結果を得て人としての権利を回復したり新たな日常を立ち上げたりすることができていないというのが実情です。
ここまで、私たちが日々お会いしている難民申請中の方の状況をお伝えいたしました。
では、難民申請中の方に今回の法改正の案がどのような影響を与えるのか、懸念点を三つに分けてお話しいたします。
まず、難民申請者は、在留資格手数料引上げの影響を特に受けやすいグループであるということです。
資料の表紙、一枚目に戻っていただければと思います。
難民申請者の大半は、在留資格を有した状態で難民申請を行います。難民申請と同時に在留資格の変更申請を行い、特定活動と呼ばれる在留資格に変更します。出身国での迫害や人権侵害から逃れてきた方たちです。在留資格の安定は、命の保障、安全への権利のために絶対的に必要なもの。何とか手数料を捻出して、こういった形で在留資格を変更します。
さて、難民申請直後に得られる在留資格は、通常、二か月と非常に短いものです。ここからは、難民申請者の多数、約六割を占めるD案件と呼ばれるカテゴリーについて説明いたします。
D案件に振り分けられた場合は、図に示しているとおり、二か月の在留資格を更新し、三か月の特定活動が付与されます。その後に付与されるのも三か月の特定活動。これを更新して、難民申請から八か月後に、初めて六か月の在留資格が付与されます。このときに、やっと就労許可も得ることができます。
すなわち、難民申請から最初の八か月間で、しかも就労が認められていない状況で在留資格の変更や更新を四回行うこととなります。現行の金額六千円であれば、単身世帯の場合は計二万四千円、四人家族でもし申請を行えば、その額は九万六千円にも達します。
その後も六か月ごとに手数料を支払い、在留資格を更新します。いつ難民認定といった安定した在留資格を得て半年ごとの更新から抜け出せるのか。それは、入管庁の難民審査の状況次第です。本人たちも、いつまでこの手数料の支払いが続くかは分かりません。
ある家族の状況に当てはめて考えてみたいと思います。また資料が前後してしまい恐縮ですが、資料の四ページ目に、ある難民の方のストーリーというのを載せています。エチオピア出身の難民認定を受けた家族のストーリーです。政治的な弾圧から逃れて、日本で難民申請を行いました。四人家族でした。難民申請を行うと同時に、在留資格の変更のためにここで四人分の手数料を支払うこととなります。この方たちの在留審査にかかった期間は六年間。この間は、どんなに長くても半年ごとに在留資格の更新を行います。手数料が六千円だとしたら、六千円掛ける十二回、家族四人で二十八万八千円。これだけの手数料を支払った末の難民認定ということになります。
この方たちの事例は、決して例外的なものではありません。私たちが把握するだけでも、難民申請をしてから五年以上待ってやっと認定されたという方は毎年のようにいらっしゃいます。
重要なのは、難民申請者に付与される在留資格の期間は、その活動に要する期間、つまり難民申請の結果が出るまでではなく、案件振り分けといった政策的な判断で細切れに定められるものであるという点です。迫害を恐れて逃れてきた日本で、オーバーステイになるわけにはいきません。命には代えられないものとして、支払いを続けていくこととなります。
では、難民申請中の方たちは、この手数料をどのように捻出しているのでしょうか。また表紙の資料に戻っていただければと思います。
先ほど述べたとおり、難民申請者は、原則として申請から八か月間は就労することが認められません。この間に多くの方が、所持金が尽き、衣食住もままならない状態に置かれてしまいます。私たちの団体にも、日々、住む場所がない、昨日から何も食べていない、お金がなくて病院に行けず持病が悪化しているといった相談が寄せられています。私たちが把握するだけでも、三十人以上の難民申請者が野宿状態にある月もありました。
そのような状況で、所持金がないにもかかわらず、手数料を支払わないとあなたの在留は認められませんと言われる状況を想像していただきたいのです。手数料の支払いができない、どうしたらよいでしょうかといった相談は、実際、私たちのところに毎月寄せられています。私たちの団体だけでも、月平均約二十人の方に対して、計数万円から、多い月で二十万円以上の手数料を支援しています。知人やコミュニティーに頼って何とか支払っているという方もいます。
そして、三点目のポイントです。非正規滞在となる難民申請者が増えるおそれについてです。
難民の地位の認定は宣言的性格を有するものです。難民は難民認定によって難民となるのではなくて、難民であるから認定されるというのが国際社会の了解です。難民申請者に対する法的地位の付与は、それを具現化するものであり、国際保護の理念に沿った重要な取組です。その安定が資力の有無によって損なわれるようなことがあってはなりません。
仮に在留資格の変更や更新の手数料が値上げされた場合、手数料が支払えず、本人の意思に反して非正規滞在となってしまう方が増えることが懸念されます。非正規滞在となることで本人たちの生活が困難になることは言うまでもありません。さらに、これは、非正規滞在者を増やさないようにと目指している政府も望まない状況ではないかと考えます。
資料の二ページ目を御覧いただければと思います。お願い事項を二点にまとめております。
まず一つ目として、経済的に困窮する難民申請者が現行の六千円を超える額の手数料の支払いを課されることがないように、御配慮いただければ幸いです。
ここまでお話ししてきたとおり、現行の六千円ですら支払いが困難な方がいる中で、更なる値上げが当事者に与える影響は計り知れません。仮に引上げを行う場合であっても、例えば、六か月以下は据置きとし、一年以上は一万円とするなど、在留資格の更新頻度が高い人に配慮した制度設計をお願いしたいと思います。法案には上限額のみが書かれており、その幅であればいつでも法改正の必要なく引上げが可能という点も私たちの不安の要因です。
また、経済的に困窮する難民申請者を減額や免除措置の対象とすることもお願いしたいと思います。法案には、経済的困難その他特別の理由による減免措置に関する記述があります。それをどのように判断するのかが今後の問題になってくると思います。例えば、難民申請中で就労許可がない間は、減免措置を必要とする状況にあると言えます。また、人数は少ないですが、難民申請者向けの公的支援である保護費を受給している場合も、生活に困窮することが既に明確な場合として挙げられます。また、収入が最低生活費を満たさない場合など、必要な配慮をお願いできればと思います。
お願い事項の二つ目として、難民認定等により在留資格を変更又は更新する場合や、緊急避難措置により在留資格を変更又は更新する場合は、その他特別の理由に当たる場合として減免措置の対象となるよう、御配慮いただければ幸いです。
難民申請の結果、難民認定や補完的保護を得ると、それまで持っていた特定活動の在留資格を定住者と呼ばれる在留資格に変更します。この定住者の期間は五年間ですので、この際の手数料の大幅な引上げが懸念されます。難民認定をしたのに在留資格は付与されないという状況を生み出さないように、必要な配慮をお願いしたいと思います。
また、難民申請の結果、人道配慮による在留許可が認められる場合にも、人道的な観点から同様の対応が求められます。
さらに、ミャンマーやアフガニスタン、スーダンやウクライナなど、政情が不安定な国の出身者に対して、政府は緊急避難措置という制度を取っています。難民申請の有無にかかわらず、特定活動の一年を付与する仕組みです。このような場合についても、人道的な見地から手数料の減免といった対応が求められます。
以上、難民申請中の方を支援する立場から、今回の入管法改定案に関する意見を述べてきました。
二〇二五年六月時点で、難民申請者用の特定活動を持っている方は一万人を少し超える程度です。在留外国人全体に占める割合は〇・三%と、決して多くはありません。しかし、手数料引上げの影響を確実に受けるグループであり、人道的な見地からも配慮を必要としています。
当事者の立場に立った丁寧な審議を改めてお願いし、私の陳述を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
3井井上英孝(維新)
結城参考人、ありがとうございました。
次に、鈴木参考人にお願いいたします。
この発言のページ
4鈴鈴木雅子弁護士/特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)理事
本日は、発言の機会をいただき、ありがとうございます。鈴木雅子と申します。
移住連、特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワークの理事をしております。また、弁護士として、二十五年以上、様々な国籍の方の事件を扱ってまいりました。
本日、私からは、現在審議されております入管法改定法案のうち、手数料の引上げについてお話をさせていただきたいと思います。
入管庁は、在留諸申請の手数料について、在留資格の付与という恩恵の対価であると説明しています。しかし、同手数料は、僅か一年前にも引き上げられています。ある特定の財やサービスの対価が僅か一年で突然十倍になっ…
この発言のページ
5井井上英孝(維新)
鈴木参考人、ありがとうございました。
次に、生田参考人にお願いいたします。
この発言のページ
- (上の発言)
6生生田志織難民支援協会渉外チーム政策提言担当
難民支援協会の生田志織と申します。
本日は、このような機会をいただき、誠にありがとうございます。
私たちは、日本で暮らす難民申請中の方を支援しているNPO法人です。一九九九年の団体設立以来、日本に逃れた難民の方たちを支援してきました。今日は、日々の難民支援の経験から、今回の入管法改正案のうち、手数料の引上げについて、慎重な議論を求める立場から意見を述べたいと思います。
まず強調したいのは、今回の手数料引上げの直接の当事者は、この議場の中に、少なくとも法案を採決する立場にある方の中に一人もいないということです。出入国や在留管理に関する議論は、こうした当事者不在の中で行われる構図にあります。だからこそ、お願いしたいのは、当事者の立場に立って、想像力を働かせることです。新たに定められる法律や行われようとしている法改正の内容が当事者にどのような影響を与えるのか、その当事者が基盤を置く日本社会にどのような影響を与えるのか。
私がお伝えできるのは、難民申請中の方という、日本で暮らす外国人の中でも本当に限られたグループの方たちに関することです。しかし、日本社会はそもそも既に多様です。皆さんの身近にいる外国にルーツを持つ方の状況を想像しながら、私の話を聞いていただければ幸いです。
まずは、私たちの団体の活動と、日本における難民保護の状況についてお話ししたいと思います。
資料が前後して恐縮ですが、資料の三ページ以降に私たちの団体の報告書を載せております。右上に通し番号がありまして、そちらの六ページを御覧いただければと思います。
私たちの団体では、昨年度、八十五か国出身の一千人以上の方に支援を提供いたしました。相談者の出身国のうち、半数以上をアフリカ地域の出身の方が占めています。
よく、難民の方はどうして日本に来るのでしょうかという疑問をいただくことがあります。難民の方が来日する理由は様々ですが、日本をあえて選ぶというよりは、逃げる先をすぐに探さなければならない、そういった状況の中で、最初に日本のビザが取得できたという方が多くいらっしゃいます。
世界を見渡すと、難民として他国に逃れている方は三千百万人を超えます。一方で、日本で難民申請をする方は年間一万人ほどです。実は、難民の六七%は周辺国で暮らしており、いわゆる先進国まで逃れてくる方というのはごく僅かです。その中のほんの一部の方が、たまたま結果として日本にいらっしゃっているというイメージを持っていただければと思います。
さらに、難民は飛行機に乗れるのでしょうかという疑問もよくいただきます。確かに、難民と聞いたときに、多くの方が難民キャンプを思い浮かべるかもしれません。しかし、逃れる手段や経済力の有無は、難民かどうかとは関係がありません。渡航費に困らない人もいれば、何とか資金をかき集めて、やっとの思いでやってきたという方もいらっしゃいます。難民とは、経済的に困窮している人ではなく、定義上、迫害のおそれがある方たちです。
資料の中では、私たちの団体で提供している支援のうち、法的支援、生活支援、就労支援の件数をお示ししています。
法的支援とは、難民認定手続に関する支援です。私たちの団体にいらっしゃった時点で日本に来てから数日しかたっておらず、難民申請をこれから行うという方もいらっしゃいます。難民申請自体は地方の入管局で行いますが、私たちの方で手続について情報提供を行い、申請書の作成をサポートするなどしています。難民申請後は、証拠の提出に関するアドバイスや、入管庁の難民調査官とのインタビューに向けたアドバイス、また、弁護士の紹介などを行っています。
食料や住居、医療に関する生活支援も行っています。難民審査には平均約三年を要し、五年以上待たされるということも決して珍しくありません。しかし、難民申請中の方がアクセスできる公的支援は非常に限られており、私たちのような民間の団体の支援で何とか暮らしているという方もいらっしゃいます。
難民の方の中には、出身国で受けた経験などから心身に大きな傷を負っている方もいます。しかし、一方で、私たちの想像を絶するような経験を乗り越えて日本にまで逃れてくる、そんなバイタリティーをお持ちの方もいらっしゃいます。多くの方が支援に頼らず自立して暮らしていきたいと考えている中で、私たちの団体でも、難民申請中で就労許可がある方には就労支援も行っています。
こうした私たちの支援の大半は、一般の方や企業などからの寄附金で支えられています。
資料の通し番号八ページに進みます。
日本での難民認定の少なさから、日本に真の難民はいない、日本での難民申請は濫用や誤用が多いのではと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本の難民認定制度は非常に厳しく、難民として認定されるべき人が認定されない状況にある、その結果として難民認定の数が少なくなっているというのが私たちの認識です。
私たちが把握する中でも、紛争や暴力が蔓延する地域の出身の方や、軍によって拘束や暴行を受けた経験を持つ方、監禁され、性暴力を受けた経験を持つ方など、明らかに難民に該当すると思われる方が、難民不認定の結果を受け取っています。本来慎重に行われるべき難民不認定の判断が拙速に行われているとの懸念が拭えません。逃れた先で難民として認定されることは、迫害の待つ出身国に送り返されるかもしれないという恐怖からの解放を意味します。しかし、この国に逃れた多くの方が、難民認定の結果を得て人としての権利を回復したり新たな日常を立ち上げたりすることができていないというのが実情です。
ここまで、私たちが日々お会いしている難民申請中の方の状況をお伝えいたしました。
では、難民申請中の方に今回の法改正の案がどのような影響を与えるのか、懸念点を三つに分けてお話しいたします。
まず、難民申請者は、在留資格手数料引上げの影響を特に受けやすいグループであるということです。
資料の表紙、一枚目に戻っていただければと思います。
難民申請者の大半は、在留資格を有した状態で難民申請を行います。難民申請と同時に在留資格の変更申請を行い、特定活動と呼ばれる在留資格に変更します。出身国での迫害や人権侵害から逃れてきた方たちです。在留資格の安定は、命の保障、安全への権利のために絶対的に必要なもの。何とか手数料を捻出して、こういった形で在留資格を変更します。
さて、難民申請直後に得られる在留資格は、通常、二か月と非常に短いものです。ここからは、難民申請者の多数、約六割を占めるD案件と呼ばれるカテゴリーについて説明いたします。
D案件に振り分けられた場合は、図に示しているとおり、二か月の在留資格を更新し、三か月の特定活動が付与されます。その後に付与されるのも三か月の特定活動。これを更新して、難民申請から八か月後に、初めて六か月の在留資格が付与されます。このときに、やっと就労許可も得ることができます。
すなわち、難民申請から最初の八か月間で、しかも就労が認められていない状況で在留資格の変更や更新を四回行うこととなります。現行の金額六千円であれば、単身世帯の場合は計二万四千円、四人家族でもし申請を行えば、その額は九万六千円にも達します。
その後も六か月ごとに手数料を支払い、在留資格を更新します。いつ難民認定といった安定した在留資格を得て半年ごとの更新から抜け出せるのか。それは、入管庁の難民審査の状況次第です。本人たちも、いつまでこの手数料の支払いが続くかは分かりません。
ある家族の状況に当てはめて考えてみたいと思います。また資料が前後してしまい恐縮ですが、資料の四ページ目に、ある難民の方のストーリーというのを載せています。エチオピア出身の難民認定を受けた家族のストーリーです。政治的な弾圧から逃れて、日本で難民申請を行いました。四人家族でした。難民申請を行うと同時に、在留資格の変更のためにここで四人分の手数料を支払うこととなります。この方たちの在留審査にかかった期間は六年間。この間は、どんなに長くても半年ごとに在留資格の更新を行います。手数料が六千円だとしたら、六千円掛ける十二回、家族四人で二十八万八千円。これだけの手数料を支払った末の難民認定ということになります。
この方たちの事例は、決して例外的なものではありません。私たちが把握するだけでも、難民申請をしてから五年以上待ってやっと認定されたという方は毎年のようにいらっしゃいます。
重要なのは、難民申請者に付与される在留資格の期間は、その活動に要する期間、つまり難民申請の結果が出るまでではなく、案件振り分けといった政策的な判断で細切れに定められるものであるという点です。迫害を恐れて逃れてきた日本で、オーバーステイになるわけにはいきません。命には代えられないものとして、支払いを続けていくこととなります。
では、難民申請中の方たちは、この手数料をどのように捻出しているのでしょうか。また表紙の資料に戻っていただければと思います。
先ほど述べたとおり、難民申請者は、原則として申請から八か月間は就労することが認められません。この間に多くの方が、所持金が尽き、衣食住もままならない状態に置かれてしまいます。私たちの団体にも、日々、住む場所がない、昨日から何も食べていない、お金がなくて病院に行けず持病が悪化しているといった相談が寄せられています。私たちが把握するだけでも、三十人以上の難民申請者が野宿状態にある月もありました。
そのような状況で、所持金がないにもかかわらず、手数料を支払わないとあなたの在留は認められませんと言われる状況を想像していただきたいのです。手数料の支払いができない、どうしたらよいでしょうかといった相談は、実際、私たちのところに毎月寄せられています。私たちの団体だけでも、月平均約二十人の方に対して、計数万円から、多い月で二十万円以上の手数料を支援しています。知人やコミュニティーに頼って何とか支払っているという方もいます。
そして、三点目のポイントです。非正規滞在となる難民申請者が増えるおそれについてです。
難民の地位の認定は宣言的性格を有するものです。難民は難民認定によって難民となるのではなくて、難民であるから認定されるというのが国際社会の了解です。難民申請者に対する法的地位の付与は、それを具現化するものであり、国際保護の理念に沿った重要な取組です。その安定が資力の有無によって損なわれるようなことがあってはなりません。
仮に在留資格の変更や更新の手数料が値上げされた場合、手数料が支払えず、本人の意思に反して非正規滞在となってしまう方が増えることが懸念されます。非正規滞在となることで本人たちの生活が困難になることは言うまでもありません。さらに、これは、非正規滞在者を増やさないようにと目指している政府も望まない状況ではないかと考えます。
資料の二ページ目を御覧いただければと思います。お願い事項を二点にまとめております。
まず一つ目として、経済的に困窮する難民申請者が現行の六千円を超える額の手数料の支払いを課されることがないように、御配慮いただければ幸いです。
ここまでお話ししてきたとおり、現行の六千円ですら支払いが困難な方がいる中で、更なる値上げが当事者に与える影響は計り知れません。仮に引上げを行う場合であっても、例えば、六か月以下は据置きとし、一年以上は一万円とするなど、在留資格の更新頻度が高い人に配慮した制度設計をお願いしたいと思います。法案には上限額のみが書かれており、その幅であればいつでも法改正の必要なく引上げが可能という点も私たちの不安の要因です。
また、経済的に困窮する難民申請者を減額や免除措置の対象とすることもお願いしたいと思います。法案には、経済的困難その他特別の理由による減免措置に関する記述があります。それをどのように判断するのかが今後の問題になってくると思います。例えば、難民申請中で就労許可がない間は、減免措置を必要とする状況にあると言えます。また、人数は少ないですが、難民申請者向けの公的支援である保護費を受給している場合も、生活に困窮することが既に明確な場合として挙げられます。また、収入が最低生活費を満たさない場合など、必要な配慮をお願いできればと思います。
お願い事項の二つ目として、難民認定等により在留資格を変更又は更新する場合や、緊急避難措置により在留資格を変更又は更新する場合は、その他特別の理由に当たる場合として減免措置の対象となるよう、御配慮いただければ幸いです。
難民申請の結果、難民認定や補完的保護を得ると、それまで持っていた特定活動の在留資格を定住者と呼ばれる在留資格に変更します。この定住者の期間は五年間ですので、この際の手数料の大幅な引上げが懸念されます。難民認定をしたのに在留資格は付与されないという状況を生み出さないように、必要な配慮をお願いしたいと思います。
また、難民申請の結果、人道配慮による在留許可が認められる場合にも、人道的な観点から同様の対応が求められます。
さらに、ミャンマーやアフガニスタン、スーダンやウクライナなど、政情が不安定な国の出身者に対して、政府は緊急避難措置という制度を取っています。難民申請の有無にかかわらず、特定活動の一年を付与する仕組みです。このような場合についても、人道的な見地から手数料の減免といった対応が求められます。
以上、難民申請中の方を支援する立場から、今回の入管法改定案に関する意見を述べてきました。
二〇二五年六月時点で、難民申請者用の特定活動を持っている方は一万人を少し超える程度です。在留外国人全体に占める割合は〇・三%と、決して多くはありません。しかし、手数料引上げの影響を確実に受けるグループであり、人道的な見地からも配慮を必要としています。
当事者の立場に立った丁寧な審議を改めてお願いし、私の陳述を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
7井井上英孝(維新)
生田参考人、ありがとうございました。
以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
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この発言のページ
8井井上英孝(維新)
これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。福原淳嗣君。
この発言のページ
9福福原淳嗣(自民)
自由民主党の福原淳嗣でございます。
まずもって、質疑の機会をいただきましたこと、委員長、理事の先生の皆さん、そして法務委員会の全ての皆さんに感謝を申し上げるとともに、お忙しい中にもかかわりませず、こうして集まっていただきました三人の、生田参考人、鈴木参考人、そして結城参考人に心から感謝を申し上げまして、早速質問させていただきたいと思います。
まず、一番最初に、生田参考人にお聞きしたいと思います。
生田参考人は、お願い事項を二ページに書いてありまして、その二つのことに関しましては、実は今回の法改正の中でも手数料の減免又は免除ということで記されているわ…
この発言のページ