同じ日の、昨年三月二十六日の法務委員会の参考人質疑の中で、元裁判官でいらっしゃった藤井敏明参考人がお越しくださいました。
この藤井参考人は自ら論文をしたためられていて、そのタイトルが「「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」について」というものでありました。大変議論を呼んだ論文であるというふうに承知をしておりますけれども、この中で、罪証を隠滅する相当の理由について、藤井参考人は、これが広く実務上解されているというふうに指摘をしておられます。すなわち、保釈が認められない場合の罪証を隠滅する相当の理由又はおそれというのが広く解されていて、保釈すべき原則と保釈が認められない例外が逆転した運用とも見受けられる状況があるというふうに言っておられました。
その件に関して、保釈には条件をつけることができること、罪証隠滅の場合は偽証教唆の新たな罪に問われ得ること、そもそも供述調書と矛盾した証言には証拠能力が低いものとされること等によって、事実上、罪証隠滅の行われる可能性は相当に低い、つまり、何重にも何重にも、罪証隠滅、段階ごとにあるわけですけれども、罪証隠滅のおそれというのはそれぞれの段階で低いし、それを最後に掛け合わせたときに、その可能性というのは相当低くなるので、原則どおりに保釈を認めても問題ない、そういう主張の論文だったというふうに紹介をしてくださいました。
これについて、最高裁の見解を述べていただきたいと思います。
53佐佐藤淳法務省刑事局長
お答えいたします。
一般論として申し上げますと、被疑者、被告人の身柄拘束につきましては、個別の事案に応じて、裁判所又は裁判官によって刑事訴訟法に定める要件の有無が判断されているところでございます。
その上で、被疑者、被告人が否認したり黙秘したりしていることのみをもって、あるいは必要性もないのに長期間身柄が拘束されるといったことはあってはならないというふうに考えているところでありまして、いずれにしても、理由のない長期間の身柄拘束であるとか自白の強要があってはならないということは当然でございまして、基本に忠実で適正な捜査、公判活動の遂行に努めなければなら…
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西村智奈美(中道)
島田参考人は、逮捕されてから保釈されるまで三百三十二日間、一年近く拘束をされていたというふうにおっしゃっていました。
実際、これまた保釈もなかなか大変なんですよね。保釈請求は起訴されないと請求ができないということで、ちょっとここから先、島田参考人の陳述を、これまた大事なことですので、私の方から読み上げて御紹介をしたいと思います。
起訴されるとすぐに、弁護士さんに保釈請求を出していただきました。しかし、裁判所はこれを却下。理由は、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるというものでした。証拠隠滅のおそれといっても、警察は、大川原化工機を強制捜査して…
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55平平城文啓最高裁判所事務総局刑事局長
お答えいたします。
保釈の判断は個々の事件に応じて各裁判体が判断しているものでありますので、事務当局の立場として、その判断姿勢について評価をお答えすることは困難でございます。
その上で、一般論として申し上げれば、裁判官の間では、罪証を隠滅する相当な理由の有無等の保釈の要件につきまして、抽象的にではなく、個々の事件の実情に応じて具体的に丁寧に判断するという判断の基本を改めて徹底すべきであるとの議論がされているものと承知しております。
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- (上の発言)
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西村智奈美(中道)
同じ日の、昨年三月二十六日の法務委員会の参考人質疑の中で、元裁判官でいらっしゃった藤井敏明参考人がお越しくださいました。
この藤井参考人は自ら論文をしたためられていて、そのタイトルが「「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」について」というものでありました。大変議論を呼んだ論文であるというふうに承知をしておりますけれども、この中で、罪証を隠滅する相当の理由について、藤井参考人は、これが広く実務上解されているというふうに指摘をしておられます。すなわち、保釈が認められない場合の罪証を隠滅する相当の理由又はおそれというのが広く解されていて、保釈すべき原則と保釈が認められない例外が逆転した運用とも見受けられる状況があるというふうに言っておられました。
その件に関して、保釈には条件をつけることができること、罪証隠滅の場合は偽証教唆の新たな罪に問われ得ること、そもそも供述調書と矛盾した証言には証拠能力が低いものとされること等によって、事実上、罪証隠滅の行われる可能性は相当に低い、つまり、何重にも何重にも、罪証隠滅、段階ごとにあるわけですけれども、罪証隠滅のおそれというのはそれぞれの段階で低いし、それを最後に掛け合わせたときに、その可能性というのは相当低くなるので、原則どおりに保釈を認めても問題ない、そういう主張の論文だったというふうに紹介をしてくださいました。
これについて、最高裁の見解を述べていただきたいと思います。
57平平城文啓最高裁判所事務総局刑事局長
お答えいたします。
委員御指摘のような個別の論文の内容の当否につきましては、事務当局として見解を述べることは差し控えさせていただきます。
もっとも、例えば、今委員が御指摘されたような、保釈条件に違反した場合には保釈が取り消され得ることなど、若しくは関係者に偽証を働きかければ偽証教唆罪に問われ得ること、このような事情を踏まえまして、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるかどうか、またその程度はどうかということを検討すべきである、このようなことにつきましてはその他の論文や裁判官による研究会でも指摘されているところでありまして、広く共有された見解であ…
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西村智奈美(中道)
裁判所の方でいろいろ説明をしたりしていらっしゃるというような答弁だったんですけれども、でも、大川原化工機事件で見るように、実際にはそうはなっていないですよ。この事件で勾留をされたのはお三方で、先ほど申し上げましたように、島田さんは三百三十二日、相嶋元相談役は、本当に、その保釈請求が認められないまま亡くなってしまっているということなんです。
こんな人権侵害、私はあっちゃいけないというふうに思うんですけれども、それでも最高裁は原則と例外は変わりませんというふうに答弁をされるんでしょうか。ちょっとは何か心の痛みを感じませんか、どうですか。
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59平平城文啓最高裁判所事務総局刑事局長
お答えいたします。
保釈の判断は個々の事件における各裁判体の判断事項であり、事務当局として、その判断の積み重ねである運用の当否、これを前提にしたお答えをすることは差し控えさせていただきます。
もっとも、保釈の判断に関する適切な運用を確保していくためには、各裁判官又は裁判官同士が不断にあるべき姿を追求して議論を重ねていくことが重要であると認識しております。
最高裁といたしましては、そうした議論の場を確保するなどして、適切な運用がなされるよう、引き続き支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
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