牧野俊一 (参政党)

2026年6月26日・第221回国会 衆議院 厚生労働委員会 第18号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 117 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 129 発言)

参政党を代表して、予防接種法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論をいたします。

大前提として、私たちは、RSウイルスで重症化しやすい乳幼児を守る医療上の選択肢そのものを否定するつもりはありません。低出生体重や基礎疾患のある場合など、重症化リスクの高い乳幼児に対して抗体製剤を適切に使用することは、医療政策として大きな意義があります。

しかし、本改正案は、ワクチンではない高額な抗体製剤を予防接種法上の制度に組み込む道を開くものです。抗体製剤は、獲得免疫として抗体を作らせるワクチンではなく、抗体そのものを体内に投与する医薬品です。作用機序が異なる以上、安全管理を含めた運用上の枠組みが従来のワクチンと同じでよいのか、慎重な検証が必要です。

第一の問題は、費用負担です。

現状、ベイフォータスの薬価は、五十ミリグラムで四十六万円、百ミリグラムで九十一万円となっており、仮に接種対象を全新生児、乳児に広げれば、薬剤費だけで巨額の財政負担となります。広く定期接種化すれば調達コストが大幅に下がるという試算もあるようですが、接種希望者数によっては、想定どおりに価格が下がらない可能性も十分あると考えます。

最終的に、国、自治体、保護者の負担割合がどうなるのか。実務面での自治体負担も含め、これらが明確でないまま制度だけを先行させることには慎重であるべきです。

第二に、安全性評価です。

ニルセビマブはヒトモノクローナル抗体であり、一般論として、他の生物由来のヒト化抗体と比べれば、抗薬物抗体、いわゆるADAの出現リスクは低いと考えられますが、第二、第三相国際共同試験では、本剤投与後に抗ニルセビマブ抗体が陽性となった被験者の比率は、二千五百例中六・二%と報告されています。現時点でADAは本薬剤の薬物動態、有効性、安全性に重大な影響を与えないとされていますが、投与後に生じたADAが、人体組織の一部や細胞の一部と交差性を持ち、予期せぬ有害事象につながる可能性も否定し切れません。

健康な乳児を含めて広く定期接種化するのであれば、国内での使用経験に基づくADAの出現頻度、交差反応性、長期の免疫学的影響を、より十分な症例データを蓄積してから判断すべきです。

第三に、新たなモダリティーを予防接種薬剤に指定する以前に、コロナワクチンやHPVワクチン副反応によって揺らいでいる予防接種行政への信頼を回復することが先決だということです。

予防接種の副反応を扱う上では、因果関係未定と関係なしを決して混同してはなりません。副反応を訴える患者を安易に心因性として排除せず、早期発見、治療、リハビリ、学習、就労、心理社会的支援につなげる体制が必要です。

さらに、副反応を診療、研究する医師や研究者を反ワクチンとレッテル貼りして萎縮させるような社会的構造は、科学的に極めて不健全です。病態仮説を頭から否定せず、免疫学的指標、各種画像データ、治療反応性などを含めた研究を国家の責任で守り、支援する。その土台があって初めて、新しいモダリティーを予防接種薬剤として応用する議論が可能になると考えますが、現状では甚だ不十分と言わざるを得ません。

以上の理由から、本改正には反対することを申し述べ、討論といたします。

ありがとうございました。

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