これまでの地域医療構想は、床の機能分化、連携が中心でしたが、二〇四〇年頃に向けた新たな地域医療構想では、増加する高齢者救急や在宅医療への対応、人口減少する地域でも安心して医療にアクセスできる体制の確保、必要病床数や医療機関機能に着目した連携、再編、集約化、医歯薬連携推進、医療と介護の連携による認知症患者も含めた早期退院に向けた取組等を進めていくことが重要であるとされています。副大臣の御答弁にもありましたように、外来、在宅、介護との連携や、在宅医療や地域包括ケアシステム等の連携が重視されております。
日本は、世界に例を見ないスピードで高齢化が進んでおり、二〇四〇年には八十五歳以上の人口は急増し、誤嚥性肺炎、低栄養、フレイルへの対策、つまり、医療と介護の両方のニーズへの切れ目のない対応が地域医療の大きな課題となります。その予防には、医科、歯科、薬局、介護が一体となった医歯薬連携、多職種連携が不可欠ですが、新たな地域医療構想における歯科医療の関わりは十分とは言えません。また、高齢患者の増加に伴い、周術期口腔機能管理や摂食、嚥下障害患者への支援の需要は増していますが、歯科がない病院も少なくありません。
委員の先生方のお手元に配付してございます資料一を御覧ください。
令和五年の医療施設調査によりますと、全国の病院数は八千百二十二施設でありますが、このうち歯科系の診療科を標榜している病院は千八百二十三施設にとどまっております。つまり、六千二百九十九施設、全体の約七七・六%、すなわち約八割の病院には歯科系の診療科が設置されていないという状況にあります。
さらに、健康寿命の延伸と医療費の適正化を実現するためには、病気になってから治療する医療だけでなく、疾病の発症や重症化を防ぐことに重点を移していくことが重要です。その中で、口腔の健康は全身の健康と密接に関係していることが多くのエビデンスによって示されております。
例えば、糖尿病と歯周病との関係については、日本歯周病学会と日本糖尿病学会が合同で示す診療ガイドラインにも位置づけられており、糖尿病が歯周病を悪化させることや、逆に歯周病治療が糖尿病の血糖コントロールの改善につながることが広く知られるようになりました。
さらに、周術期口腔機能管理については、手術前後に適切な口腔管理を行うことで、術後肺炎や創部感染などの術後合併症が減少し、入院期間の短縮や予後の改善につながることが多く報告されております。私自身、歯科医師として、医科歯科連携による周術期口腔機能管理を数多く実施してまいりましたが、その効果を臨床の現場で実感をいたしたところであります。
また、今後ますます重要になる課題としまして、薬剤関連顎骨壊死、いわゆるMRONJがあります。以下、MRONJと申します。委員の皆様の配付資料で、資料二、資料三、資料四を御覧ください。
高齢化に伴いまして、骨粗鬆症患者やがん患者は今後更に増加することが予想されます。これらの患者さんにはビスホスホネート系製剤やデノスマブ製剤を始めとする骨代謝修飾薬が広く使用されています。さらに、ロモソズマブや血管新生阻害薬などでもMRONJの発症が報告されております。これらの薬剤は、骨折予防や骨転移治療に大きな効果を発揮する一方で、歯周病や歯周病に起因した抜歯などを契機として、顎骨壊死を発症することがあります。
私も、臨床の現場で、薬剤によって本来の治療効果は得られているにもかかわらず、口腔管理が十分でなかったために顎骨壊死を発症し、骨露出や難治性感染症を発症し、食事や会話など、日常に深刻な支障を来す、QOLの低下を来した患者さんなど、数多く診療してまいりました。
日本口腔外科学会の疾患調査によりますと、日本におけるMRONJの発症件数は、二〇二四年には一万千百二十五人に達し、二〇一六年の四千九百九十人と比較して約二・二倍に増加しています。さらに、発症患者の約七割は女性であり、高齢女性を中心に深刻な課題となっております。骨粗鬆症治療薬の普及や高齢化の進展に伴い、今後更に患者数は増加することが懸念されています。
しかし、この疾患は、薬剤の投与前から歯科を受診し適切な口腔管理を行うこと、そして医師、歯科医師、薬剤師が情報を共有しながら継続的に管理することで、多くが予防できる可能性があります。そのためには、医科、歯科、薬局が連携する医歯薬連携の体制を地域の全体で構築していくことが不可欠であります。今後策定されます新たな地域医療構想においても、歯科医療を地域包括ケアの重要な構成要素として位置づけ、予防から治療まで切れ目なく連携できる体制整備が求められていると考えております。
そこで、お尋ねいたします。
高齢者の誤嚥性肺炎予防や低栄養防止には、口腔健康管理が不可欠であります。厚生労働省として、新たな地域医療構想において医歯薬連携をどのように取り組んでいくお考えでしょうか。また、医科歯科連携や医歯薬連携を更に推進し、周術期口腔機能管理やMRONJ予防を始めとする口腔健康管理を地域医療の中で一層普及させるため、歯科医療提供体制の構築について今後どのように取り組んでいくお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
90
大串正樹(自民)
次に、岡本康宏君。
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91岡岡本康宏(自民)
自由民主党、愛知五区の岡本康宏です。
二回目の質問の機会をいただきました、与野党の理事、委員長、関係の皆様に、心より感謝申し上げます。
初めに、地域医療構想と医療計画についてお尋ねしたいと思います。
現在の地域医療構想は、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質、量の変化を見据え、医療機関の機能分化、連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的として策定されております。また、医療計画は、現在、第八次医療計画として、厚生労働大臣の定める基本方針に即して、地域の実情に応じた医療提供体制を確保するために策定する計画として都道府県によ…
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92
仁木博文(自民)厚生労働副大臣
岡本康宏委員にお答えします。
新たな地域医療構想では、二〇四〇年を見据え、入院のみならず、外来、在宅等も対象にし、地域の医療提供体制の課題解決を図るものとしています。
例えば、在宅医療におきまして、歯科は、訪問歯科診療の提供など、地域の口腔健康管理等で重要な役割を担っていただくものと認識しておりますし、先ほど御指摘ありました、例えば病院における周術期におけるオーラルケアというのも非常に大切なものだというふうに認識しております。
さらに、医療と介護の複合ニーズを抱える八十五歳以上の高齢者が増加する二〇四〇年を見据えて、必要に応じて入院して日常生活に戻…
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- (上の発言)
93岡岡本康宏(自民)
これまでの地域医療構想は、床の機能分化、連携が中心でしたが、二〇四〇年頃に向けた新たな地域医療構想では、増加する高齢者救急や在宅医療への対応、人口減少する地域でも安心して医療にアクセスできる体制の確保、必要病床数や医療機関機能に着目した連携、再編、集約化、医歯薬連携推進、医療と介護の連携による認知症患者も含めた早期退院に向けた取組等を進めていくことが重要であるとされています。副大臣の御答弁にもありましたように、外来、在宅、介護との連携や、在宅医療や地域包括ケアシステム等の連携が重視されております。
日本は、世界に例を見ないスピードで高齢化が進んでおり、二〇四〇年には八十五歳以上の人口は急増し、誤嚥性肺炎、低栄養、フレイルへの対策、つまり、医療と介護の両方のニーズへの切れ目のない対応が地域医療の大きな課題となります。その予防には、医科、歯科、薬局、介護が一体となった医歯薬連携、多職種連携が不可欠ですが、新たな地域医療構想における歯科医療の関わりは十分とは言えません。また、高齢患者の増加に伴い、周術期口腔機能管理や摂食、嚥下障害患者への支援の需要は増していますが、歯科がない病院も少なくありません。
委員の先生方のお手元に配付してございます資料一を御覧ください。
令和五年の医療施設調査によりますと、全国の病院数は八千百二十二施設でありますが、このうち歯科系の診療科を標榜している病院は千八百二十三施設にとどまっております。つまり、六千二百九十九施設、全体の約七七・六%、すなわち約八割の病院には歯科系の診療科が設置されていないという状況にあります。
さらに、健康寿命の延伸と医療費の適正化を実現するためには、病気になってから治療する医療だけでなく、疾病の発症や重症化を防ぐことに重点を移していくことが重要です。その中で、口腔の健康は全身の健康と密接に関係していることが多くのエビデンスによって示されております。
例えば、糖尿病と歯周病との関係については、日本歯周病学会と日本糖尿病学会が合同で示す診療ガイドラインにも位置づけられており、糖尿病が歯周病を悪化させることや、逆に歯周病治療が糖尿病の血糖コントロールの改善につながることが広く知られるようになりました。
さらに、周術期口腔機能管理については、手術前後に適切な口腔管理を行うことで、術後肺炎や創部感染などの術後合併症が減少し、入院期間の短縮や予後の改善につながることが多く報告されております。私自身、歯科医師として、医科歯科連携による周術期口腔機能管理を数多く実施してまいりましたが、その効果を臨床の現場で実感をいたしたところであります。
また、今後ますます重要になる課題としまして、薬剤関連顎骨壊死、いわゆるMRONJがあります。以下、MRONJと申します。委員の皆様の配付資料で、資料二、資料三、資料四を御覧ください。
高齢化に伴いまして、骨粗鬆症患者やがん患者は今後更に増加することが予想されます。これらの患者さんにはビスホスホネート系製剤やデノスマブ製剤を始めとする骨代謝修飾薬が広く使用されています。さらに、ロモソズマブや血管新生阻害薬などでもMRONJの発症が報告されております。これらの薬剤は、骨折予防や骨転移治療に大きな効果を発揮する一方で、歯周病や歯周病に起因した抜歯などを契機として、顎骨壊死を発症することがあります。
私も、臨床の現場で、薬剤によって本来の治療効果は得られているにもかかわらず、口腔管理が十分でなかったために顎骨壊死を発症し、骨露出や難治性感染症を発症し、食事や会話など、日常に深刻な支障を来す、QOLの低下を来した患者さんなど、数多く診療してまいりました。
日本口腔外科学会の疾患調査によりますと、日本におけるMRONJの発症件数は、二〇二四年には一万千百二十五人に達し、二〇一六年の四千九百九十人と比較して約二・二倍に増加しています。さらに、発症患者の約七割は女性であり、高齢女性を中心に深刻な課題となっております。骨粗鬆症治療薬の普及や高齢化の進展に伴い、今後更に患者数は増加することが懸念されています。
しかし、この疾患は、薬剤の投与前から歯科を受診し適切な口腔管理を行うこと、そして医師、歯科医師、薬剤師が情報を共有しながら継続的に管理することで、多くが予防できる可能性があります。そのためには、医科、歯科、薬局が連携する医歯薬連携の体制を地域の全体で構築していくことが不可欠であります。今後策定されます新たな地域医療構想においても、歯科医療を地域包括ケアの重要な構成要素として位置づけ、予防から治療まで切れ目なく連携できる体制整備が求められていると考えております。
そこで、お尋ねいたします。
高齢者の誤嚥性肺炎予防や低栄養防止には、口腔健康管理が不可欠であります。厚生労働省として、新たな地域医療構想において医歯薬連携をどのように取り組んでいくお考えでしょうか。また、医科歯科連携や医歯薬連携を更に推進し、周術期口腔機能管理やMRONJ予防を始めとする口腔健康管理を地域医療の中で一層普及させるため、歯科医療提供体制の構築について今後どのように取り組んでいくお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
94森森光敬子厚生労働省医政局長
お答え申し上げます。
御指摘のように、入院患者に対する誤嚥性肺炎や薬剤関連顎骨壊死の予防のため、口腔の管理は重要であると認識をしております。また、今後、八十五歳以上の高齢患者が増加する中で、医歯薬連携により高齢者の口腔管理を行うということは一層重要になると認識をしております。
新たな地域医療構想では、二〇四〇年を見据え、入院のみならず、外来、在宅等も対象にして、地域の医療提供体制全体の課題解決を図っていくこととしております。
そのため、歯科についても、口腔健康管理等で重要な役割を担っていただくものと認識しておりまして、新たな地域医療構想においても、…
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95岡岡本康宏(自民)
御答弁ありがとうございます。
是非、医歯薬連携と情報共有体制の整備は、MRONJ予防のみならず、安全で質の高い地域包括医療を実施するために重要なインフラになりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
次に、医歯薬連携や歯科医療提供体制などを支える診療報酬上の取組についてお尋ねします。
今まで述べましたような医歯薬連携の取組を進めるためには、医療機関同士の情報共有や紹介体制がスムーズにできる連携体制の構築が必要ですが、診療報酬上の評価など、なお十分とは言えない課題も残されています。
医科歯科連携については、先ほど御質問させていただいた地域医療…
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96間間隆一郎厚生労働省保険局長
お答えいたします。
委員御指摘のように、近年、口腔と全身の健康の関係性について様々な知見あるいはエビデンスが報告されていることなどを踏まえまして、診療報酬においても医科歯科連携を推進していくことが重要だというふうに認識しております。
これまでも、診療報酬改定において、入院患者の周術期や回復期の口腔機能管理を評価することを通じて医科歯科連携を推進してきたところでございますが、それに加えまして、今般の令和八年度診療報酬改定におきましては、一つは、歯科標榜のない病院の入院患者に対して歯科訪問診療を行い口腔管理を実施した場合の加算を新設をしてございます。
…
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