細谷雄一慶應義塾大学法学部教授

2025年2月26日・第217回国会 参議院 外交・安全保障に関する調査会 第3号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 34 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 90 発言)

重要な問題提起、御質問、ありがとうございました。

まず第一に、一般的に今のトランプ大統領の政治、内政、外交については、専門家の間でよく指摘されるのが、これが原因、トランプ大統領は原因ではなくて帰結であると、つまり、アメリカの社会や政治に巨大な変革が起きて、そしてその変化の帰結としてアメリカ国民がトランプ候補に投票して、大統領になったと。したがって、そのトランプ大統領の政策を無視することはできても、アメリカの国内社会あるいは世界全体で起きている巨大な変化というのは恐らく我々は無視してはいけないんだろうと思います。一体それが何を意味しているのか、そして、どういうような対応をしなければいけないのか。

で、リスクというものはどの程度あるかということなんですが、私、今のトランプ政権の政策のリスクというものが少なくともあの第一次政権よりもはるかに大きいと。それは、トランプ大統領というのは、本来は外交や政治に余り経験がなかった、ビジネスの世界から、不動産の世界から来た政治家、大統領が、いわゆるアダルツと呼ばれる非常に成熟した外交・安全保障のプロフェッショナルに囲まれて政策を運営していった。したがって、多くの点で第一次トランプ政権においては外交・安保政策がトランプ大統領のイニシアチブが実現したことと、しかしながら、それが余りアメリカの国益や国際社会にとって好ましくないということで軌道修正したことの両方があったんだろうと思います。

ところが、この一か月を見ていて、第一次政権との最大の違いはこの修正機能が働いていないと。つまり、トランプ大統領が徹底して忠誠心を持つ者だけを周辺に集めたことによって、仮にトランプ大統領が間違った判断をしたときに、修正がされずにそのまま前に進んでしまうというリスクが大きくなっている。

したがって、それがどの程度リスクがあるかということは、現段階でまだ主要なポリティカルアポイントメント、政治任用が決まっていませんので判断が難しいと思いますが、しかしながら、第一次政権のときに我々が記憶しているような政治よりもはるかに大きなリスクがあるということは我々は認識する必要があるんだろうというふうに思っています。

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