小泉悠東京大学先端科学技術研究センター准教授

2025年2月19日・第217回国会 参議院 外交・安全保障に関する調査会 第2号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 47 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 90 発言)

承知しました。

ロシアの軍事費、やはり戦時下なので毎年どんどん増えていまして、今年一月一日から始まった二〇二五年度予算に関しましては、国防費が補正前で十三兆五千億ルーブルになっています。大体ロシアの平時の国防費って年間三兆五千億ルーブルから三兆八千億ルーブルぐらいなので、平時の四倍ですね。GDPの六・三%というふうに予算計画ではなっています。対連邦予算比で三二・五%です。

だから、かなり軍事負担が重くなっていることは間違いなくて、財政赤字も出ているのは出ているんですけど、やっぱりそのお尋ねの財源ですよね、オイルが売れてしまっていると。西側も完全にロシアのガスやオイルを遮断することはできてないので、現状はそのバレル六十ドル以上で売ろうとしたら、そのタンカーにロイズが保険を付与しないので、そういう形の制裁なんですよね。でも、結局ロシアはそうすると、いわゆる影の船団という、この無保険船団を組織して、もう無保険でもいいから突っ走って売りに行くんだといってインドなんかに売りに行っちゃうということで、財源が断てていないわけですね。

それからもう一個は、物理的な問題として、今ヨーロッパの国々は今すぐロシアの天然ガス供給から切り離されたら凍えて死んじゃうという問題があって、かなりロシアにエネルギー依存していたということのツケがかなり返ってきている部分があると思うんですよ。だから、エネルギー安全保障というのも、どこからでも買ってくればいいというわけではなくて、サプライヤーがどこなのかということをかなり計算に入れないと、そのエネルギー安全保障が軍事安全保障の方に跳ね返ってしまうというようなことがあるというのが私は一個この戦争の教訓ではないかというふうに思っています。

なので、多少財政赤字も出ているんですけど、対GDP比一・何%とかの赤字出ているんですけど、基本的に財政回っています。

それから、この戦争が始まってから三回連邦予算が作られたわけですね。それまでのこの三回の、二回の、二回のロシア財務省の説明というのは、来年度に関しては戦時下なんで国防費はがんと増えますと、でも翌年には下がって、翌々年には平時の水準に戻りますという説明をロシアの財務省はずっと繰り返してきたんですね。

ところが、今年度分の予算を作るとき、去年の秋の段階にロシア財務省が出してきた予算注解というのは、来年がんと増えますと、で、再来年もその次も同水準ですと言っているんですね。つまり、初めて、この戦争がずっと長引いて、その間、平時の四倍だか三倍だかって国防費を出し続けますということを国防省も言い始めたと。又は、このレジュメの中にもロシア軍の大軍拡計画のことを参考というふうに書いていますけど、これだけ兵力を増やすので、戦争が終わってもロシア軍は恐らくでっかいままなんですよね。そのことも込みで、国防費は今後とも長期的に出続けるということを財務省もとうとう認めざるを得なくなったということだと思います。

制裁も食らっていますし、軍事負担も重いんですけど、少なくとも今に関しては戦時景気で、景気はいいんですよね。二〇二三年が三・六パー成長で、去年に関してはIMF推定で四・一%成長したというふうに見られていて、むしろ軍需産業バブルみたくなっちゃっていると。それから、国民一般の暮らしも、私もちょっとしばらく現地に行けていませんけど、話なんか聞いていると、国民一般の生活はむしろ割と何か変な多幸感があるんですよね。インフレにもなっているんだけど、やっぱりその実質賃金の伸び率がインフレを上回っているんですよ。本当に実質で実入りが増えてしまっていると。余計ロシア人一般が戦争をやめるというインセンティブを持てないと思います。

ただ、やはり、多くの人が言っているように、これ今戦時景気だからいいけれども、戦争終わったらどうするんだということですよね。あるいは、じゃ、この戦争終わってもこの規模の国防支出出し続けるんだといったら、それはもう財政赤字がとんでもない形でつり上がっていってソ連の二の舞になっちゃうわけで、なかなか余り現実的ではない、持続的じゃないんじゃないかとは思いますが、少なくとも今この瞬間においてはロシア人は割にハッピーです。

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