東野篤子筑波大学教授

2025年3月13日・第217回国会 参議院 予算委員会公聴会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 199 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 231 発言)

ありがとうございます。

EUの将来、それを軍事的な側面からということでございますけれども、今回のロシアによるウクライナ侵略は、やはりEUも自前で自分たちの身を守らなければならないという意識を非常に強くしました。この一環として、つい先日合意された八千億ユーロに至る欧州再軍備計画が生まれてきたということでございます。

先生のおっしゃるとおり、そのEUの方向性として、より軍事的にも自立した共同体、あるいは、同盟とまでは行かないまでも、そういったその協力体であるということを目指すことは論をまたないのではないかと思います。

今までも、EUとしてはNATOとの協力関係は進めておりました。例えば、EUの制度でベルリン・プラスということがございます。若干技術的にはなってしまいますけれども、有事が起きたときに必ずしもNATOが、つまりアメリカやカナダを含むNATOがヨーロッパの安全保障問題に関わりたくない事例がある、そのときにEUがNATOのアセットを使えるようなシステムがそのベルリン・プラスということになっております。

ただ、こういったものが決められていてもなかなか使いこなせなかったということが現状としてあります。また、EUも、共通外交・安全保障政策とか共通安全保障・防衛政策とか、そういったことがリスボン条約において認められているのですが、これが非軍事的な活動にほぼほぼ占められていたといった現状もございます。

ただ、これはなかなか、今のロシアによるウクライナ侵略というような現状を考える中で、もうずっと非軍事でNATOの後方支援をするようなEUで居続けていいのかという議論はフランスやベルギーなどを中心に行われているところでございますので、やはりこれをEUの中でどのように能力的に高めていくのかということは、方向性としては定められていると思いますけれども、なかなかそれがどのような方向になるのかということは、やはりNATOとの協力関係を進める方が効率なのか、あるいはEUで自前のものを持つ方がよいのかということで、やはり加盟国で見解が分かれている状況にはなります。

ウクライナの加盟問題なんですけれども、厳密にはEUの、ウクライナのEU加盟問題、ウクライナのNATO加盟問題というのは全くもって別トラックでございます。NATOの加盟問題を今ウクライナとしては求めている。それは、ロシアの再侵略がないように、あるいはあった場合にウクライナが自分の身を守れるように、北大西洋条約第五条に基づいてウクライナにも集団防衛を発動してもらいたいということなんですけれども、これがなかなかNATOのコンセンサスを得られていない。

NATOというのはコンセンサス方式を取っておりますので、一か国でも反対したら加盟が認められません。なので、今はそのNATOの加盟国においても反対する国が多いためになかなかこれが難しい。例えば、イタリアのメローニ首相は先日、NATOに入れなくても、ウクライナにNATOの第五条を発動することを考えてはどうかというような発言もありましたけれども、これもなかなか広い支持を得ているとは、得られないと思います。

一般論、あくまでも一般論でございますけれども、NATOの加盟の方が手続とか手順がよりEUよりも少ないわけですね。NATOの加盟が一旦招待されたならば一年、二年で済むということに対して、EUの場合は、例えば政治面、経済面、法律面、様々な基準を達成しなければならず、七年、八年、九年掛かったり、十年以上掛かったり、トルコに至っては何十年も加盟交渉している状態でございます。

ですので、やはりウクライナに関しても、ショートトラックという話もございますが、これもなかなかコンセンサスを得られない以上、NATOの加盟の方をむしろウクライナの意向としては優先し、EUの加盟をもう少し長期的にということでございます。

ただ、ウクライナ、今こういう状況にはありながらも、EU加盟基準を下げることは今EU側としては余り考えていないのも現状でございますので、やはりどうしても長期的なプロセスにはなろうかと私は見ております。

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