嘉田由紀子議員にお答えいたします。
まず、被疑者等の権利保障への配慮に関する本法律案と諸外国の制度との比較についてお尋ねがありました。
諸外国による制度の内容は各国の実情に応じて様々であることから、それらと比較した場合の本法律案の特色について一概に申し上げることは困難であります。
その上で、本法律案においては、被疑者等の権利保障に関し、証拠書類の電子データ化等により、弁護人が、電磁的記録である証拠書類について、裁判所や検察庁においてコピーの手間なく謄写することを可能とするとともに、オンラインにより閲覧、謄写することも可能とし、また、身体拘束に対する不服申立て等をオンラインにより迅速に行うことも可能とするなどしているところでありまして、これらを通じて被疑者等の防御上の負担が大幅に軽減され得るものと考えております。
次に、令状の請求、発付のオンライン化による捜査当局者の意識の希薄化についてお尋ねがありました。
本法律案においては令状について電磁的記録によることを可能としておりますが、令状の請求や発付の要件は維持することとしており、裁判官や捜査機関による要件該当性の判断の在り方はこれまでと変わりません。
したがいまして、御懸念は当たらないと考えており、御指摘のような手だてを設ける必要はないと考えておりますが、いずれにいたしましても、本法律案による改正後も令状の請求や発付が適正に行われることが重要であると考えております。
次に、いわゆる厚生労働省元局長無罪事件におけるデジタルデータの捏造についての検察の反省と、電子化される証拠書類及び証拠物の改ざん等を防ぐ方策についてお尋ねがありました。
まず、最高検察庁が御指摘の事件に関して平成二十二年十二月に公表した検証結果報告書においては、検察官の倫理意識の向上を図る必要があること、証拠物の保管管理状況に問題があったことなどが指摘をされたものと承知をしております。
そして、その検証結果を踏まえ、検察当局においては、押収した電磁的記録媒体の原本の内容の精査、検討は、原則として複写物を作成し、これを利用して行うほか、押収した電磁的記録媒体の原本について封印を実施するなど、押収された電子データの改ざん、改変を防止する取組を実施しており、引き続き適切に対処していくものと承知をしております。
また、電子化される供述調書等の証拠書類の非改ざん性を担保する技術上の措置としては、例えば公開鍵暗号方式による電子署名など様々な方策があり得るところ、法務省では、現在、最高裁判所、警察庁等の関係機関や開発業者と検討を重ねております。引き続き、関係機関と緊密に連携をしつつ、検討を進めてまいります。
次に、いわゆるオンライン接見の権利化及びオンラインによる外部交通の拡充についてお尋ねがありました。
オンライン接見については、例えば弁護人の端末を用いて行う場合、弁護人以外の者による弁護人への成り済ましや、接見が認められていない第三者の同席等の防止が困難であると指摘されており、オンライン接見一般を被疑者等の権利として位置付けることは相当でないと考えております。
他方で、実務的な運用上の措置として行っているオンラインによる外部交通については、現在、弾力的にその実施を拡大していくべく、日本弁護士連合会及び関係機関との間で協議を実施しているところであり、法務省においては、本年度、そのための環境整備経費を計上しております。その拡大の対象となる地域については、御指摘の島嶼部などの地域性や弁護士の偏在にも配慮し、日本弁護士連合会等と協議の上、その必要性が高い地域から選定することとしております。
法務省といたしましては、必要性が高い地域においては迅速に環境整備を行うことが必要であると考えており、今後も関係機関等と協議し、一層その取組を加速をしてまいります。
最後に、刑事施設におけるITやAIの活用について、受刑者に対する矯正処遇への活用という観点と職員の負担軽減との観点から、それぞれお尋ねがありました。
御指摘のとおり、現代社会において、デジタル環境への対応力は、受刑者の円滑な社会復帰という観点から大変重要な要素であると考えております。
例えば、一部刑務所においてAIの活用による個々の受刑者の学力に応じた出題を自動的に行う教科指導、パソコン操作に関する基礎的知識やITに関連する幅広い分野のスキルを習得するための職業訓練を行っており、こうした取組は、受刑者の学力や就労意欲の向上、出所後の就職支援にも寄与しているほか、再犯防止の観点からも重要であると考えております。
また、刑事施設で使用している受刑者のデータベースに関するシステムを更新し、受刑者の様々な情報を一元化したことにより、施設内の部門間で共有や連携が容易となったところであります。このシステムにおける再犯防止に資するデータ分析の促進やデータの利活用など、拘禁刑の施行に鑑み、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。
今後も、デジタル化が進んでいく社会の情勢を踏まえつつ、刑事施設におけるITやAIの活用についても必要に応じて検討を進めていきたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣坂井学君登壇、拍手〕
8
鈴木馨祐(自民)法務大臣
打越さく良議員にお答え申し上げます。
まず、電磁的記録提供命令の創設に当たっての国民の権利の保護についてのお尋ねがありました。
本法律案においては、捜査機関による電磁的記録提供命令について、必ず裁判官の発する令状によることとしており、捜査機関が提供を命ずることができる電磁的記録は、制度上、裁判官が被疑事件等との関連性を認めて令状に記載、記録したものに限定されることとなっている上、その命令に対しては、不服申立てをすることができることとしております。
したがいまして、本法律案には国民の権利を保護する規定が欠けているとの御指摘は当たらないと考えております…
この発言のページ
9
関口昌一議長
嘉田由紀子君。
〔嘉田由紀子君登壇、拍手〕
この発言のページ
10
嘉田由紀子(維新)
日本維新の会の嘉田由紀子です。
私は、会派を代表し、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対して質問いたします。
人類の歴史を振り返ってみますと、新しい情報技術の誕生は、人類の知的活動に変革をもたらし、大きく時代を動かし、社会的秩序の在り方にも大きな影響を与えてきました。私自身は元々アフリカと社会変動の研究をしてまいりましたが、無文字社会のアフリカが十九世紀以降ヨーロッパ諸国により植民地化された背景には、印刷技術の進展による文字記録の現地社会への導入が社会の権力構造を大きく変えたという歴史があります。
二十世紀後半…
この発言のページ
- (上の発言)
11
鈴木馨祐(自民)法務大臣
嘉田由紀子議員にお答えいたします。
まず、被疑者等の権利保障への配慮に関する本法律案と諸外国の制度との比較についてお尋ねがありました。
諸外国による制度の内容は各国の実情に応じて様々であることから、それらと比較した場合の本法律案の特色について一概に申し上げることは困難であります。
その上で、本法律案においては、被疑者等の権利保障に関し、証拠書類の電子データ化等により、弁護人が、電磁的記録である証拠書類について、裁判所や検察庁においてコピーの手間なく謄写することを可能とするとともに、オンラインにより閲覧、謄写することも可能とし、また、身体拘束に対する不服申立て等をオンラインにより迅速に行うことも可能とするなどしているところでありまして、これらを通じて被疑者等の防御上の負担が大幅に軽減され得るものと考えております。
次に、令状の請求、発付のオンライン化による捜査当局者の意識の希薄化についてお尋ねがありました。
本法律案においては令状について電磁的記録によることを可能としておりますが、令状の請求や発付の要件は維持することとしており、裁判官や捜査機関による要件該当性の判断の在り方はこれまでと変わりません。
したがいまして、御懸念は当たらないと考えており、御指摘のような手だてを設ける必要はないと考えておりますが、いずれにいたしましても、本法律案による改正後も令状の請求や発付が適正に行われることが重要であると考えております。
次に、いわゆる厚生労働省元局長無罪事件におけるデジタルデータの捏造についての検察の反省と、電子化される証拠書類及び証拠物の改ざん等を防ぐ方策についてお尋ねがありました。
まず、最高検察庁が御指摘の事件に関して平成二十二年十二月に公表した検証結果報告書においては、検察官の倫理意識の向上を図る必要があること、証拠物の保管管理状況に問題があったことなどが指摘をされたものと承知をしております。
そして、その検証結果を踏まえ、検察当局においては、押収した電磁的記録媒体の原本の内容の精査、検討は、原則として複写物を作成し、これを利用して行うほか、押収した電磁的記録媒体の原本について封印を実施するなど、押収された電子データの改ざん、改変を防止する取組を実施しており、引き続き適切に対処していくものと承知をしております。
また、電子化される供述調書等の証拠書類の非改ざん性を担保する技術上の措置としては、例えば公開鍵暗号方式による電子署名など様々な方策があり得るところ、法務省では、現在、最高裁判所、警察庁等の関係機関や開発業者と検討を重ねております。引き続き、関係機関と緊密に連携をしつつ、検討を進めてまいります。
次に、いわゆるオンライン接見の権利化及びオンラインによる外部交通の拡充についてお尋ねがありました。
オンライン接見については、例えば弁護人の端末を用いて行う場合、弁護人以外の者による弁護人への成り済ましや、接見が認められていない第三者の同席等の防止が困難であると指摘されており、オンライン接見一般を被疑者等の権利として位置付けることは相当でないと考えております。
他方で、実務的な運用上の措置として行っているオンラインによる外部交通については、現在、弾力的にその実施を拡大していくべく、日本弁護士連合会及び関係機関との間で協議を実施しているところであり、法務省においては、本年度、そのための環境整備経費を計上しております。その拡大の対象となる地域については、御指摘の島嶼部などの地域性や弁護士の偏在にも配慮し、日本弁護士連合会等と協議の上、その必要性が高い地域から選定することとしております。
法務省といたしましては、必要性が高い地域においては迅速に環境整備を行うことが必要であると考えており、今後も関係機関等と協議し、一層その取組を加速をしてまいります。
最後に、刑事施設におけるITやAIの活用について、受刑者に対する矯正処遇への活用という観点と職員の負担軽減との観点から、それぞれお尋ねがありました。
御指摘のとおり、現代社会において、デジタル環境への対応力は、受刑者の円滑な社会復帰という観点から大変重要な要素であると考えております。
例えば、一部刑務所においてAIの活用による個々の受刑者の学力に応じた出題を自動的に行う教科指導、パソコン操作に関する基礎的知識やITに関連する幅広い分野のスキルを習得するための職業訓練を行っており、こうした取組は、受刑者の学力や就労意欲の向上、出所後の就職支援にも寄与しているほか、再犯防止の観点からも重要であると考えております。
また、刑事施設で使用している受刑者のデータベースに関するシステムを更新し、受刑者の様々な情報を一元化したことにより、施設内の部門間で共有や連携が容易となったところであります。このシステムにおける再犯防止に資するデータ分析の促進やデータの利活用など、拘禁刑の施行に鑑み、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。
今後も、デジタル化が進んでいく社会の情勢を踏まえつつ、刑事施設におけるITやAIの活用についても必要に応じて検討を進めていきたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣坂井学君登壇、拍手〕
12
坂井学(自民)国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災・海洋政策)
電子データによる令状の発付、執行について御質問がありました。
現行法の下におきましては、令状請求に当たっては、捜査員が裁判所まで請求のための資料を運び、令状の発付後、これを現場に持っていって執行しております。
令状の請求や発付がオンライン化されることとなれば、緊急走行であるか否かにかかわらず、原則として、令状請求などのために捜査員が警察施設と裁判所や令状の執行場所などの間を移動する必要がなくなることとなります。
その結果、令状請求のための資料や発付された令状を運ぶために要していた人員、時間を他の警察活動により多く迅速に投入することが可能となるため、…
この発言のページ
13
関口昌一議長
川合孝典君。
〔川合孝典君登壇、拍手〕
この発言のページ
14
川合孝典(国民)
国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
会派を代表して、鈴木法務大臣に質問します。
本法案は、裁判案件の高度化、複雑化の進展に伴い長期化する訴訟期間の短縮が喫緊の課題となる中、情報通信技術を活用して刑事手続等を円滑化、迅速化するとともに、訴訟に関与する国民の負担軽減を図るための規定を整備するほか、情報通信技術の進展等に伴う犯罪事象に適切に対処するための規定の整備を行うことをその目的としております。
こうした法改正の趣旨や取組に期待する声がある一方で、デジタル社会における個人情報保護の在り方や証拠として提出、押収された電磁的記録の取扱いについては、数多…
この発言のページ