仁比聡平 (日本共産党)

2025年5月27日・第217回国会 参議院 法務委員会 第12号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 106 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 155 発言)

というようなことなんですけれども、お手元の資料をちょっとめくっていただくと、この民事法律扶助制度を利用した離婚関連事件に関する業務量調査報告書という日弁連の紙があると思います。

弁護士の業務量というアプローチというか、その物の見方というのは余りやらないものなんですけど、民事法律扶助の水準がいかに厳しいか、この業務量に合った適正な立替え基準になっているかを検証しようということで取り組まれた真摯なものなんですね。

右下の方を御覧いただくと、結果、この離婚関連事件において扶助の立替え基準は、私選の基準額の三〇・五%から六五・三%と。特に調停のみの場合、私選との差が大きくて、三〇・五%から五一・三%と。つまり、半額ということなんですよ、せいぜい。多くの弁護士が法テラスを通さずにじかに受任するという場合の標準報酬として考える額の三割で受任し、活動しているということなんですね。

この実情について、六月号の法律時報で、離婚事件の現場から見た現状と問題点というある弁護士さんの詳しい論考が出ておりまして、DV事件で見たときに、大臣もちょっとゆっくりお聞きいただいたらと思うんですけど、DV事件の依頼者って不安感が強くて精神疾患を抱えていることも少なくないので、話が要領を得なかったり、あるいは理路整然と話せないということが時にあると。弁護士にとってみると、ポジティブな声掛けも含めた感情労働というような側面もある。もちろん、DVなので緊急な対応が必要な場合も少なくなくて、夜、昼、もう昼はもちろんですが、深夜問わないというような対応を迫られることだってあるわけですよね。行政、警察、医療機関との連携だったり、それから経済的に困窮しているということで福祉機関との対応があると。

相手方とのやり取りというのはなお大変で、まず、健康保険証の切替えどうするかとか、携帯電話のファミリーパックを解約どうしますかとか、それから自宅の前に置かれた旗当番の旗はどうすればいいかみたいな問合せも弁護士が窓口になるんだけど、それは民事法律扶助からは費用が払われることはないわけです。完全にボランティア、手弁当になるんですけれども、常態化しているために、裁判所の方からそういう活動をお願いしますというふうに期待されてしまうということだってあると。ところが、弁護士がそれをボランティアでやっているということを裁判所も調停委員も知らないと。そういう実情の中で、ですから、若手の中からは、やりがい搾取だというみたいな声も出ているわけですよ。

一方で、相手方の中にはコミュニケーションがとても困難な場合も少なからずあって、どなられる、あるいは独自の理屈をとうとうと述べて電話を切ってもらえない、ささいなミスがあるとそれを執拗に責め立てられるということで、結果、長時間の対応を必要とするわけですね。挙げ句に、不合理な懲戒請求を受けたり、民事裁判を起こされたり、誹謗中傷をネットに書き込まれたりするという。これは前にお伺いしましたけど、こういう弁護士に対する業務妨害というような事案が極めて厳しく存在しているというのがこのDV含む離婚関係の事件の現場の姿なんだと思うんですね。

ところが、報酬は、民事扶助で、私選の場合の半額あるいは三割と。これでは事務所の運営もやっていけないということになりますので、その調査の下の方にあるように、ボランティアと考えてやっているが、法テラスとの契約をやめることを検討しているというような回答も出てきているわけですね。

これ、若手弁護士の法テラス離れというふうに弁護士仲間の中では言われるんですけれども、まず、司法法制部長、こういう状況というのは、法テラスの設立によってあまねく法的支援をと、それが公共性だという理念を掘り崩していってしまうということになりませんか。

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