自分に不利なこと、あるいは自分がそうした行為を、供述を強制される、観念の表出を強制されるということは人間の尊厳そのものに関わるんですよ。尊厳を持った生存を根底から揺さぶられてしまうからこそ、黙秘権の保障があり、自己負罪拒否特権という権利が確立してきているわけですよね。
だからこそ、私は、もし今刑事局長がおっしゃるような趣旨の令状請求がされたとしたときには、裁判官は断固としてそのような憲法侵害の令状は出さないと判断すべきだと思います。
最高裁の様々な強制処分に関する決定というのは、検察がそのようなことを行い、国がそれは合憲だと主張してきたことによってそういう幾つかの判決が形成されているわけですよね。言わば検察の論理ですよ。検察の論理に立ってはならないと。我々が立つべきは、憲法三十八条であり憲法三十五条であり、刑事手続における人権保障である。そのことがこの法案には全くないがしろにされているということが、先ほど打越さんの議論の中で明らかになったのではないかと思います。
だからこそ、私は、今日で審議を終局する、採決に及ぶことは反対だと申し上げてきました。今の点についてもきちんと議論をしていけば、先ほど打越さんが求められていたような議論に到達するかもしれないけれど、そうなっていないというのが今の現実じゃないですか。
その点で、聞いておきたいことがあります。
オンライン取調べを現在も行われているのですが、この法案によってオンライン取調べを警察や検察が行う、特に検察のオンライン取調べを記録した供述録取書、そういう電磁的記録というのがこれからは伝聞法則の例外として裁判の証拠として使えるんだという趣旨の改正条文があります。
この伝聞法則というのは、反対尋問を経ていないそういう証拠というのは、裁判官の面前で反対尋問を経ていない証拠というのは誤ったものが山ほど入っているから、だから裁判の証拠にしちゃ駄目ですよと、ざっくりそんなようなことなんですが、その点について、五月八日、渕野参考人が、法案では、国外に所在する証人に対するビデオリンク方式による証人尋問は認められていないと。これは、国外で偽証されると偽証罪で起訴しても公判の出頭を確保できないし、偽証罪の犯罪事実を立証するための証拠も収集できないので、威嚇効果が働かず、事実認定を誤らせるおそれが強いという理由が示されている。一方で、国内に所在する対象者にはオンライン取調べは限定されない。つまり、国外の証人にビデオリンク方式の証人尋問は認めないという法案が、国外の証人をオンライン取調べをした調書については、国外ではできないからという理由で伝聞例外として採用を求め、それを裁判所が採用するということになるじゃないかと指摘をしているんですね。
これ、法務省刑事局長、そうなるんですか。
170
川合孝典(国民)
分かりました。
終わります。
この発言のページ
171
仁比聡平(共産)
日本共産党の仁比聡平でございます。
まず、午前中の打越さく良委員が自己負罪拒否特権の保障とパスワードを始めとした議論を果敢になされたことに対して、心から敬意を申し上げたいと思います。この議論に対する法務省、法務大臣の答弁は極めてひどいものでした。私は抗議を申し上げたいと思うんです。
通告していませんから、刑事局長と、私、これ以上の議論をするつもりはなくて、私のコメントとして聞いていただけたらと思うんですが、刑事局長が、呼気検査に関する最高裁判例を援用して、この電磁的記録提供命令に際しての被疑者、被告人のパスワードの問題を同質の問題だというふうに言って…
この発言のページ
172
鈴木馨祐(自民)法務大臣
あくまでここは法務大臣として立っておりますので、大臣としてという答弁ということになりますけれども、まさに、この電磁的記録提供命令、ここは、その範囲ということについては、しっかりそこは令状において審査をされるという中でそうしたものが提供を命じられるということだと思います。
そうしたものを命じるということにあって、そのパスワードが掛かっているものにしても何にしても、その物を提供するという、そういった命令についてということがこの法律の趣旨ということになりますので、そういった意味においては、先ほど打越委員との局長を中心とした答弁でありますけれども、その答弁のラ…
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- (上の発言)
173
仁比聡平(共産)
自分に不利なこと、あるいは自分がそうした行為を、供述を強制される、観念の表出を強制されるということは人間の尊厳そのものに関わるんですよ。尊厳を持った生存を根底から揺さぶられてしまうからこそ、黙秘権の保障があり、自己負罪拒否特権という権利が確立してきているわけですよね。
だからこそ、私は、もし今刑事局長がおっしゃるような趣旨の令状請求がされたとしたときには、裁判官は断固としてそのような憲法侵害の令状は出さないと判断すべきだと思います。
最高裁の様々な強制処分に関する決定というのは、検察がそのようなことを行い、国がそれは合憲だと主張してきたことによってそういう幾つかの判決が形成されているわけですよね。言わば検察の論理ですよ。検察の論理に立ってはならないと。我々が立つべきは、憲法三十八条であり憲法三十五条であり、刑事手続における人権保障である。そのことがこの法案には全くないがしろにされているということが、先ほど打越さんの議論の中で明らかになったのではないかと思います。
だからこそ、私は、今日で審議を終局する、採決に及ぶことは反対だと申し上げてきました。今の点についてもきちんと議論をしていけば、先ほど打越さんが求められていたような議論に到達するかもしれないけれど、そうなっていないというのが今の現実じゃないですか。
その点で、聞いておきたいことがあります。
オンライン取調べを現在も行われているのですが、この法案によってオンライン取調べを警察や検察が行う、特に検察のオンライン取調べを記録した供述録取書、そういう電磁的記録というのがこれからは伝聞法則の例外として裁判の証拠として使えるんだという趣旨の改正条文があります。
この伝聞法則というのは、反対尋問を経ていないそういう証拠というのは、裁判官の面前で反対尋問を経ていない証拠というのは誤ったものが山ほど入っているから、だから裁判の証拠にしちゃ駄目ですよと、ざっくりそんなようなことなんですが、その点について、五月八日、渕野参考人が、法案では、国外に所在する証人に対するビデオリンク方式による証人尋問は認められていないと。これは、国外で偽証されると偽証罪で起訴しても公判の出頭を確保できないし、偽証罪の犯罪事実を立証するための証拠も収集できないので、威嚇効果が働かず、事実認定を誤らせるおそれが強いという理由が示されている。一方で、国内に所在する対象者にはオンライン取調べは限定されない。つまり、国外の証人にビデオリンク方式の証人尋問は認めないという法案が、国外の証人をオンライン取調べをした調書については、国外ではできないからという理由で伝聞例外として採用を求め、それを裁判所が採用するということになるじゃないかと指摘をしているんですね。
これ、法務省刑事局長、そうなるんですか。
174森森本宏法務省刑事局長
まず、三百二十一条一項二号と、それから国外の所在の証人の偽証の制裁の下で信用性が担保されるかどうかということと、先ほど言った三百二十一条一項二号の中での特信性をどう判断していくのかというものについて要件が違いますので、まず委員がおっしゃったように、どう違うのかということを、制度が違うので一概には言えないと思いますが、そもそもなんですけれども、今先生がおっしゃったのが、海外にいる人を検察官がビデオリンクで取り調べるということであるとすると、そもそも、その先生の御議論の前に、国内の我々捜査機関が外国に対して主権を行使するという問題が生じますので、まず、そこの…
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175
仁比聡平(共産)
つまり前提として、法文全体は、二段階のこの刑事訴訟法の改正によって、そういう、私が申し上げたような、渕野参考人が刑事訴訟法の研究者としてそのように読めるというふうにおっしゃっているような条文規定になっているんですよ。
今刑事局長が言われているのは、その法文はそうかもしれないがという括弧付きなのかもしれないですけど、そもそも検察は、国外の証人に対するオンライン取調べは、まあ基本できませんと、あるいはやりませんというふうにおっしゃっているんだと思うんですね。そうなんですか。
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176森森本宏法務省刑事局長
国際法の考え方がどう変わっていくのかにもよるのかもしれませんけど、基本的には、それは主権の行使の問題を生じ得るので抑制的になるのではないかということとともに、それから、裁判所の判断におきましても、仮にですけれども、仮に先生がおっしゃったような形で取調べを行って、それについて特信性が認められるかどうかというときには、裁判官、裁判所といたしましても、その供述調書がビデオリンクによる取調べにおいて作成されたものであるということをもちろん考慮した上でその証拠能力について判断するということになると思いますので、なかなかすぐに、じゃ、海外にいるから、どこにいるから、…
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