上山隆大政策研究大学院大学客員教授

2025年6月3日・第217回国会 参議院 内閣委員会 第19号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 58 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 109 発言)

日本学術会議と諸外国のアカデミーを比べたときにおける最大の私の残念な点は、このアカデミーに、我が国のアカデミーにそこまでの権威がないということです。

アカデミー・オブ・サイエンスのメンバーに選ばれるということは、それは学術のトップの人間の一人であると認められ、それによって大きな名誉を得るということにあります。例えば、大学の執行部なども、ノーベル賞を何人持っているかに加えて、アカデミー・オブ・サイエンスのメンバーをうちの大学は何人そろえているかということを自慢するぐらいの社会的な権威があるということです。この権威は一朝一夕につくられたものではなくて、単に政府があなたたちは権威がありますよといった形では、ものではなくて、その権威そのものがそれぞれのアカデミーの歴史的な努力によって積み上げられてきたものです。

そのときに決定的に重要なのが、誰を会員として選ぶのかと、選考方法において極めて先鋭な方法を持っているかどうかです。選挙で選ばれる、これは論外でありました。コオプテーションもそれに対する一歩の改善ではありますが、例えば、我が国におけるアカデミアと例えばアメリカその他のアカデミアの大きな違いは、学協会が細分化されてしまっているというのが我が国のアカデミアの問題点です。小さな学会がたくさん存立し、その学会からの推薦の中で、この人がいいよという方たちが選ばれていく。そこに果たして、ナショナルアカデミーが自らの知見で会員を選定しているのかという疑問を持たざるを得ない状況があるということです。

恐らく求められるのは、日本学術会議におけるガバナンスの問題であり、日本学術会議という組織を極めて強い権威のある組織へと進化させていくという執行部の思いだと思います。これは、単なる組織的に存在していくということではなくて、組織そのものを全て統括して、そして組織の成長を考えていくときにどのような資金でこれを支えるのか、どのような信頼を国民から得るのか、そのチャンネリングを考えていくだけの知見が学術会議のガバナンスの中で求められていく。そのような厳しさを果たして日本学術会議が持っていたかどうかというと、大きな疑問を感じざるを得ません。

各国のアカデミーの極めて権威ある構造を知っている私とすると、この日本学術会議に対する大いなる期待と、そして今後の発展を考えたときに、このままの状態でいいとは私は思いません。その意味で、意識を持って外部の資金を獲得しながら組織の活動を拡大させていくという強い意思を持つ組織体を政府の外につくっていく必要があると思います。そのときに、総理大臣から任命されたということでもって権威を得るなどという発想自体が私には茶番に聞こえます。アカデミーそのものが大きな権威を持って選んでいる、そのこと自体を受け止めて、そのような組織体へと昇華させていく必要があるんじゃないかと私は考えますけれども。

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