井上哲士 (日本共産党)

2025年5月15日・第217回国会 参議院 内閣委員会 第14号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 294 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 308 発言)

日本共産党を代表して、いわゆる能動的サイバー防御法案に反対の討論を行います。

本案は、サイバー攻撃の実態把握を理由に、憲法が保障する通信の秘密を侵害し、本人の同意がなければ目的外利用や第三者提供が認められない個人情報を政府の都合で収集、利用するものであり、断じて認められません。

分析される情報は自動選別されたIPアドレス等の機械的情報であって、コミュニケーションの本質に関わる情報は消去されると言いますが、インターネットを介する国民のあらゆる通信情報が、通信の当事者である国民に無断で政府が取得することが可能になります。このこと自体が極めて重大です。多くの国民が通信の秘密の権利が侵害されると不安に駆られるのは当然です。

しかも、自動選別され政府に利用される情報には、送受信者のメールアドレス、送受信日時や電話、携帯電話の番号、LINEのアカウントなど、通信当事者に直接結び付く情報が含まれます。明らかな通信の秘密の侵害にほかなりません。どのような基準で自動選別されるかについても全く明らかではありません。また、これらの情報の目的外利用を可能とする規定まで盛り込まれています。

法案は、本来警察の責務を負わないとされている警察庁の警察官に、裁判所の令状も必要とされない即時強制としてアクセス・無害化措置を実施させるなど、警察の職務権限を拡大します。

国民の個人情報を無断で収集し、第三者へ提供する違法行為を通常の警察業務として行っていたことが、大垣警察署による市民監視事件への名古屋高裁判決でも判示されました。その警察に国民の通信情報が提供されることになります。通信情報を犯罪捜査へ利用されるにとどまらず、国民監視に使われるという懸念は全く払拭されません。

さらに重大なことは、警察と自衛隊が憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込むことを可能としていることです。警察や自衛隊が海外サーバーにアクセス・無害化措置を行えば、相手国から主権侵害と受け止められる可能性は否定できません。

しかも、自衛隊は、平時、有事にかかわらず、在日米軍へのサイバー攻撃に対しアクセス・無害化措置を実施するとしています。日本が直接攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカと交戦状態にある相手国に対してアクセス・無害化措置を実施すれば、相手国から日本の先制攻撃と受け止められる危険が非常に大きいものです。日本を戦争に巻き込むような本法案は到底容認できません。

サイバー行動に関する国際法の適用については、世界のコンセンサスが形成途上なのが現実です。本法案でアクセス・無害化措置を可能とすることは、意図しない武力行使やエスカレーションといった重大な結果をもたらす可能性を拡大することにつながりかねません。

以上を述べ、反対討論とします。

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