酒井啓亘早稲田大学法学学術院教授

2025年5月8日・第217回国会 参議院 内閣委員会 第12号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 75 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 140 発言)

ありがとうございます。

国際法の観点から、一番興味深い、あるいは問題があるところじゃないかというふうには思っています。

つまり、先ほど申し上げましたけれども、新しく作られるその警職法の第六条の二の規定ですけれども、とりわけその第二項ですが、その規定というのは、私が先ほど御意見申し上げたとおり、必ずしも国際法上の対抗措置だとかあるいは緊急状態の要件を定めたものではありません。むしろ、そういった仮に違法行為になりそうな場合の行為であっても、違法性阻却に該当することを妨げないような、そういった立て付けの規定だというふうに理解しています。

元々はこの規定というのは、国家として行為を行うその国内法上の要件を具備するということだろうと思いますので、国際法上の要件として対抗措置なりあるいは緊急状態が満たされなければならないというのはまた別建てということになります。

と申しますのは、これなかなか国内法の先生方に申し上げると理解していただけないところもあるんですが、要するに、ある国内法に反するよう、失礼、ある国際法に反するような行為を行って、外国から国際法違反の行為だというふうに指摘された場合に、それをどういうふうにこちら側が対応するかということを全て一般的に国内法で規定しているということはないんですね。

これは、特別な、その国内法の中で規定が設けられることはないわけではないと思うんですけれども、一般にそういった国際法上の国家責任に関わるような問題を国内法ですべからく規定するというような手法を少なくとも我が国は取っていない。

したがって、新しい警職法の第六条の二第二項に基づいて措置をとったと、それが相手方にとってみるとそれは国際法違反だというふうに指摘された場合に、必ずしもこの法律ないしは整備法を通じて国内法で議論するのではなくて、あくまでも慣習国際法上の国家責任法のレベルで相手方に対して主張をし、説得をするということになるわけです。

ですから、御懸念あるかもしれませんけれども、そういった緊急状態にせよ、対抗措置にせよ、全てあらかじめ国内法に要件を書き込んでおくというようなことはこれまで行われてきませんでしたし、恐らくそれはケース・バイ・ケースで考えられることでしょうから、今後も難しいだろうというふうに思いますし、諸外国もその点では同じ考え方を持って立法を行っているのではないかというふうには思っています。

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