福和伸夫名古屋大学名誉教授

2025年5月22日・第217回国会 衆議院 東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会 第10号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 35 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 87 発言)

被害が減っていないところはどこかというと、先ほど申し上げましたように、家屋の耐震化が進んでいないということと、それから、津波からの避難意識が向上している証拠がしっかり見つからなかった、この二つであります。

この国は、主として公助の部分については非常に責任を持って役所が前を向いて、強靱化というのはほとんど進みました。ですから、公共施設についてはほぼ一〇〇%耐震化や強靱化が終わりつつあります。

一方で、進んでいないのは、私たち国民が、一人一人が努力をする部分が進んでいません。何が足りなかったかというと、国民の方々やあるいは産業界の方々に、まずは今自分が置かれている災害の危険度の状況、これをきちんとお伝えすることができていない。それから、やろうと思ったときに、それを支援する仕組みがないんです。

何かをやろうとしたときには、理屈では分かっているけれども、何となく動かない人がほとんどです。その次に、納得すれば、頭で分かるんじゃなくて、何となく体で分かってくれば、一歩進みます。それでも大体進まないんです。それは、我が事感がないと前に進まないんです。ここまで来ても、建物を直すというのは、だまされるかなと思う人は結構多いんですよね、やはり。

ですから、そこで、後ろから一歩押してあげる人とか、あるいは、解決策として、こういうふうに直してあげれば安くできるし効果もあるよということを教えてあげる、その上で、実際に実践するというところまで、全部のステップを支援してあげるような公助の力が要ると思うんです。

最後は自助なんです。でも、自助を促すには、周辺の人たちがやった方がいいよと言うような共助が必要で、最後にちゃんとやってくれるように持ち込むために後ろ側から支援してあげる公助が必要で、こういった事柄が産業界に対しても必要です。

産業界も今の経営にすごくあっぷあっぷしているので、長期的に損失を被る災害に対してお金を入れるということは非常に苦手なんです。これを、長期ビジョンで物事を考えなくちゃいけないという仕組みを公助側でつくってあげる。例えば、それぞれの経営判断をするときに、今の経営の判断だけではなく、長期的な災害に対しての判断ということも指標として出すような仕組みを国の方でつくっていただければ、産業界の自助も進むのではないかというふうに思っています。

結局は、産業界と国民の自助を促す政策が望ましいというふうに思っています。

以上です。

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