現時点で見えている様々ないわゆるハードデータというんでしょうか、そういうものを見る限りにおいては、特に一番大事なポイントは、今の御質問に関係するポイントは実質の賃金だと思いますけれども、要は物価の上昇に賃金が追いついているかという意味での実質賃金ですけれども、それは、物によっては上がっているというふうにはなっていますけれども、そうでないものもありますので、しっかりと実質賃金が上がっているという状況にはまだなっていないというふうに思います。
ただ、ここについては、私は、一つには、人手不足がこれだけ深刻になっていますので、そういう中で、中長期的、例えば二、三年とかと展望したときには、実質賃金は平均的には上がっていくんだというふうに思っています。ですので、もう少し名目賃金の上がり方というのが強くなっていって、物価の上昇を上回るというのが今後は期待できるんじゃないかというふうに思います。それは、別に政府が、あるいは皆さんが何かの措置をしなくても、経済のメカニズムとして、人手不足の中で実質賃金が上がるということが起きてくるというふうに思います。
ただし、全ての人々の実質賃金がしっかり上がるかというと、それは、経済の仕組みはそうはなっていませんので、やはり、平均的にはそうかもしれないけれども、ある方の賃金は物価の上昇ほどには上がらない、生活が苦しいという方が出てくるだろうというふうに思います。
先ほどから繰り返し申し上げているのは、そういう方々へのケアというのを誰かがしなければいけない。さすがにそれは経済のメカニズムの中ではそういうケアというのは生まれてこないわけでありますので、そこは政治の出番だろうなというふうに思います。
49長長友慎治(国民)
国民民主党の長友慎治でございます。
今日は、四人の公述人の皆様、貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。
その上で、まず渡辺公述人に御質問をさせていただきたいと思います。
今日は、資料をお示しいただき、賃金と物価と金利の正常化ということをお話しいただきました。御著書を拝読しまして、「物価を考える」の中でも、この三十年間の中で、値上げを極端に嫌がる日本の消費者の行動のことであったりとか、日本の消費者は物価を据え置くことが当たり前という信念を非常に強く持っていて、それが消費者や経営者にも浸透してしまったこの三十年間のことを書かれておりました。
…
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50渡渡辺努東京大学大学院経済学研究科教授
先ほど私の最初の報告の中で、三十年間というのは価格も、それから賃金も毎年毎年据え置かれてきたという話をいたしました。ここが実はその弊害というものと非常に密接に関係しているわけであります。
例えば、企業であれば、何か新しい商品を考えて、それを是非商品化したいというふうにしたとすると、当然そこでは投資が必要になりますし、その投資の分だけしっかり高い価格をつけてがっぽりいただきましょうというのが企業家精神というものだというふうに思います。
ところが、日本では、価格は基本的には据え置かなきゃいけない、あるいは、価格を上げると消費者にどうしても買ってもらえなく…
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51長長友慎治(国民)
ありがとうございます。
後ろ向きなコストカット等で今まで何とかしのいできたことを、積極的に投資をして、これから伸び代があるという可能性を御説明いただきました。
最初の公述の中でも、直近二年ぐらいは賃金と物価の健全な循環が始まってきたんじゃないか、各企業が毎年商品価格を二%上げて、消費者の生計費も二%上昇して、労働者、労組も毎年二%賃上げを要求していくような流れが、この二年ぐらいですか、出てきているということなんですけれども、今この瞬間というか、今の現状なんですけれども、現在の消費者は物やサービスにお金を使う余裕がもうあると言えるのか、ないのかについて…
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- (上の発言)
52渡渡辺努東京大学大学院経済学研究科教授
現時点で見えている様々ないわゆるハードデータというんでしょうか、そういうものを見る限りにおいては、特に一番大事なポイントは、今の御質問に関係するポイントは実質の賃金だと思いますけれども、要は物価の上昇に賃金が追いついているかという意味での実質賃金ですけれども、それは、物によっては上がっているというふうにはなっていますけれども、そうでないものもありますので、しっかりと実質賃金が上がっているという状況にはまだなっていないというふうに思います。
ただ、ここについては、私は、一つには、人手不足がこれだけ深刻になっていますので、そういう中で、中長期的、例えば二、三年とかと展望したときには、実質賃金は平均的には上がっていくんだというふうに思っています。ですので、もう少し名目賃金の上がり方というのが強くなっていって、物価の上昇を上回るというのが今後は期待できるんじゃないかというふうに思います。それは、別に政府が、あるいは皆さんが何かの措置をしなくても、経済のメカニズムとして、人手不足の中で実質賃金が上がるということが起きてくるというふうに思います。
ただし、全ての人々の実質賃金がしっかり上がるかというと、それは、経済の仕組みはそうはなっていませんので、やはり、平均的にはそうかもしれないけれども、ある方の賃金は物価の上昇ほどには上がらない、生活が苦しいという方が出てくるだろうというふうに思います。
先ほどから繰り返し申し上げているのは、そういう方々へのケアというのを誰かがしなければいけない。さすがにそれは経済のメカニズムの中ではそういうケアというのは生まれてこないわけでありますので、そこは政治の出番だろうなというふうに思います。
53長長友慎治(国民)
全ての人の賃金が上がるかというと、そううまくいくわけではない、その御指摘なんですけれども、私も地元が九州の宮崎という地方であります。地元の経営者の皆様と話していると、価格転嫁、それから賃金を上げるという大企業のトレンドに関してはよく理解はしているんですが、その賃上げの原資というものがないという御意見を非常に強く賜るわけなんですが、地方の中小企業が価格転嫁をしたくてもまだできないという状況、これに対して中小企業の経営者は価格転嫁をどのように取り組んでいけばいいのか、御意見を伺いたいんですが、いかがでしょうか。
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54渡渡辺努東京大学大学院経済学研究科教授
繰り返しになりますけれども、大事なことは、下請法とかそういう法律をしっかり変えていく、価格転嫁をしやすいような環境というのを整えていく。今でも公取とかはガイドラインを示して賃上げ分の価格転嫁を推進しようとしていますけれども、そういうものを引き続き徹底していくということが一つ大事なことかと思います。その意味では、政策的な介入というのがここの部分は必要だというふうに思います。
ただ、それはどちらかというと当面のお話でして、中長期的に見ると、先ほどのどなたかの御質問にも関係がありますけれども、中長期的に見ると、やはり、どの地域であれ、東京も含めてですけれども…
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55長長友慎治(国民)
価格転嫁のための政策が必要だということで、大変そのとおりだと思います。
私たち国民民主党としましては、価格転嫁を後押しするためにも、可処分所得、国民の所得が増えていく、手取りが増えていく、これが一番重要だ、その経済対策をもって、今まさに手当てが必要だということで、例えば百三万円の壁の引上げということを公約に掲げて取り組んでいるところでございます。
この百三万円を百七十八万円にということで私たちが主張しているんですけれども、その基になっているものが、最低賃金が三十年前から一・七三倍になっているので、百三万円を百七十八万に引き上げる、そういう根拠を持って…
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