渡辺努東京大学大学院経済学研究科教授

2025年2月25日・第217回国会 衆議院 予算委員会公聴会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 50 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 243 発言)

先ほど私の最初の報告の中で、三十年間というのは価格も、それから賃金も毎年毎年据え置かれてきたという話をいたしました。ここが実はその弊害というものと非常に密接に関係しているわけであります。

例えば、企業であれば、何か新しい商品を考えて、それを是非商品化したいというふうにしたとすると、当然そこでは投資が必要になりますし、その投資の分だけしっかり高い価格をつけてがっぽりいただきましょうというのが企業家精神というものだというふうに思います。

ところが、日本では、価格は基本的には据え置かなきゃいけない、あるいは、価格を上げると消費者にどうしても買ってもらえなくなってしまうというのがありますので、そうなると、新しい商品のアイデアがあったとしても、それを実現するために投資をするとか、そういう積極的な方に話が回らずに、取りあえずその商品は作るのはやめようかというので、逆に、じゃ、どうやって収益を賄うかというと、コストカットをして何とかして、それでその収益をぎりぎり維持できるところまで持っていく、こういうような経営というのが行われる。

これが実は三十年間の多くの日本の企業で典型的に行われてきた。前向きに物を考えるんじゃなくて、後ろ向きにコストカットで何とかその場をしのぐということをやり続けてきたわけであります。それが、要は当然イノベーションとかあるいは経済のダイナミズムというものを損なってきたわけであります。

裏を返すと、今後はそういうものが、価格や賃金が動き始めていますので、今後は、一つ知恵がある人は、そういうものを実際に商品化するためにしっかりとした投資をして、それに伴う価格もしっかりとしたものをつけて、それでがっぽりもうける。こういう資本主義の普通の原理にのっとった、価格メカニズムにのっとった、そういう経営というのが展開されるんじゃないか。そうすると、今までのような生産性の停滞とかダイナミズムが活発でないとか、そういうところが直っていくんじゃないかというふうに思っております。

なので、かなりの弊害があったというのは事実で、それは残念なことだったわけですけれども、逆に言うと、これからは非常に伸び代が大きいというふうに見ていいんじゃないかというふうに思います。

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