近年、高額な薬剤の普及などにより、高額療養費の総額は医療費全体の倍のスピードで伸びており、健康保険組合では、一千万円以上の医療費がかかるケースが十年間で約七倍となっております。
他方、この制度は、前回、平成二十七年に見直しを行って以降、見直しを行っておらず、自己負担以上に保険料負担が増大しております。
今後もこのペースで増加し続けた場合、この制度の持続可能性を維持できるのか、現役世代を中心に保険料負担はどうなるのかといった課題があります。
こうしたことから、全世代型社会保障の改革工程を踏まえ、厚生労働省において、社会保障審議会医療保険部会において議論を重ね、物価、経済の動向を反映した定率改定と所得区分の細分化による所得に応じた負担の徹底という見直しを行うこととし、こうした内容を盛り込んだ令和七年度予算を提案いたしました。
これらは、所得に応じた配慮を行うものであるとともに、激変緩和の観点から、段階的に三回に分けて施行していく案としていたところでございます。しかしながら、本委員会において、各党各委員から、患者、当事者の声を直接聞いてほしい、決定プロセスに丁寧さを欠いているのではないかといった様々な御意見をいただきました。
これを受け、厚生労働大臣及び厚生労働省において、患者団体とそれぞれ複数回面会し、当事者の皆様の切実なお声をお伺いいたしました。私自身も、その際に寄せられた御負担の状況や不安なお気持ちについて、厚生労働大臣等の面会の都度報告を受け、真摯に受け止めさせていただきました。
御意見の多くは、長期にわたって治療を継続される方々の不安の声でありましたので、二月十四日、長期に療養される方の御不安や負担感に最大限配慮する観点から、年に四回以上高額療養費に該当する方の自己負担限度額を据え置くことにいたしました。
他方で、その後、患者団体の皆様や本委員会における御意見として、現在、多数回該当に当たる方の負担額は上がらないとしても、今後、長期に療養される方について、負担限度額が引き上がった結果、多数回該当に当たらない方が生ずるのではないかとの御指摘がありました。
こうしたお声にもきめ細かく対応するため、二月二十八日の本委員会において、立憲民主党野田代表の御質問に対し、新たに多数回該当の判定基準を設けることを含め、令和八年度以降に実施する所得区分の細分化については、本年秋までに改めて検討し、決定することといたしました。
その結果、関係各位の御理解もいただき、三月四日、本衆議院において、政府提案の予算を修正いただいた上で可決いただいたところであります。
しかしながら、その後、参議院予算委員会での審議の過程においても、各党各会派の委員から引き続き御意見をいただきました。
委員会に出席された患者団体の方の御要請を受け、先週七日には、私自ら患者団体の皆様と直接面会し、その思いをお聞きいたしました。その際、これまでの修正経緯等について説明をし、出席された皆様からは、これまでの修正経緯について一定の評価をいただいたものの、本年分の定率改定を含め、今回の見直しについて、なお御理解をいただくには至りませんでした。
高額療養費制度を将来にわたって守っていくためには、保険料をお支払いいただく方々の御理解もいただきつつ、増加する高額療養費の費用を皆が負担能力に応じて支え合う仕組みとすることが必要です。保険料を負担する被保険者の方々の声に応えるためにも、制度の見直し自体には御理解をいただきたかったところでありますが、患者団体の皆様からは、それでも受診抑制につながるおそれがあるとの御意見がありました。
ここに至るまで患者団体の皆様に御理解をいただけない理由の一つとして、本件の検討プロセスに丁寧さを欠いたとの御指摘をいただいたことは、政府として重く受け止めなければならないと考えました。患者の皆様に御不安を与えたまま見直しを実施することは望ましいことではございません。
こうしたことから、先週七日に、本年八月に予定される定率改定を含めて、見直し全体について実施を見合わせるという決断をいたしました。本年秋までに改めて方針を検討し、決定することといたします。
この方針について、与党に対し、所要の手続について検討するよう指示したところ、与党より、令和七年度予算の再修正という方針が示されたと承知をいたしております。政府としては、与党での検討を踏まえて、適切に対応してまいります。
今後の具体的な検討の方向性について、現時点で予断を持って申し上げる段階にはありませんが、保険料負担の抑制や制度の持続可能性の確保とともに、患者の方々の経済的な御負担が過度なものとならないようにすることが重要です。
検討に当たりましては、保険料を負担する被保険者の皆様からの御意見も拝聴しつつ、患者の方々のお話を十分伺い、その御理解をいただくべく最善を尽くしてまいります。
予算が衆議院を通過した後に再度修正することになったという経緯については大変申し訳ないことでありますが、政府といたしましては、両院各党各会派の皆様の御意見を承りながら、引き続き、予算の年度内成立に向けて努力してまいる所存であります。
高額療養費制度が患者の皆様にとって大切な制度であるからこそ、丁寧なプロセスを積み重ねることで、これを持続可能なものとして次の世代に引き継いでまいりたいと存じますので、何とぞ御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
―――――――――――――
0会会議録情報政府参考人など
令和七年三月十三日(木曜日)
午後三時五十分開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
井出 庸生君 伊藤 達也君
河野 太郎君 後藤 茂之君
小林 茂樹君 柴山 昌彦君
高木 啓君 田所 嘉徳君
田中 和徳君 谷 公一君
田村 憲久君 土屋 品子君
西銘恒三郎君 平沢 勝栄君
深澤 陽一君 福原 淳…
この発言のページ
1
安住淳(立憲)
これより会議を開きます。
予算の実施状況に関する件、特に高額療養費等について調査を進めます。
この際、石破内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣石破茂君。
この発言のページ
- (上の発言)
2
石破茂(自民)内閣総理大臣
近年、高額な薬剤の普及などにより、高額療養費の総額は医療費全体の倍のスピードで伸びており、健康保険組合では、一千万円以上の医療費がかかるケースが十年間で約七倍となっております。
他方、この制度は、前回、平成二十七年に見直しを行って以降、見直しを行っておらず、自己負担以上に保険料負担が増大しております。
今後もこのペースで増加し続けた場合、この制度の持続可能性を維持できるのか、現役世代を中心に保険料負担はどうなるのかといった課題があります。
こうしたことから、全世代型社会保障の改革工程を踏まえ、厚生労働省において、社会保障審議会医療保険部会において議論を重ね、物価、経済の動向を反映した定率改定と所得区分の細分化による所得に応じた負担の徹底という見直しを行うこととし、こうした内容を盛り込んだ令和七年度予算を提案いたしました。
これらは、所得に応じた配慮を行うものであるとともに、激変緩和の観点から、段階的に三回に分けて施行していく案としていたところでございます。しかしながら、本委員会において、各党各委員から、患者、当事者の声を直接聞いてほしい、決定プロセスに丁寧さを欠いているのではないかといった様々な御意見をいただきました。
これを受け、厚生労働大臣及び厚生労働省において、患者団体とそれぞれ複数回面会し、当事者の皆様の切実なお声をお伺いいたしました。私自身も、その際に寄せられた御負担の状況や不安なお気持ちについて、厚生労働大臣等の面会の都度報告を受け、真摯に受け止めさせていただきました。
御意見の多くは、長期にわたって治療を継続される方々の不安の声でありましたので、二月十四日、長期に療養される方の御不安や負担感に最大限配慮する観点から、年に四回以上高額療養費に該当する方の自己負担限度額を据え置くことにいたしました。
他方で、その後、患者団体の皆様や本委員会における御意見として、現在、多数回該当に当たる方の負担額は上がらないとしても、今後、長期に療養される方について、負担限度額が引き上がった結果、多数回該当に当たらない方が生ずるのではないかとの御指摘がありました。
こうしたお声にもきめ細かく対応するため、二月二十八日の本委員会において、立憲民主党野田代表の御質問に対し、新たに多数回該当の判定基準を設けることを含め、令和八年度以降に実施する所得区分の細分化については、本年秋までに改めて検討し、決定することといたしました。
その結果、関係各位の御理解もいただき、三月四日、本衆議院において、政府提案の予算を修正いただいた上で可決いただいたところであります。
しかしながら、その後、参議院予算委員会での審議の過程においても、各党各会派の委員から引き続き御意見をいただきました。
委員会に出席された患者団体の方の御要請を受け、先週七日には、私自ら患者団体の皆様と直接面会し、その思いをお聞きいたしました。その際、これまでの修正経緯等について説明をし、出席された皆様からは、これまでの修正経緯について一定の評価をいただいたものの、本年分の定率改定を含め、今回の見直しについて、なお御理解をいただくには至りませんでした。
高額療養費制度を将来にわたって守っていくためには、保険料をお支払いいただく方々の御理解もいただきつつ、増加する高額療養費の費用を皆が負担能力に応じて支え合う仕組みとすることが必要です。保険料を負担する被保険者の方々の声に応えるためにも、制度の見直し自体には御理解をいただきたかったところでありますが、患者団体の皆様からは、それでも受診抑制につながるおそれがあるとの御意見がありました。
ここに至るまで患者団体の皆様に御理解をいただけない理由の一つとして、本件の検討プロセスに丁寧さを欠いたとの御指摘をいただいたことは、政府として重く受け止めなければならないと考えました。患者の皆様に御不安を与えたまま見直しを実施することは望ましいことではございません。
こうしたことから、先週七日に、本年八月に予定される定率改定を含めて、見直し全体について実施を見合わせるという決断をいたしました。本年秋までに改めて方針を検討し、決定することといたします。
この方針について、与党に対し、所要の手続について検討するよう指示したところ、与党より、令和七年度予算の再修正という方針が示されたと承知をいたしております。政府としては、与党での検討を踏まえて、適切に対応してまいります。
今後の具体的な検討の方向性について、現時点で予断を持って申し上げる段階にはありませんが、保険料負担の抑制や制度の持続可能性の確保とともに、患者の方々の経済的な御負担が過度なものとならないようにすることが重要です。
検討に当たりましては、保険料を負担する被保険者の皆様からの御意見も拝聴しつつ、患者の方々のお話を十分伺い、その御理解をいただくべく最善を尽くしてまいります。
予算が衆議院を通過した後に再度修正することになったという経緯については大変申し訳ないことでありますが、政府といたしましては、両院各党各会派の皆様の御意見を承りながら、引き続き、予算の年度内成立に向けて努力してまいる所存であります。
高額療養費制度が患者の皆様にとって大切な制度であるからこそ、丁寧なプロセスを積み重ねることで、これを持続可能なものとして次の世代に引き継いでまいりたいと存じますので、何とぞ御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
―――――――――――――
3
安住淳(立憲)
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省保険局長鹿沼均君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言のページ
4
安住淳(立憲)
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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この発言のページ
5
安住淳(立憲)
質疑の申出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。
この発言のページ