黒岩宇洋 (立憲民主党)

2025年6月4日・第217回国会 衆議院 法務委員会 第19号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 8 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 165 発言)

大変重要な御指摘ですので、十分な時間を頂戴いたしまして、我が党の法案の必要性を御説明させていただきたいと思います。

まずは、やはり、この別姓という言葉がある意味印象づけされ過ぎて、別姓か同姓かに着目し、法案が通るとあたかも社会全体が別姓になるのではというような、そんな認識を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。

この法案は、夫婦同氏も別氏も、さらには通称使用も、夫婦の意思で選択できるという内容となっております。むしろ、着目していただきたいのは、別氏か同氏かということもありますが、やはり、選択的なのか、それとも法的に強制されるのか、この違いを是非御理解いただきたいと思います。

そもそも、我が国は、古来、夫婦の氏は別氏でした。源頼朝の妻が北条政子であり、余り知られていませんが、豊臣秀吉の妻、淀君の本名は浅井菊子であります。このことからも、古来、別氏だったことは明らかです。

夫婦別氏が法制化されたのは、明治時代に入り、一八七六年太政官指令で、妻の氏は実家の氏を名のると、別氏が強制されたのです。これが、一八九八年、初めて成立した旧民法により夫婦同氏が規定されました。我が国における夫婦同氏の歴史は百三十年弱ということになります。

世界に目を向けると、夫婦同氏が法律で強制されている国は我が国ただ一つです。世界ではほとんどの国が選択的夫婦別氏制度を取っています。

法務省の調査によりますと、明治以前の我が国のように強制的夫婦別氏制度を採用している国は、中国や北朝鮮などアジアに数例が見られ、その理由として、家制度と男性優位の習慣が根づいているとされております。すなわち、妻は夫の戸籍に入ることができない、子供の氏は全て夫の氏になるという、かなり極端な男性優位の制度であると言えます。

一方、ヨーロッパで唯一、制度としては同じような強制的夫婦別氏制度をしている国が一つだけあります。それがフランスです。法務省の分析によりますと、フランスでは、個人の尊厳が徹底し、氏は生まれつき個人のもの、すなわち自分のもの、婚姻という身分行為で変えること自体認めないという、そこには家制度や女性差別という概念はみじんもないということになります。

このように、強制的夫婦別氏制度、制度上はアジアの少数の国と同じものですが、その背景にある思想、哲学は全く異なると言えます。ちなみに、フランスでは、アジアの国とは異なり、子の氏は夫の氏でも妻の氏でもどちらでも選択することができます。

以上のように、これまでの歴史、また世界の趨勢を鑑みて、今この時代に我が国も選択的夫婦別氏制度を採用すべきときが来たと考えております。

なお、世界の多くの選択的夫婦別氏制度の国でも、実際に別氏を選択する夫婦の割合は全体の夫婦の一〇%前後となっているということを付言させていただきます。

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