それで、現行法では、例えば、捜査機関が被疑者の家に差押えに来たそのときに、犯罪の証拠になる電子データが入っているようなUSBメモリーなどを被疑者が押さえられないように隠したり捨てたりしても、これは期待可能性がないということで証拠隠滅罪には問われないということになっているんです。
また、被疑者のパソコンとつながっているクラウドデータを押さえたい、でもサーバーに接続するためのパスワードが分からないという場合、自己負罪拒否特権があるので、被疑者は捜査機関に聞かれてもパスワードを教えなくてもいいということになっているんです。
ところが、先ほどの米山委員の質問への答弁のとおり、電磁的記録命令が導入されると、被疑者は、自分しか知らないパスワードを自分で入力してクラウドサーバーにアクセスして自分の犯罪の証拠となる電子データを捜査機関に提出しなければそれ自体が犯罪になってしまう、そういう制度になっているんです。これは期待可能性の観点から被疑者にはかなり酷なことだと思いますし、従来の差押えでいえば、パスワードを捜査機関に教えるのと同じ結果になるわけですから、自己負罪拒否特権との関係も本当は問題になり得るところだというふうに思っております。
この点、四月四日の参考人質疑で樋口教授は、被疑者、被告人を名宛て人にする義務履行の罰則による強制の当否という問題、これ自体はあるということを指摘した上で、被疑者、被告人を名宛て人とする制度導入の必要性が高い場合には期待可能性の視点を後退させることも可能、そういうふうに陳述されました。
この今回の制度の導入が樋口教授の言われるところの期待可能性の視点を後退させるほどの必要性が高いとお考えになっている理由、特に、既存の差押えなどで対応できない場合としてどのような場合を想定されてこの制度を導入されているのか、お答えください。
118
鈴木馨祐(自民)法務大臣
先ほど来申し上げておりますけれども、まず一つは令状でということで、一つは限定をかけるということは当然あろうと思いますし、その中で裁判官において関連性があると認めたもののみを記載、記録をするということになるということがあります。
そういった中で、御指摘のような規定を重ねて設ける必要があるのかという点と、もう一つは、現行法上の規律に加えて具体的にどのようなことに努めるべきなのかというところがなかなか判然としないところがありますので、運用上の混乱というリスクがあるということ、あるいは個人情報以外の情報については被疑事実等と関連性のないものであっても収集するこ…
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119柴柴田勝之(立憲)
到底納得できないんですが、ちょっとそこは議論してもしようがないので、次の質問に行きます。
次に、電磁的記録提供命令と自己負罪拒否特権の関係について伺います。
本法案による改正後の刑訴法第百二十四条の二第一項は、正当な理由なく電磁的記録提供命令に違反した者に対する刑事罰を規定しておりますが、被疑者に対する電磁的記録提供命令において、提供を命じられた電子データが、自己が刑事訴追を受け又は有罪判決を受けるおそれのあるものであるということは、被疑者が提供を拒む正当な理由となり得ますでしょうか、お答えください。
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120森森本宏法務省刑事局長
どのような場合が改正後の刑訴法二百二十二条の二第一項の正当な理由がある場合に当たるかについては、個別の事案ごとに具体的な事実関係を踏まえて判断されるべき事柄ではあると考えます。
その上で、あくまで一般論として申し上げれば、電磁的記録提供命令は、既に存在している電磁的記録の提供を命ずるものにとどまり、供述を強要するものではないことから、自己に不利益な内容が含まれている電磁的記録の提供を命ずる場合を含め自己負罪特権に抵触するものではないというふうに考えますので、御指摘のような、電磁的記録を提供することにより自己の刑事責任を問われる可能性があること自体は、通…
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- (上の発言)
121柴柴田勝之(立憲)
それで、現行法では、例えば、捜査機関が被疑者の家に差押えに来たそのときに、犯罪の証拠になる電子データが入っているようなUSBメモリーなどを被疑者が押さえられないように隠したり捨てたりしても、これは期待可能性がないということで証拠隠滅罪には問われないということになっているんです。
また、被疑者のパソコンとつながっているクラウドデータを押さえたい、でもサーバーに接続するためのパスワードが分からないという場合、自己負罪拒否特権があるので、被疑者は捜査機関に聞かれてもパスワードを教えなくてもいいということになっているんです。
ところが、先ほどの米山委員の質問への答弁のとおり、電磁的記録命令が導入されると、被疑者は、自分しか知らないパスワードを自分で入力してクラウドサーバーにアクセスして自分の犯罪の証拠となる電子データを捜査機関に提出しなければそれ自体が犯罪になってしまう、そういう制度になっているんです。これは期待可能性の観点から被疑者にはかなり酷なことだと思いますし、従来の差押えでいえば、パスワードを捜査機関に教えるのと同じ結果になるわけですから、自己負罪拒否特権との関係も本当は問題になり得るところだというふうに思っております。
この点、四月四日の参考人質疑で樋口教授は、被疑者、被告人を名宛て人にする義務履行の罰則による強制の当否という問題、これ自体はあるということを指摘した上で、被疑者、被告人を名宛て人とする制度導入の必要性が高い場合には期待可能性の視点を後退させることも可能、そういうふうに陳述されました。
この今回の制度の導入が樋口教授の言われるところの期待可能性の視点を後退させるほどの必要性が高いとお考えになっている理由、特に、既存の差押えなどで対応できない場合としてどのような場合を想定されてこの制度を導入されているのか、お答えください。
122森森本宏法務省刑事局長
まず、被疑者、被告人につきましては、類型的に被疑事件、被告事件に関する電磁的記録を保管等している蓋然性が高いと考えられることから、電磁的記録提供命令を創設する趣旨に照らし、その対象者とすべき必要性が高いものと考えております。
既存の制度で対応できない場合といたしましては、例えば、被疑者が捜査に必要な電磁的記録をクラウドサーバーに保存していることが判明しているが、サーバーコンピューターの管理者及び所在場所が不明であるため、サーバーコンピューター管理者等を名宛て人とした記録命令付差押えや、サーバーコンピューター自体の差押えをすることができず、かつ被疑者がそ…
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123柴柴田勝之(立憲)
では、法務省の方が最初に私に説明に来られた際には、電磁的記録提供命令というのは、今までは、電子データをわざわざ記録媒体に移して、そのものを差し押さえなければいけなかったのが、電子データのまま提供できるようになる、いわば便利になる、利便性を向上させるだけのものですというような御趣旨の御説明をされていたと私は記憶しています。
ただ、実際には、単に利便性を向上させるだけではなくて、今までの差押えではできなかったこともできるようになっているということを特にここで指摘したいと思います。
さらに、特に被疑者本人に対する電磁的記録提供命令については、期待可能性とか…
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124
鈴木馨祐(自民)法務大臣
まさにそのことでいいますと、これまでも答弁申し上げておりますけれども、パスワード等の供述、これも強制されるものではないという状況を私もこの場で答弁もしております。
まさにそうした供述を求めるものではないということの中で、電磁的記録提供命令を受ける者に供述を求めることとなる場合、そもそもこれを想定していないということから、御指摘のような規定を設けるということについては、法制度の在り方として果たして合理的なのかという疑義は私どもとしては残ると思っております。
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