竹内努法務省民事局長

2025年5月14日・第217回国会 衆議院 国土交通委員会 第14号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 182 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 250 発言)

お答えいたします。

本改正法案の施行の前に区分所有権が譲渡されていた事案についても遡って分譲業者と旧区分所有者の間の分譲契約に基づく損害賠償請求権を移転させるということになりますと、改正法の施行前に区分所有権を譲渡した旧区分所有者から債権という権利を強制的に取り上げるということになるため、財産権侵害のおそれがあるというふうに考えられるところでございます。

また、既に成立した法律関係を覆滅することにもなりまして、社会経済に著しい混乱が生ずるおそれがあると考えております。すなわち、既に旧区分所有者と分譲業者との間の訴訟が係属していたという場合には、旧区分所有者の従前の訴訟行為が無駄になったり、改めて現区分所有者を原告とする訴訟を提起せざるを得ないという事態が生じたりするなど、大きな混乱が生ずると考えられます。

更に具体的に申し上げますと、例えば、既に分譲業者から損害賠償金の支払いを受けていた旧区分所有者が、現区分所有者から損害賠償金の引渡しを求められるという事態が生じる可能性がございますし、また、既に分譲業者から損害賠償金の支払いを受けていた旧区分所有者が、分譲業者から損害賠償金の返還を求められるという事態が生じる可能性もございます。さらに、既に損害賠償金を多数の旧区分所有者らに支払い済みであった分譲業者におきましても、当該支払いは無効であるとして、現区分所有者から改めて損害賠償金の支払いを求められる可能性もございます。

このように、当然承継の規律を遡及適用とすることは、国民の権利義務に影響を及ぼすことに加えまして、社会経済に著しい混乱をもたらすものと考えられるため、認められないと考えているところでございます。

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