おはようございます。京都大学名誉教授で、現在、日本薬科大学の学長職にあります福井と申します。
本日は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。
私は、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の部会長として、今回の改正法案の前提となる制度改正の方向性に関して、昨年の四月以降、関係業界へのヒアリングを含めて計十回にわたって議論や検討を行い、薬機法等制度改正に関するとりまとめを本年一月十日付で発出いたしました。
したがって、私からは、薬機法等制度改正に関するとりまとめに記載されておりますように、今回の法案改正の方向性四点につき説明をさせていただきたいと思います。
第一の方向性は、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化でございます。
令和元年の薬機法改正以降も、後発医薬品の製造業者等を中心とした医薬品の不適切製造事案の発生、例えば、五年前の事例ですけれども、抗真菌薬に睡眠薬原料が混在し、健康被害、死亡事例が報告されたことがございました。このような発生が続いたことから、薬事監視を質的に向上させる必要があるということが制度部会において指摘されました。また、更なる法令遵守や品質確保、違法行為の抑止に向けた包括的な取組が必要とされました。さらに、市販後に収集された情報に基づく安全確保措置に加えて、リスクベースの市販後安全対策を効果的に実施する必要があるとされました。
このような背景を踏まえますと、製造販売業者において医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者の設置を法律で定めることや、法令違反等があった場合に責任役員の変更命令を可能とすることなどを通じて、製造販売業者における品質保証や安全管理に関するガバナンスを強化していくことが必要と考えます。
第二の方向性は、医療用医薬品等の安定供給体制の強化についてです。
制度部会におきましては、海外での製造トラブルを発端とした医薬品の供給の不足や、製造販売業者等の品質管理に係る行政処分が相次ぐとともに、感染症の流行等による需要の変動と相まって、品質の確保された医薬品の安定的な供給が困難となっていることや、その背景として、後発医薬品産業における一部非効率な生産構造や過当競争等の問題もあることが指摘されました。こうした状況を踏まえて、製造販売業者における供給体制の整備等を通じて、品質の確保された医療用医薬品の適切な供給を図る必要があるとされました。
また、薬事規制の面では、グローバルサプライチェーンが複雑化する中、迅速な薬事承認を可能とする体制の確保や、国際的に整合性の取れた手続を明確にする必要があるとされました。
このような背景を踏まえまして、医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置を義務化すること、医療用医薬品の供給不安の迅速な把握や製造販売業者への協力要請等の対応を法律で定めること、後発医薬品製造基盤整備基金を設置することによって企業間の連携、協力、再編の後押しをすること、製造販売の承認を一部変更する場合の手続に関して国際的に整合した類型を新設することなどを通じて、安定供給のための体制を強化することは必要な措置であると考えます。
第三の方向性は、より活発な創薬が行われる環境の整備についてです。
近年、医薬品製造の基盤技術の方法及び手段が多様化、複雑化してきていること、アカデミアやベンチャー企業等との連携による創薬が一般化してきていること、リアルワールドデータの利活用への期待が高まっていることなど、創薬環境が変化してきています。
制度部会においては、ドラッグラグ又はドラッグロスの解消のためには、薬機法上の各種制度の改善を通じて創薬環境を整備する必要があると指摘されました。
このような背景を踏まえますと、これは、探索的臨床試験等で安全性が確認された場合、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合ですけれども、条件付承認制度を適用する医薬品を増やすことや、小児用医薬品の開発の計画策定を努力義務とすることなどを通じて、医薬品への速やかな患者アクセスを確保することは必要な措置であると考えています。
また、国費と民間からの寄附金で革新的な新薬の実用化を支援するための基金を設置することは、将来の医療の質向上に向けて有効な対応策と思います。
第四の方向性は、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化についてです。
制度部会におきましては、医療需要が増大する中、対物業務の効率化により対人業務に注力できる環境の整備や、地域における薬局機能の見直しを行う必要があると指摘されました。また、情報通信技術の進展も踏まえ、要指導医薬品、一般用医薬品へのアクセスを進めるとともに、乱用等の課題に対して迅速かつ適切に取り組む必要があるとされました。
このような背景を踏まえまして、調剤業務の一部の外部委託を可能とすることや、乱用のおそれのある医薬品の販売方法を見直し乱用の問題に速やかに対処すること、医療用医薬品の不適切な零売を規制するため、法律上の規制を明確化すること、薬剤師等による遠隔管理による一般用医薬品の販売を可能とすることなどを通じて、薬局機能を強化することは必要な措置であると考えています。
ここまで申し上げてきた内容を制度部会で議論してまいりましたが、制度部会では、医療関係者や製造販売業者、学者、薬害関係団体の方々など、様々なステークホルダーの委員の方々に御議論いただくとともに、制度改正が実効性のあるものとなるよう、関係業界の方々からも御意見を聴取する機会を多く設け、コンセンサスを得ながら議論を進めるというプロセスを経て取りまとめに至りました。
品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供するため、改正法案の速やかな成立をお願いいたします。法案が成立した暁には、政府におかれましては、円滑な施行に向けて、引き続き関係団体の意見を丁寧に聴取し、準備を進めていただきたいと思います。
以上が、今回の改正法案に対する私の意見でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
0会会議録情報政府参考人など
令和七年四月八日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
安藤たかお君 井出 庸生君
今枝宗一郎君 草間 剛君
工藤 彰三君 後藤 茂之君
佐々木 紀君 鈴木 英敬君
鈴木 隼人君 田畑 裕明君
田村 憲久君 土田 慎君
中曽根康隆君 西野 太亮君
根本 拓君 平口 洋君
福田かおる君 松…
この発言のページ
1
藤丸敏(自民)
これより会議を開きます。
内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、学校法人都築学園日本薬科大学学長福井次矢君、厚生労働省ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ構成員、一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長天野慎介君、ファルメディコ株式会社代表取締役社長、医療法人嘉健会思温病院理事長狹間研至君、日本製薬団体連合会会長岡田安史君、ボストンコンサルティンググループマネージング・ディレクター&パートナー柳本岳史君、以上…
この発言のページ
- (上の発言)
2福福井次矢学校法人都築学園日本薬科大学学長
おはようございます。京都大学名誉教授で、現在、日本薬科大学の学長職にあります福井と申します。
本日は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。
私は、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の部会長として、今回の改正法案の前提となる制度改正の方向性に関して、昨年の四月以降、関係業界へのヒアリングを含めて計十回にわたって議論や検討を行い、薬機法等制度改正に関するとりまとめを本年一月十日付で発出いたしました。
したがって、私からは、薬機法等制度改正に関するとりまとめに記載されておりますように、今回の法案改正の方向性四点につき説明をさせていただきたいと思います。
第一の方向性は、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化でございます。
令和元年の薬機法改正以降も、後発医薬品の製造業者等を中心とした医薬品の不適切製造事案の発生、例えば、五年前の事例ですけれども、抗真菌薬に睡眠薬原料が混在し、健康被害、死亡事例が報告されたことがございました。このような発生が続いたことから、薬事監視を質的に向上させる必要があるということが制度部会において指摘されました。また、更なる法令遵守や品質確保、違法行為の抑止に向けた包括的な取組が必要とされました。さらに、市販後に収集された情報に基づく安全確保措置に加えて、リスクベースの市販後安全対策を効果的に実施する必要があるとされました。
このような背景を踏まえますと、製造販売業者において医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者の設置を法律で定めることや、法令違反等があった場合に責任役員の変更命令を可能とすることなどを通じて、製造販売業者における品質保証や安全管理に関するガバナンスを強化していくことが必要と考えます。
第二の方向性は、医療用医薬品等の安定供給体制の強化についてです。
制度部会におきましては、海外での製造トラブルを発端とした医薬品の供給の不足や、製造販売業者等の品質管理に係る行政処分が相次ぐとともに、感染症の流行等による需要の変動と相まって、品質の確保された医薬品の安定的な供給が困難となっていることや、その背景として、後発医薬品産業における一部非効率な生産構造や過当競争等の問題もあることが指摘されました。こうした状況を踏まえて、製造販売業者における供給体制の整備等を通じて、品質の確保された医療用医薬品の適切な供給を図る必要があるとされました。
また、薬事規制の面では、グローバルサプライチェーンが複雑化する中、迅速な薬事承認を可能とする体制の確保や、国際的に整合性の取れた手続を明確にする必要があるとされました。
このような背景を踏まえまして、医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置を義務化すること、医療用医薬品の供給不安の迅速な把握や製造販売業者への協力要請等の対応を法律で定めること、後発医薬品製造基盤整備基金を設置することによって企業間の連携、協力、再編の後押しをすること、製造販売の承認を一部変更する場合の手続に関して国際的に整合した類型を新設することなどを通じて、安定供給のための体制を強化することは必要な措置であると考えます。
第三の方向性は、より活発な創薬が行われる環境の整備についてです。
近年、医薬品製造の基盤技術の方法及び手段が多様化、複雑化してきていること、アカデミアやベンチャー企業等との連携による創薬が一般化してきていること、リアルワールドデータの利活用への期待が高まっていることなど、創薬環境が変化してきています。
制度部会においては、ドラッグラグ又はドラッグロスの解消のためには、薬機法上の各種制度の改善を通じて創薬環境を整備する必要があると指摘されました。
このような背景を踏まえますと、これは、探索的臨床試験等で安全性が確認された場合、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合ですけれども、条件付承認制度を適用する医薬品を増やすことや、小児用医薬品の開発の計画策定を努力義務とすることなどを通じて、医薬品への速やかな患者アクセスを確保することは必要な措置であると考えています。
また、国費と民間からの寄附金で革新的な新薬の実用化を支援するための基金を設置することは、将来の医療の質向上に向けて有効な対応策と思います。
第四の方向性は、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化についてです。
制度部会におきましては、医療需要が増大する中、対物業務の効率化により対人業務に注力できる環境の整備や、地域における薬局機能の見直しを行う必要があると指摘されました。また、情報通信技術の進展も踏まえ、要指導医薬品、一般用医薬品へのアクセスを進めるとともに、乱用等の課題に対して迅速かつ適切に取り組む必要があるとされました。
このような背景を踏まえまして、調剤業務の一部の外部委託を可能とすることや、乱用のおそれのある医薬品の販売方法を見直し乱用の問題に速やかに対処すること、医療用医薬品の不適切な零売を規制するため、法律上の規制を明確化すること、薬剤師等による遠隔管理による一般用医薬品の販売を可能とすることなどを通じて、薬局機能を強化することは必要な措置であると考えています。
ここまで申し上げてきた内容を制度部会で議論してまいりましたが、制度部会では、医療関係者や製造販売業者、学者、薬害関係団体の方々など、様々なステークホルダーの委員の方々に御議論いただくとともに、制度改正が実効性のあるものとなるよう、関係業界の方々からも御意見を聴取する機会を多く設け、コンセンサスを得ながら議論を進めるというプロセスを経て取りまとめに至りました。
品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供するため、改正法案の速やかな成立をお願いいたします。法案が成立した暁には、政府におかれましては、円滑な施行に向けて、引き続き関係団体の意見を丁寧に聴取し、準備を進めていただきたいと思います。
以上が、今回の改正法案に対する私の意見でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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藤丸敏(自民)
ありがとうございました。
次に、天野参考人にお願いいたします。
この発言のページ
4天天野慎介厚生労働省ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ構成員/一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長
おはようございます。
本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。お手元の資料を御参照いただきながらお話を聞いていただければと思います。
全国がん患者団体連合会は、現在、加盟団体五十二団体、会員総数およそ二万人を有する患者団体の連合組織でございます。
私自身は、二〇〇〇年、二十七歳のときに血液がんである悪性リンパ腫を発症いたしまして、薬物療法や放射線療法、移植を受けました。二回の再発を経験し、治療の影響や合併症として薬剤性の間質性肺炎や左目の視力を失い、また、透析も受けております。
私は、再発を繰り返し、五年生存率も当時一〇%程度と言われ…
この発言のページ
5
藤丸敏(自民)
ありがとうございました。
次に、狹間参考人にお願いいたします。
この発言のページ