佐藤淳法務省刑事局長

2026年4月16日・第221回国会 参議院 法務委員会 第5号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 12 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 150 発言)

犯罪の成否は、収集された証拠に基づいて個別の事案ごとに判断されるべき事柄でありまして、一概にお答えすることは困難ではありますが、その上で、改正後の法第二条第四号の罪が成立するためには、同号に規定する行為と人の死傷結果との間に因果関係が認められることが必要でございます。

そして、一般に判例は、犯罪に係る因果関係の存否について、生じた結果が実行行為の危険が現実化したものと評価できるかどうかという枠組みにより判断していると考えられているところでございます。また、判例は、実行行為と結果との間に介在事情があった場合には、その介在事情が著しく不自然、不相当であったかどうかによって因果関係の存否を判断していると考えられるところでございます。

このような判例の考え方を前提といたしますと、数値基準を満たす高速度で自動車を運転して死傷事故が起きた場合、高速度での運転行為と結果との間に何らかの介在事情があったとしても、それが著しく不自然、不相当なものである場合でない限り実行行為の危険性が現実化したと評価でき、因果関係が認められ得ると考えられるところでございまして、具体的には、例えば介在事情が運転者自身による前方不注視等の注意義務違反であるような場合には、基本的に、著しく不自然、不相当な介在事情であるとは評価できず、因果関係が認められ得ると考えられる一方で、仮に的確な運転行為を行っていたとしても衝突の回避が不能な場合、例えば自車の直前に飛び出してきた歩行者と衝突したような場合などにつきましては因果関係が否定され得るのではないかというふうに考えられるところでございます。

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